シネマの神は細部に宿る
アニメ映画監督の押井守氏の著書「シネマの神は細部に宿る」を読みました。
押井監督というと、最近は実写映画なども手掛けているようですが、アニメ「攻殻機動隊」などの演出で、ハリウッドの実写版化などにも大きな影響を与えるなど、世界的な評価が高い作家と承知していますが、私自身は「うる星やつら2 ビューティフルドリーマー」ぐらいしか観ていないので、正直よくわかりません。
良いものをつくるには細かな部分をきちんと詰めることが重要だというモノづくりの基本の哲学ですが、これは黒澤明の「悪魔のように細心に、天使のように大胆に」と同じ趣旨です。まさに至言ですよねえ。
内容は、そのタイトル以上に、映画の設定や小道具などの細部だけにこだわったお話です。しかも、著者の軍事モノなどの趣味嗜好に特化しています。
例えば、キーワードとして、”制服”の項目では「愛の嵐」のシャーロット・ランプリングの胸とナチ軍服(サスペンダーとパンツ)、「エイリアン」の宇宙服の下のリプリー・パンツ、また、最近流行の”日本刀”の項目では「座頭市」の殺陣の魅力、”銃器”では「モ-ゼル」への偏愛、”戦車”では「フューリー」、そして疾走する戦車シーンの「レマゲン鉄橋」、”潜水艦”では「Uボート」オンリー。男優では、トミー・リー・ジョーンズやエド・ハリスなどの曲者俳優を推薦しております。
とにかく、その薀蓄のレベルは、とんでもありませんし、どうでもいいような”トリビアの泉”のような本当に微細な情報へのこだわりは想像を絶します。やっぱり一流といわれる人は尋常ではありません。大変面白し、ああ、そうなんだといろいろ勉強になりました。
特に、前者は物量の凄さに単純に驚きます。本物の戦車の迫力は壮観ですし、CGではない本物の建物の爆発シーンの画面いっぱいの粉塵の凄さ・リアルさに圧倒されます。この戦争映画にはついて本当に見損なっていました。反省です。
ただ、残念ながら、押井監督の”食い物”と”女優”のお話には、いま一つ付いていけません。「2001年宇宙の旅」の宇宙食や毒婦のおばさんの薀蓄には文字通り食指がまったく動きません。
それに、あまりの造詣の深さゆえか、一刀両断的に斬り捨てられた”映画的な嘘”の作品も多少は大目に見てほしいものですねえ。
半魚人も好きですが巨大な怪獣物にも、それに私の贔屓の「ローレライ」にもSFファンタジー映画として一定のご理解やご鞭撻をいただきたいと願うのは、一ファンの勝手な思いでしょうか。
でも、この本に掲載された作品の中には未見の作品もまだまだありますので、これから少し忙しくなります(笑)。おかげさまで秋の夜長を満喫できそうです。どうもありがとうございました。
« デモンズクロニクル 再び | トップページ | カメラを止めるな! »




コメント