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2018年10月31日 (水)

ルイスと不思議の時計

  映画「ルイスと不思議の時計」は想像どおりの子供向けのおとぎ話でした。両親を亡くした子役を主人公に、その叔父の魔法使いをジャック・ブラック、隣家の魔女にケイト・ブランシェットが扮しています。この二人の配役に期待しましたが、特に目新しい感動はありませんでした(笑)。
 本来ならわくわくするはずの魔法屋敷も、転校生がいじめられる学校生活も、世界を滅ぼす悪の魔法使いも、何処をとっても、どこかで観たことのある、いまや手垢のついたような映像や筋立てです。
 結局、幼い子供が安心して楽しめる趣向なのでしょう。
 当然ながら、昔の子供にはまったく面白くもおかしくもありません。どうりで上映されるのが吹き替え版なわけでした。
 以上です。こんなに短い感想も久しぶりでした。サヨナラ、サヨナラ(笑)。

散り椿

 一昨日、映画「散り椿」をやっと見ました。時代劇という大好きなジャンルの作品なのになかなか足が劇場に向きませんでした。
 その理由も、黒澤時代劇と同列に並べる製作陣への反発か?あるいは黒澤組の生き残りの作品への不安?など、”なんかいやだなあ”とたわいもなく感じているだけで、どうも自分の気持ちがよくわかりません。
 ・・・・まるで、この映画のお話みたいです(笑)。・・・観終わっても、主人公と亡き妻の思いは今一つよくわかりません。一体どういう心境なのでしょう。原作を読めばもっとわかるのかなあ、すっきりしません。「お優しい」では理解できませんし、あの遺言が「生きて」というメッセージにつながるのかなあ?やっぱり理解できません。
_new  そして、撮影カメラマンの監督が映像に力を入れるのはわかりますが、少し凝り過ぎです。人物が見えないほど雪を降らし、これでもかというほど四季の美しい自然を映し出します。ドラマより背景が印象的です。
 また、音楽が一人歩きして雄弁に過ぎます。画面と音楽が分離しているような気がします。それにあの楽曲はどこかで聞いたような曲ですが?
 黒澤明は、映画は、ドラマが映像や音楽が融合した芸術だと言っていた気がしますが、この作品はどうなんでしょうかねえ。
 この作品の見所は、やはり殺陣につきます。接近戦の刀の使い方を極めたような立ち回りは新鮮でした。特に、冒頭の京都の雪道での殺陣は凄まじい迫力でした。主演の岡田准一の身体能力の高さを十二分に生かした小手斬りです。彼の意見も反映しているようですが見事なものです。
 そのほかに結構数ある斬り合いのシーンも、文字通り切れ味十分でした。見ごたえがありました。
 まあ難を言えば、噴出する血の描写が安っぽいCGに見えることや刀を突き刺した時に、日本刀がいかにも”竹光でござい”と曲がるのが気になります。ここは刀剣をCG製に置き換えるべきです。現場の撮影カメラマンの演出にしても、もう少しCGなどの視覚効果を活用してほしいものです。もし黒澤明が生きていれば、実験精神の旺盛な監督のことですから、最新技術のCGを効果的に使った映画づくりに挑戦したと思いますねえ。
 なお、パンフレットによると、ロケ地は、富山県を中心にこれまでにない場所を選んだそうですから、冒頭申し上げたように本当にクール・ジャパンと胸を張れる美しい絵になっています。タイトルの散り椿の大きな木は、わざわざ違う場所に植え替えて撮影したそうですから、美術を含めてその丁寧な映画づくりには敬意を表します。
 今回、評価がやや辛口になりましたのは、”黒澤明”の名を出されますとわけもなく熱くなりますので、その点は勘弁してください。まあストーリーの核となる夫婦の思いはともかく、全体としては、斬新な殺陣や自然の美しさなど、2時間十分楽しみました。
 

2018年10月28日 (日)

バンパイアの惑星

 イタリア・ホラー映画界の第一者マリオ・バーヴァ監督のめずらしいSF「バンパイアの惑星」は、「エイリアン」の元ネタと噂される伝説のカルト映画です。これまでVHSは発売されていたものの、今回、やっと”傑作SF映画選”シリーズでDVD化が実現しました。
71z6aq9se8l_sy445_  内容は、宇宙船で航行中に謎の電波をキャッチし、確認のため降り立った惑星で、次々と隊員が犠牲となっていくという筋書きです。
 
 この作品は、一部のファンの間で大傑作SFと絶賛されているのですが、チープなセットや衣装、レトロすぎる宇宙船や宇宙服のデザイン、青と赤の照明の陳腐さ、死んだはずの人間が甦る演出の単調さなど、DVDで観てもどうも感心しません。映像はやっぱり暗く観難くて眠くなります。正直、退屈なのです。
 それから言うと、製作の時代が違うとはいえ、リドリー・スコット監督の天才ぶりを改めて思います。余談ですが、押井守監督は自らの著書でスコット監督のことを”サー”と呼んでいます。「エイリアン」、「ブレードランナー」、「グラディエーター」など細部にわたる革新的な美術センスが様々なジャンルで名作を生み出しているのですから、尊称も当然です。
 
 ということで、この映画の見所にお話を戻すと(笑)、ラストのオチが、なんといっても実に素晴らしいアイディですし、あの驚嘆のラストゆえに伝説の映画になったのだと思います。
 加えてレンタル用のVHSはあったものの廉価版はなく、長い間DVDにもならなかったのでさらに伝説が独り歩きしたような気もします。
 
 まあ、今回初DVD化で簡単に観ることができるようになったことを素直に喜びましょう。もっとも、私としては以前に苦労して手に入れた絶版VHSの価値が一段と下がってしまったがつらいなあ。これは悲しい(笑)。
 

2018年10月26日 (金)

クワイエット・プレイス 

 「クワイエット・プレイス」の宣伝は、謎のホラー映画ではなく、もっと端的にエイリアン物ということを強くアピールしてほしいものです。劇場に行くのが遅くなったぢぁないか(笑)。
_new_0001  隕石に乗ってきた謎のエイリアンにより、たった89日で世界は全滅しかかっているという設定です。これは劇中というよりパンフレットで知りました(笑)。
 人々は、わずかな音を聞きつけて襲い掛かるエイリアンから身を守るため、地下室を利用しながらひっそりと隠れて暮らしている世界が舞台なのです。
 
 映画は、崩壊したスーパーマーケットで生活物資を探す一家を映し出します。聴覚障害の長女を筆頭に無言でしかも音を立てないように素足で注意深く行動しています。しかし、一番幼い次男が音の出る宇宙船のおもちゃを見つけたことから最初の悲劇が起ります。
 彼らの住むのは田舎の農園です。地下室などでの音を立てない暮らしはなかなか大変です。
 しかも、自給自足のための工夫はさらに困難です。父親はエンジニアで母親は看護婦かな?そうでないとあんな装置は作れませんし、こどもも作れません。
 ただ、こんな非常時に妊娠するのか?と思わず突っ込みたくなりました。生まれた赤ん坊の泣き声をどうするんだ!!とか、サスペンスを盛り上がるためだけに困難な条件を課しているようにも見えます。見ているだけで痛々しいぞ。
 ついでに言うと、この地域を縄張りとするエイリアンの音を聞きつけてから襲来してくる速度が少し早すぎますし、いつも嫌なところに出現します(笑)。この地域には3匹いるらしいですが、いつもどこに棲んでいるのかな、と鑑賞中からやや疑問に思えるのが難点です。まあ、スリルを高めるあからさまな手段ですよねえ。
 しかし、いつ襲ってくるかもしれないエイリアンへの恐怖を家族一人ひとり、じっくり描いているのはなかなか面白い。特に、母親役のエミリー・ブラントは「オール・ユー・ニード・イズ・キル」に続いてエイリアンと戦いますが、なかなか強い女を演じるのが似合っています。なお、父親役の男優は彼女の夫であり、この映画の監督でもあるそうですから、力も入りますわねえ。見る方も力が入りました。でも、やっぱり妊娠女性をこんなサバイバル映画に登場させるのは反則(笑)ですよ。
 くわえて聴覚障害の長女役も実に上手い。実際に障害を持つ女優さんだそうですが、父親への反抗態度などまことに自然な演技です。気弱な弟も自然です。どうしてあちらの子役はあんなに上手いのでしょうねえ。感心します。
 いろいろありますが、総じて1時間半、予想以上に楽しめました。やっぱりモンスター映画は面白い。でも、あのエイリアンではあんな短時間に地球は滅びませんねえ(笑)。

2018年10月25日 (木)

クラシック・ラブコメ映画

  ハリウッドのクラシック映画のDVDを販売しているジェネス企画という会社があります。戦前から戦後の時代の名画を中心に販売しています。
 けっこう昔から贔屓にしており、コメディの「毒薬と老嬢(1944)」や「春の珍事(1949)」、スリラーの「そして誰もいなくなった(1945)」、野球映画の「打撃王(1942)」や「甦える熱球(1949)」など様々なジャンルで隠れた傑作・名作をDVD化してくれる大変ありがたい奇特なメーカー様です。
 さて、その中で、今回はロマンティック・コメディ映画=”ラブコメ”の古典とも呼べるような、往年の楽しいハリウッド作品を3本ご紹介します。
 暇に任せて再見してみますと、なかなか思い切った展開に驚きますが、やっぱり後味の爽やかなのが持ち味です。昔懐かしい、まだ明るい未来が素朴に信じられたハッピーな時代のアメリカのお伽話です。もちろん、その華やかな社会を支えていた下々のことはまた別のお話ということで・・・。
 とにかく、古い作品ならでは不鮮明な画質ですが、懐かしいナレーションとストーリーにすぐに引き込れます。やはり、それだけの力が作品にあるということでしょうねえ。
710oybtmial_sy445_  まず、1番目は、戦後しばらく日本で一番人気があった男優と言われるゲイリー・クーパーが主演する「教授と美女」です。内容は、百科事典を編纂中の学者たちが寄宿している屋敷に、警察に追われるギャングの情婦(いまや死語?)が紛れ込んでのハラハラどきどきの大騒動です。世間離れした8人の教授たちをバーバラ・スタンウィック扮する美女が手玉に取った挙句、クーパーと恋に落ちて最後は結ばれるという、世間一般の常識ではありえない感覚のハッピーエンドの展開です。経歴や身分などまったくとらわれない年老いた教授達が7人の小人で、一人若いクーパーが白雪姫という裏設定もありそうです。
 それにしても、情婦を演じたバーバラ・スタンウィックという女優さんは男前な感じですので、こんな役がよく似合っています。確か、「レディ・イブ」でも詐欺師の娘役を演じて、大富豪で初心な変人のヘンリー・フォンダを虜にした経歴(笑)もあります。
 41tqnbj2vl_sy445_ 2番目に紹介したいのは、やっぱり都会的な恋愛コメディの達人、ケイリー・グラントでしょう。その彼が名女優のキャサリンヘップバーンと共演した「素晴らしき休日(1938)」はなかなか考えさせられます。
 ストーリーは、初めての休暇で知り合った女性が実は有名な大富豪の次女であり、グラントが何も知らず婚約するという逆玉のお話ですが、実は、豪邸で出会った姉の方に惹かれていくという展開なのです。この大富豪の一家は、頑固な父親が絶対的権力で家族を支配しており、そのために姉のキャサリン・ペップバーンは反発・変人扱いされており、従順な弟は酒におぼれているという設定なのです。そうした中で、10歳から働きづめだったグラント(めずらしく成り上り役)は、30歳で引退して人生を考え直したいという夢を熱く語るのですが、現状を謳歌している婚約者や仕事第一の父親には全く理解されなかったのです。いやあ、うらやましいねえ、80年前の作品です。いまやわが国では70歳まで働けと首相が言う時代です。時代は本当に進歩しているのかな?
 そして、・・・いやこの続きは、どうなっていくのか、下宿先の変わり者の大学教授夫婦を巻き込んた楽しい娯楽室のバカ騒ぎを是非ご覧ください。
41agxtuemkl_sy445_  三番目は、「月蒼くして(1953)」というウイリアム・ホールデンが、エンパイア・ステートビル街の街角で会った小娘にしっかり翻弄されるという典型的な中年男向けのお伽噺です。 相手役は、マギー・マクナマラという若い女優さんで一寸オードリー・ヘップバーン風で声もよく似ています。もともと舞台劇で過激な娘の性的セリフが話題になったようですが、いまとなっては屁でもありません(笑)。逆になんとも慎ましい世界だったのでしょう、失ったものは大きいねえ(笑)。それにしても、デビット・ニブンまでも婚約者の父親役で登場する豪華版なのですが、どうしても同じ趣向の名作「昼下がりの情事」と比較してしまいますので、分が悪いですねえ。
 そういえば、オードリー・ヘップバーンと言えば、「マイ・フェア・レディ」のレックス・ハリソンを忘れていました。「幽霊と未亡人(1947)」や「殺人幻想曲(1948)」などもご紹介したいものですが、長くなりましたので、それは次のお楽しみということにいたしましょう。

デス・ウイッシュ

  「イコライザー2」が上映されていないので、その代わりに「デス・ウイッシュ」を見に行きました。
 ネット情報によると、この映画は、「イコライザー」、「96時間」、「ジョン・ウイック」、「コードネーム プリンス」などと同じく、”ナーメテーター”というジャンルに入るらしい。舐めてかかった相手が実はとんでもない殺人マシンだったという意味の造語らしい(笑)。
 ともかく庶民の大好きな鉄板モノのお話です。どうやら、チャールス・ブロンソンの「狼よ、さらば」のリメイクだそうでして、主演もブルース・ウィルスですからその出来にはある程度安心していました。
 しかし、なんということでしょう。アメリカの銃社会の正当性を唱える全米ライフル協会のプロパガンダの様な内容です。
 ストーリーは、強盗に妻を殺され、娘をこん睡状態にされた医師がシカゴの犯罪者たちに鉄槌を下すという復讐譚なのですが、とにかく、警察は信用できない、自分達の身は自分で守れ、そのために銃を買おうというメッセージがまともに強く打ち出されています。
 しかも、その行為は警察にまで許されるのだという免罪符までつけています。
 全くのシロートが銃を手にした際のトラブルなど興味深いエピソードもありますが、全編を貫く‘宣伝が目的‘といわんばかりの演出が他の‘ナーメテーター‘作品とは大きく異なっています。銃の悲劇が続くこの時期にこんな映画を作った意図や効果を考えると、なんとも不愉快でなりません。興業側ももっと考えてほしいものです。
 なお、余談ですが、この「デス・ウイッシュ」というタイトルは、他人の死を願うという心理学用語だそうで、「狼よ、さらば」の原題でもあります。
 
 以上です。今回は、当然、パンフレットもありません。
 

2018年10月22日 (月)

ビバ・マリア

 久しぶりに「ビバ・マリア」を見ました。フランスのルイ・マル監督のフランス映画らしからぬ楽しい娯楽映画です。
 なにしろ、フランス映画界の大女優ジャンヌ・モローとブリジット・バルドーの二人が競演するアクション・コメディ映画なのです。
81utox0ctgl_sx342_  ストーリーは、中南米の架空の国(メキシコでロケ)を舞台に、モローの旅芸人の一座に、子供のころからアイルランド独立運動を行っているバルドーが逃げ込んだところから始まり、二人のお色気ショーが大人気となったものの、民衆の革命を手助けするはめとなり、あれよあれよという間に革命が実現するという実に他愛もないものですが、実に楽しい物語です。
 もともとVHS(ビデオテープ)を所有しているものの、ビデオデッキが稼働するかどうか不安でその映像を見ることができないことから、BD(ブルーレイ)が発売されているのを知って無性に見たくなったのです。
 再見して、その突き抜けたような明るさは特筆ものです。爆弾テロのシーンも実にコミカルですし、二人のショーは誠に楽しい見ものです。とにかく、映画全体を通して感じられる明るさは絶品です。近頃の閉塞感のある映画とは一線を画しています。いかにもフランス女らしい奔放さも広がりのある映像は誠にBDで見る価値はありました。
 もっとも、英才ルイ・マルにしても、このフランス映画らしくない作品は、その批評筋にはとことん不評だったようで、ルイ・マル自身も自分の思った通り描けなかった(もっとハジケルはずだったそうです)と反省していたようです。
 なにしろ予算が大きく、遠くメキシコまでロケに出て製作面の制約もいろいろあったようですし、大物女優の仲はやっぱり(笑)良くなかったそうです。
 
415zoozesal_ac_us200_  ただ、難しいことを考えなければ、子供だましの様なナンセンスギャグもあるし、派手な爆破アクションや戦闘シーン、あるいはサーカス軍団の笑える設定も、様々な面白く楽しい要素をいっぱい詰め込んだ大作です。二大女優の最初で最後となった競演で、世界中で大ヒットしています。
 面白く、楽しければ、観客に元気も出ます。ルイ・マル監督もそれを目指したようです。いいじゃないか、こういう映画がいま必要です。
 是非、未見の方はこの”楽しいフランス映画”をご覧ください。そして大物女優のコメディ演技をご堪能ください。
なお、VHSのカバーの方が作品の楽しい感じが出ていいですよねえ。

2018年10月20日 (土)

エド・カウチャー(その3)

 世の中には奇跡のようなことがあるものです。
 去る9月29日の夜、何故かなかなか寝付かれなかったので、やむを得ず起き出してネットを彷徨ってました。その時、何がきっかけだったか、いまや思い出せませんが、かつてSF画家のエド・カウチャー(当ブログ2014.2.08参照)の原本をUSアマゾンやアチラの大手古書店のネットを探したことを思い出したので、何年ぶりでしょうか、なにげなくセカイモン(イーベイ)を検索したのです。
 原題「Travelers of Space」や表紙の絵は以前探し回った時(当ブログ2015.12.29)に調べていました(野田昌宏氏の著書に感謝)が、本当にその夜の全くの気まぐれとしか言いようがありません。
Img_35031  そしてその結果、驚くなかれ、イーベイ(米国の大手オークション)に現物が出品されているではありませんか。本の中身の写真はないものの、本のタイトルも表紙絵も間違いありません。1951年の初版で状態もすこぶるよさそうです。値段もなんとか手の届く範囲です。しかも「即決可能」の早い者勝ちとなっています。
 もうとにかく慌てふためき、早速入札です。指が震えました(笑)。
 セカイモンの落札手続き完了の連絡までの1分1秒がなんと待ち遠しかったことでしょう。
 おかげさまで無事にゲットできました。こうなれば偶然というより奇跡というほかありません。その時は、本当に神様に感謝いたしました。生きておれば、良いこともありますねえ。
 一方、それからの3週間がなかなか気が揉めました。
 ネットで経過がわかるのはありがたいのですが、輸入元からの「台風被害で関空が閉鎖された影響で税関手続き等が滞っている」などというマイナス情報ばかりが目につきます。まず手に入らないだろうと思っていた書物だけに、輸送中の事故やトラブルなど不測の事態を心配させる悪魔の囁き(笑)がどうにも気になってしかたがない日々でした。
 ちなみに、10月3日には出品者から予想以上に早くロスアンゼルス物流センターに商品が届きました。しかし、同センターで検品が終わって発送されたのが10月11日で、日本への運送は空輸だそうですが、成田に着いたのがなんと10月16日(遅い)。そして10月18日に成田税関を通過して国内運送となり、本日10月20日13:30頃に商品が届きました。やっぱり、災害の影響があったのでしょうねえ。本当に手元に届くまで気を揉みました。
Img_34961  さて、待ち望んだ現物は予想以上に大きく、分厚い書物でした。
 表紙を開けると英文ばかりで一瞬「あれっ」と思ったのですが、第1章の小説に挿絵としてカウチャーの絵が1頁に1体という形で掲載されています。そのスタイルは、ネット記事の写真で見たことがありますが、やはり現物の絵の大きさの迫力には改めて感動します。
 もともとは、カウチャーの画集ではなく、小説のアンソロジーで、そのなかの1つのお話にだけカウチャーの16体の挿絵があり、それ以外は文字ばかりの小説集でした。しかし、やはりその絵の見事さは素晴らしい。ページ一杯に描かれた絵は感動モノです。色なども保存状態も良く、有難いかぎりです。とにかく、よくぞ我が家に来てくれました。ありがとうございます。神様、仏様、あらゆるものに感謝したします(笑)。
 では、少しだけ御開帳いたしましょう。お楽しみのおすそ分けです(笑)。指の大きさと比較すると結構大きな図版であることに気が付くと思います。
Img_34971Img_34981 ちなみに、著者名は、「エド・カーティア」が正しいようですので、今後はこの表記を使用したいと思います。
 従前の名称は、我らが少年時代の名編集者「大伴昌司」氏の翻訳に義理立てしていましたが。この辺で卒業したいと思います。
 なお、英文は全くわかりませんが、エド・カーティアの挿絵のある小説については、「図説 異星人-野田SFコレクション(ふくろうの本)」で全訳されていますので、興味のある方は、そちらをご覧ください。もちろん私の愛読書ですし、この本のおかげで原書に辿り着けました。野田先生、誠にありがとうございました。51nstz6smgl_sx367_bo1204203200_

マーメイドのペギラ(二代目)

 ビリケン商会のペギラに続き、ガレージキット草創期の傑作モデル、マーメイド(個人メーカー)のペギラに着手しました。
 この作品は、初めて本当にリアルな模型ができたと思わせる、大石造型師渾身の作です。私自身、前にオークションでゲットした素人完成品をリペイントしたことはありますが、初手から作るのは初めてになります。
Img_33591  まず、部品のバリ取り、塗装しにくい口中の事前塗装、全体の組み立てと、この辺までは順調そのものでした。そして、今回はビリケン商会製のダークイエロー系とバージョンを変えてグレー系に挑戦しました。なにしろ、ペギラの体色は写真などでは微妙に色が違って見えます。そのせいで市販のオモチャの彩色もバラバラです。 
 しかしその試みは失敗、なんとも暗く陰湿な汚い色合いになってしまい、収拾がつかなくなったので、やむなくおなじみダークイエロー系で落ち着かせました。色設計の失敗、未熟さ故ですねえ。次回にお預けです。まあ、勉強になりました。
Img_34641  ともかく、完成品をご覧ください。前作のビリケン商会のモノと並べてみますと、頭の小ささがよりイメージに近く感じられます。
Img_34851向って右がビリケン商会です。どっちが実物に似ています?
 
 さて、ここで次回作の予告です。ついに、あの有名なバルタン星人に挑戦することとしました。体色が非常に難しく、これまで敬遠してたのですが、今回、ビリケン商会の仮組立て済みの中古品をお安く入手しましたので、挑戦することにしました。
 そして実物を見て分かったのですが、このモデルは上半身を微妙に傾けています。要は、支えなしに二本足で自立させるのが難しいタイプです。
 
Img_33981  作業としては、まず、ハサミの食い合わせを調整(真鍮棒で固定)し、二本足で立たせるためのレジン液の注入です。
 この場合、足と靴の部品が別々ですので、レジン液をまず靴に注入し、それが硬化する前に先端に穴をあけた下半身を捻じ込みます。その後、液漏れ防止のため境目をしっかりビニールテープで巻いて、下半身の両足の付けね上あたりまでレジン液を注入します。そして、大きなハサミを持つ上半身を組み込んだ上でバランスを取りながらしっかり両足を抑えます。
 こうして液が固まるのを待てば、どうです、見事に2本足で立ちました。(・・それがどうした?)
 この間、液が固まるまでの数分間のスピードとスリルとサスペンスの作業です。まことにウルトラマンの気持ちがわかります(笑)。ささやかな模型作りの醍醐味でした。
Img_34171  しかし、次の段階は、あのギザギザ模様の塗装です。さらに難関です。まあ、時間はたっぷりあります(笑)ので、しばらく作戦を練ることにしましょう。あれこれ考える・・・これも模型作りの楽しさです。

2018年10月19日 (金)

スカイスクレイパー

  映画「スカイスクレイパー」の最終日の最終回(一日1回)に劇場へ滑り込みました。
Photo  今年主演映画の何本目になるのか、稼ぎまくっているロック様ことドウェイン・ジョンソンのアクション・ムービーです。あのゴツイ体格に物を言わせる荒唐無稽の荒業が持ち味です。今回は、怪獣は登場しませんが、タイトル通りの高さ1000mのモンスター級の摩天楼が舞台です。
 言うまでもなく、「タワーリング・インフェルノ」と「ダイ・ハード」を掛け合わせたストーリーで、ドウェイン・ジョンソン(ジョン・ウェインの逆さまと覚えます!)が煙突状に燃え上がる超高層ビルの中で家族を守って犯罪テロリストと戦う姿が観る前から想像できます。
 しかも、あの予告編の「パパ、飛びまぁぁぁぁす!」というコント55号(古い)の様な宣伝文句は、ハチャメチャコメディを連想させて観劇意欲を減退させる殺し文句でした。おかげで、すっかり劇場に足を運ぶ気を失っていました。
 それが、今回劇場に行ったのは、あらゆるジャンルの映画をこよなく愛する私の友人の「結構、面白かった」という一言でした。彼が言うなら、行って見ようかな。
 結果、内容はほぼ予想したとおりの展開の定番アクションでしたが、驚いたのは高所の恐怖を意外にうまく描いていることでした。あんな板を渡るなよ・・・自分の年齢のせいか高所恐怖症が発症したような気もしますが、わかっていても膝がすくみ、体が椅子の上で硬直してしまい、おかげで余分なことは考えず楽しめました。
 まあ、再起動ですべて解決というのは少し首をかしげますが、巨大スクリーンで主人公の活躍を中継するというのは今時らしい表現で、結構面白く最後まで見終えました。
 それにしても、「燃えよドラゴン」をはじめ「ジョン・ウィック2」もそうですが、ハリウッドは鏡のトリックが好きですねえ。元ネタは何だったかねえ、・・・年のせいですかねえ、どうしても思い出せません。まあ、2時間(これぐらいが丁度)楽しければ良いのだ(笑)。 
 余談ですが、私の地域では信じられないことに「イコライザー2」が上映されません。劇場の係員に聞くと、「よく問い合わせがあります」とのことで、上映しない理由は「上が決めているものですから」とのことで、係員自身は上映してほしい印象でした。本当にセンスのない馬鹿な上がいると困るのはどの会社でも同じですか(笑)。
 それにしても、この映画、他の地域でも上映が少ないのは、それなりの理由があるのかなあ、知りたいものです。
 

2018年10月11日 (木)

ドラキュリアン

 もう何年も前から映画「ドラキュリアン」のDVD化を願っていましたが、先日やっと実現しました。それもBD(ブルーレイ)と併せての発売です。うれしいことです。
 一時は、あきらめて海外版DVD(字幕なし)を購入したのですが、やっぱり字幕が無いと面白さ」がピンときません(笑)。
 今回は、もちろん迷うことなくブルーレイ版を購入です。
81ucn33tzhl_sx342_ この映画が製作されたのは、CGのない時代、「ハウリング」や「狼男アメリカン」などの変身シーンの特殊メイクが注目された頃で、その流れに乗って、アチラのモンスター好きの子供たち向けの内容となっています。
 とにかく、ドラキュラ、フランケンシュタインの怪物、狼男、ミイラ男、半魚人という、ユニバーサル・モンスターの有名スターを勢ぞろいさせた映画です。
 そして、その怪物たちを子供たちがやっつけるという、まさしく、アチラのこども達が泣いて喜びそうな企画です。
 そのうえ、往年のユニバーサルモンスターがオールスターで出演するドタバタ喜劇「凸凹フランケンシュタインの巻」のリニューアル版というノリです。ただ、違う点は有名モンスター達をアボット・コステロ漫才(?)コンビではなく、”ちびっこギャング”と合体させたことと、なんといっても「大アマゾンの半魚人」を初めて競演(笑)で登場させたことです。
 当時、私としては、その内容より狼男などのモンスターの特殊メイクを評価していた記憶があります。なかなか良くできているじゃないか・・・と。
 しかし、どうでしょう、今回、BDの鮮明な画面で蘇ったのは、なんともチープなモンスター達です。半魚人のブルドッグ似のデザインへの悪態はこれまでさんざんついたので割愛するにしろ、現在のCG映像で慣れた目には、そのくっきり映る細部やセット(舞台風?)の作り物感はいかんともしがたい、としか言いようがありません。
 こうなるとBDも考えモノです。DVDレベルが良かったのです。嗚呼、失敗でした(笑)。
 ただ、BDの特典映像だけはお得感がありました。実は、この映画は製作者の見込みに反して大いに”こけた”そうで、以来20年間お蔵入りしていたそうです。
 そして、当時の子供たちが大人になって、懐かしさから上映会などが開かれるようになったことで、やっと日の目を見たということを、当時は少年だった俳優たちがインタビューで答えています。
 しかも、驚いたことに、製作に当たってユニバーサルに断られてしまい、やむなく別会社で作ったそうです。だから、オリジナルのデザインは使用できなかった(これも初めて知りました。)そうです。
 それにしては、半魚人以外はどれもよく似ていると思ったのですが、例えば、フランケンの首の電極をこめかみに付けるなどの変更をして工夫したそうです。それだけで許されるのか?首をかしげますが、そういうことだったようです。ユニバーサル側の大人の対応かな?こけてよかった?
 それにしても、映画制作の舞台裏のお話は本当に面白い。やっぱり、情報容量の大きいBDは素晴らしいですねえ(笑)。
 ちなみに、「凸凹フランケンシュタインの巻」も我が国ではDVD化されておらず(VHSのみ)、しかたがないので海外版BDを取り寄せる手はずにしていますが、正直早まった気もします(笑)。 
 

2018年10月10日 (水)

隠蔽捜査

 今野敏の「隠蔽捜査」の第8弾が小説新潮の連載で開始されているそうです。
 このシリーズは、吉川英治賞などを受賞した傑作警察小説であり、私の大先輩からお墨付き(本も)をいただいたこともあって、妻も旅行に単行本を持参するほどのお気に入りの一冊になっています。久しぶりに私も再読し、やっぱりその面白さに改めて感心しました。
51n1ruhwg0l_sx336_bo1204203200_  主人公の警察官僚(キャリア)竜崎達也は、その国家公務員としての原理原則を、縦割りの警察機構の中にあって、本気で実行する”変人”であり、第1作で、警察庁長官官房総務課長というエリート職から警視庁の一所轄の警察署長に降格させられ、第2作から第7作までキャリアらしからぬ行動で様々な難事件を解決していくという内容です。
 この小説の面白さは、まず、警察組織の階級制や縦割(縄張とメンツ)の弊害、あるいは本庁と所轄、キャリアとノンキャリの溝、マスコミの商業主義の実態などをリアルに描き、その滑稽なほど凝り固まった組織風土の中で、主人公一人が国家公務員としての”原理原則”で様々な難題を解決して行くことです。
 もちろん、現実には、この小説のような破天荒な行動は不可能ですから、それを読者に納得させるだけの仕掛けが実に上手いのです。
 揺るぎない自分の原理原則を持つ唐変木な”変人と呼ばれるキャリア”の創造は秀逸ですし、我が国の日本的組織の”現実”を憂う読者(庶民)のうっぷんを晴らせてくれるエピソードも素晴らしい。
 竜崎署長をただの所轄の署長だと思って横柄な態度で対応する本庁の幹部たちが、実は、東大出のキャリアで身分は自分たちより上と知って狼狽する姿は、日本人の庶民が大好きな”水戸黄門”を思わせます。
 加えて、主人公の立場を支援するのが、同期の本庁の刑事部長伊丹俊太郎です。幼馴染ということもあって、個人的な交流もあります。この人物像も私立大という設定などなかなか面白い。ただ、以前、TBSのTV番組でこの役を演じた古田新太があまりに適役であったため、いまだに、本を読むと行間にあの顔が浮かんでしまうのには困っています(笑)。
 
 それにしても、作家というものは凄いですねえ。組織に属したこともないでしょうに、警察などの組織の実情をよく描いています。
 特に、これまでの警察小説ではなかった、マスコミ対応の部署やキャリアの出世競争や心情を見事に描いています。時々、マスコミや教育、組織のあり方に対する主人公の考え方が挿入されますが、それは著者自身の正直な思いでしょうし、言いたいことでしょう。私も思わず一票を投じたくなります。
 なお、既刊の7巻は、すべて面白いのですが、中でも特にお薦めの巻が、堅物の竜崎署長が美人な部下に想い惑う第3巻や当たり前と思っていた異動にうろたえる(この動揺を妻が人間的成長と喝破)第7巻ですねえ。 
 言い忘れていましたが、このシリーズは、主人公がだんだん変わっていく(成長)姿も魅力です。特に、家族の不祥事で出世をあきらめてからの主人公に好感が持てます。
 さて、最終巻では、竜崎署長は大森署を異動し、神奈川県警の刑事部長に栄転します。
 一日も早く、竜崎刑事部長の次なる活躍(第8巻)を読みたいものです。できましたら、出版社様には、 連載後の迅速な単行本の発売をお願いします。
 
 余談ですが、この著者の初期の格闘技小説「孤拳伝」を新装版(文庫)で知って、おもわず新書版を古本で揃えるほど嵌りました。実際に空手の有段者だけに武道とスポーツの違いなどには説得力があります。
 新装版も温故知新のためには有効なツールです。文芸作品だけでなく、娯楽エンターテメントの分野でも忘れられた良品の発掘をお願いします。

2018年10月 4日 (木)

謎の大陸 アトランティス

 私のこどもの頃は、アメリカのSF映画などについては、大伴昌司氏が編集した少年誌の特集や映画雑誌の一コマの写真、数行の記事から想像し、憧れることがすべてでした。
 当時はインターネットはもちろんビデオもない時代で、ハリウッドの有名な一般作品でも名画座での再上映など以外には、なかなか実際に観ることはできませんでした。
 ましてや、SF・ファンタジー映画などは子供だましと一段低く見られていたのですから、ほとんどまっとうな評価の俎上にも上りません。つまり、見るどころか、まったく情報が入らず、作品自体を知らないことが普通でした。
 
_0001_new  そんなわずかな情報のなかで、いつか見たいと思っていた映画の一つにジョージ・パルが製作した「謎の大陸 アトランティス」という作品があります。
 ジョージ・パルはハリウッドの映画製作者で、「地球最後の日」、「宇宙戦争(これは大傑作です。)」、「黒い絨毯」、「タイムマシン」、「ラオ博士の7つの顔」などを世に送り出し、当時はSF特撮映画の第一人者と言われていました。
 もちろん、これらの作品についても前述の雑誌などで知識として知っていただけで、実際に観たのはVHSが登場した後なのです。
 
 そのジョージ・パルが1961年に製作したのが、「謎の大陸 アトランティス」です。
 この作品は、特撮シーンを集めたVHSではそのラストの大陸が沈む場面がよく取り上げられていたのですが、残念ながら、本編自体はわが国ではVHSやLDにならずじまいで、いまなおDVDも未発売の状態です。
 パルの作品の中でも忘れ去られた作品だったのです。しかも、私自身もすっかりこの作品のことを忘れていました(笑)のですが、先日、偶然、映画パンフレットのオークションでこのタイトルを見つけ、懐かしさから何気なくアマゾンで検索して見ると、国内業者がなんとアメリカ版DVDを発売しているのではないですか。本当に便利な時代になったとつくづく思いますネ。有難いことです。
 余談ですが、今現在は海外に注文しても、先日の台風災害のため国内の税関業務が遅延しており、商品到着のめどが立たない状況になっています。実は、やっと見つけてゲットしたあるモノがアメリカの物流センターで足止めになっており、非常にヤキモキしています。便利になったとはいえ、まだまだ自然の力の前では脆弱なものです。
 もちろん、この商品は国内発送ですから早速手元に商品が届いたのですが、当然ながら字幕が無い海外版DVDのため、ストーリーの細部はよくわかりません。それでもそう気にならなかったのは、絵だけで大体内容はわかりますし、なにしろ注文後に海外DVDのバージョン違いを懸念していた経緯もあって、映像が写っていれば御の字です。我が家のデッキで無事、見事に再生できました、ホッ(笑)。
 なお、内容について少々意外だったのが、アトランティスが存在していた時代のお話という設定です。なにしろ大陸(島のような感じですが・・)が沈没後、奴隷だった黒人はアフリカに、白人はヨーロッパに住むようになったという解説がつくのですから、一体いつの時代かよくわかりません。アトランティスがオリンポスという設定なのかな?
 ストーリーも、大西洋をいかだで漂流していたアトランティスの王女が、助けられた亀じゃなくて漁師の若者を誘惑して故国に帰るのですが、王女を助けた若者は悪宰相の陰謀によって奴隷に落とされます。その後、若者のある行動により大陸が沈むことになってしまうのですが、滅亡する多くのアトランティス人の中で、事起こしの王女一人だけが脱出してハッピーエンドになるのはいかがなものか?などと悩んでしまいました。なにしろ、大作「クオ・バディス」のフィルムを流用しているので、群衆のモブシーンはやけに迫力があります。
 しかし、この映画の見せ場は、なんといってもパルご自慢の特撮シーンなのです。今回初めて見ましたが、魚型のアトランティスの潜水艇のデザインは、レトロでなかなか味があります。唐突に登場するギリシャ神話の青塗りの海神、ドクターモローの様な人間を獣人化する科学力、大地を滅ぼす熱光線の最終兵器などは・・・・それなりです(笑)。
 そして目玉であるラストの大陸の沈没シーンも、当時としては大掛かりな特撮セットだったのでしょうねえ。ただ、今の目で見ると、大粒の波や模型の破片がスローモーションの中で転覆して沈んでいきました。・・・ご愁傷さまでした。我が国でのDVD化は”SF傑作映画シリーズ”以外では無理でしょうねえ(笑)。・・・もともと未見で懐かしさというバイアスもそれほどかかっていなかった私としては、今回、”見た”ことで十分満足しました。
 最後に、繰り返しになりますが、自宅に居ながらにして海外のDVDが日本語で注文できる、本当に便利な世の中になりました。
 あとは、自動翻訳が進歩すればいいですねえ。期待して待っています(笑)。
 余談ですが、パルの作品「ラオ博士と7つの顔」はVHSのみであり、まだDVD化されていません。これも一日も早い製品化を待っています。
 
 
 

2018年10月 3日 (水)

カメラを止めるな!

 本日、いま話題の映画「カメラを止めるな!」をやっと観て来ました。
 この映画は「ENBUゼミナール」という監督&俳優養成所スクールが催している、僅か2~3百万円の製作費の”シネマプロジェクト”で作られた作品だそうです。
 それは、多分、新人監督と無名の俳優などの新たな才能を発見するためのプロジェクトなんでしょうねえ。欧米ではよく聞きますが、日本にもそんな奇特な試み(笑)があったんだと初めて知りました。
_new  そして、今回、この映画で第7弾目だそうですが、昨年、お披露目の6日間の先行上映会でその面白さの口コミが広がって満員御礼、札止め、さらに今年6月の公開以来、評判が評判を呼んで、8月からは拡大公開になり、9月半ばで20億円を超える興行成績をあげているそうです。これまでにわが国ではあまり類を見ない大ヒット、大金星とも言えそうです。
 併せて、公開当初から監督がある舞台から着想を得たと公言していたのですが、大ヒット後には、その劇団からは盗作で訴えられ、テレビのワイドショーでも大きな話題になっていました。
 そのせいか本日は、平日の午後一番の映画館という状況にもかかわらず、結構な席数が客で埋まっていました。年齢層も結構高かったねえ。いや、その宣伝効果は恐るべし・・・。
 さて、その内容ですが、ゾンビ映画を撮っているところへ本物のゾンビが現れて惨劇が起るものの、監督はカメラを止めることなくその状況を撮影する・・というなんともシロート・アマチュア映画の典型の様なものであり、しかも、手持ちカメラの長回しという、もう映像酔いすること間違いなしのストーリーです。
 ただし、この映画は、その後半に大どんでん返しがあるという構造になっている・・・そういう予備知識や情報が氾濫していました。
 
 実は、私が躊躇していたのは、ゾンビも嫌いだし、手持ちカメラの手振れの映像が苦手なのです。とはいっても、映画ファンならやはり”歴史”を見ないわけにはいくまいと悲壮な覚悟(笑)で臨んだのです。
 ともかく前半37分をツッコミを入れながらなんとか乗り切ったあと、予定通り、あっと驚く展開になります。この仕掛けはアイディア自体は月並みですが、練に練った筋書きで笑いのツボを押さえます。もう声を出して笑いました。
 しかも、前半の私のツッコミ部分がいずれも伏線となって、ばらばらのパズルがキチンと収まります。これは快感です。馬鹿げた撮影、杜撰な編集と見せて、実に丁寧な計算があります。
 加えて、映画や映画の現場に携わる人間、さらにその家族に対する愛情までもしっかり描きます。監督が脚本を書くのに時間がかかったというのはよくわかります。とどめは登場人物の特異な設定・キャラクターもエンディングではこういうことかと感心する羽目になります。
 また、実際の邦画界の現場を私小説的に皮肉ったような、無名の俳優たちの個性あふれる顔や頑張りも見てやってください。笑います(笑)。ただし、パンフレットによるとリハーサルは相当行ったということです。いまや、タレント俳優ばかりの日本の商業映画業界では忘れかけている気がしますし、彼らは何処で演技力を磨くのだろうか、心配になります。往年の黒澤明の映画も本番と同じ扮装で行ったそうです。大事な、でも当たり前のことですよね(笑)。
 結論としては「恐れ入りました」の一言です。快作です。確かにこれは大ヒットするわけです。立派です。笑えますし、心も温かくなります。
 未見の方は是非ご覧ください。これはゾンビ映画ではありません。とりわけ”映画”を愛する人は是非ご覧ください。
 ・・・本当に思い切って行ってよかった。
 もうすこし書きたいのですが、ネタバレになりそうなので、このへんで・・。

2018年10月 2日 (火)

シネマの神は細部に宿る

 アニメ映画監督の押井守氏の著書「シネマの神は細部に宿る」を読みました。
 押井監督というと、最近は実写映画なども手掛けているようですが、アニメ「攻殻機動隊」などの演出で、ハリウッドの実写版化などにも大きな影響を与えるなど、世界的な評価が高い作家と承知していますが、私自身は「うる星やつら2 ビューティフルドリーマー」ぐらいしか観ていないので、正直よくわかりません。
51radfwdetl_sx339_bo1204203200_  今回は、この本のタイトルに心を惹かれて購入したのです。著名な建築家の有名な座右の銘を映画づくりに引用した秀逸なワードです。
 良いものをつくるには細かな部分をきちんと詰めることが重要だというモノづくりの基本の哲学ですが、これは黒澤明の「悪魔のように細心に、天使のように大胆に」と同じ趣旨です。まさに至言ですよねえ。
 内容は、そのタイトル以上に、映画の設定や小道具などの細部だけにこだわったお話です。しかも、著者の軍事モノなどの趣味嗜好に特化しています。
 例えば、キーワードとして、”制服”の項目では「愛の嵐」のシャーロット・ランプリングの胸とナチ軍服(サスペンダーとパンツ)、「エイリアン」の宇宙服の下のリプリー・パンツ、また、最近流行の”日本刀”の項目では「座頭市」の殺陣の魅力、”銃器”では「モ-ゼル」への偏愛、”戦車”では「フューリー」、そして疾走する戦車シーンの「レマゲン鉄橋」、”潜水艦”では「Uボート」オンリー。男優では、トミー・リー・ジョーンズやエド・ハリスなどの曲者俳優を推薦しております。
 
 とにかく、その薀蓄のレベルは、とんでもありませんし、どうでもいいような”トリビアの泉”のような本当に微細な情報へのこだわりは想像を絶します。やっぱり一流といわれる人は尋常ではありません。大変面白し、ああ、そうなんだといろいろ勉強になりました。
81b558enjsl_sy445_  早速、「レマゲン鉄橋」や「Uボート」をDVDなどで再見しました。いずれも、リアルタイムで見た時にはそんなに面白かった記憶がなかったのですが、 やっぱり大変面白い作品でした。
 特に、前者は物量の凄さに単純に驚きます。本物の戦車の迫力は壮観ですし、CGではない本物の建物の爆発シーンの画面いっぱいの粉塵の凄さ・リアルさに圧倒されます。この戦争映画にはついて本当に見損なっていました。反省です。
 
 ただ、残念ながら、押井監督の”食い物”と”女優”のお話には、いま一つ付いていけません。「2001年宇宙の旅」の宇宙食や毒婦のおばさんの薀蓄には文字通り食指がまったく動きません。
 それに、あまりの造詣の深さゆえか、一刀両断的に斬り捨てられた”映画的な嘘”の作品も多少は大目に見てほしいものですねえ。
 半魚人も好きですが巨大な怪獣物にも、それに私の贔屓の「ローレライ」にもSFファンタジー映画として一定のご理解やご鞭撻をいただきたいと願うのは、一ファンの勝手な思いでしょうか。
 でも、この本に掲載された作品の中には未見の作品もまだまだありますので、これから少し忙しくなります(笑)。おかげさまで秋の夜長を満喫できそうです。どうもありがとうございました。  

2018年10月 1日 (月)

デモンズクロニクル 再び

 以前、このブログ(2011.6.11)でご紹介した、やのまんの懐かしの食玩シリーズ「デモンズクロニクル」の”その後”をお知らせします。
 実は、そのブログの記事から数年経って、当時は入手出来ていなかった「魔神皇サタン」の抽選品を確保していたのです。
 「魔神皇サタン」はシークレットで、もともと数が少なかったのですが、さらに100個限定の色違いバージョンで、通称「赤サタン」と呼ばれるものがあったのです。
 これは、前のブログに書いたとおり、抽選でしか入手できず、すっかりあきらめていたのですが、偶然、オークションで即決値段だったのを見かけ、いまとなっては忘れるほどの金額でゲットしたのです。
 今思えば、神様のお導き、いや、悪魔の誘惑だったのでしょうねえ(笑)。
 ともあれ、これで、フルコンプリートの達成です。
Img_3207  では、幻の悪魔の姿をご覧ください。写真のサタン(左端)です(笑)。さすがに、このお宝は、勝手に居なくならないよう、ガラス戸付きのコレクションケースに陳列です。
 なお、その右隣の2体は、デモンズクロニクルの姉妹品ともいえる「鬼神伝承」のシークレット、雷神と風神です。こちらのシリーズも一応揃っています。
 212tcqpwwhl_ac_us200_ 余談ですが、この悪魔たちの元ネタである、19世紀前半に発行されたコラン・ド・プランシー著の「地獄の辞典」をご紹介します。1990年6月に本邦初抄訳された単行本です。古書店でご覧ください。様々な悪魔・怪物たちを逐一解説しているのですが、その挿絵がなかなか味があります。まさしくヨーロッパの妖怪草紙です。
 ちなみに、最近では、この挿絵のシールまで販売されているようで、私自身はすっかり忘れていたのですが、依然として、”悪魔”は妖怪同様人気があることを再確認して安心しました。まだまだ”お宝”ですよね(笑)。
 <追記>
 _new せっかくですので、悪魔の図版シールを購入してみました。いかがですか?用途はわかりませんが、眺めているだけで楽しいですよねえ(笑)。
 

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