お馴染みの雑誌「映画秘宝」から別冊として、「アニメ秘宝」が発売され、オールタイム・ベスト・アニメーションという特集が掲載されています。いつもの新作に併せたジャンル紹介特集かと思いきや、その発売の背景には少々驚かされました。
編集後記によると、「映画芸術」という映画評論雑誌でこのたびベストテン選びからアニメが選考の対象外になったことに対する抗議の意味での発売だったというのです。
いやはや驚きました。いまさら、いや、現在のCGだらけの時代にあって、アニメを映画として認めないなどという暴論が罷り通るとは、本当に驚きを通り越して呆れ果てます。
どうやら、「この世の片隅で」のアニメ映画が1位を取ったのがお気に召さない?あるいは、人間の演技が評価できない?などというようなことが背景にあるようですが、その根底には、やはり実写至上主義、その裏返しにアニメを一段低く見下げる意識があるような気がします。
正直、私自身、このアニメを実写で見たい等という思いもありますし、俳優、衣装、セット、アウトドアの撮影隊のスタッフなど手間や経費を考えるとデスクの上だけでできる奴ら一緒にするな、という実写監督の気持ちもわからんではありません。(なお、「ガメラ3」の金子修介監督は、映画芸術擁護論を掲載しています。)
しかも、TVの手抜きの絵作りのような映画を見ると悲しい限りですが、それは個々の作品の質の問題ですし、役者の演技が無いと言っても、いまやハリウッドの大作は、ほとんどCG映像なのです。第一、映画の役者の演技は、昔から、照明、録音などの効果の総合的な結果であり、だからこそ、「映画は総合芸術」なのです。
そうした映画の持つ本質も考えず、アニメを映画と認めないというのはいかがでしょうか?
まあ、そういう思いは別にして、この雑誌の30人の識者によるアンケートを一読して、驚きました。ほとんどのアニメ作品を知りません。
わずかに、「うる星やつら2 ビューティフル ドリーマー」や「時をかける少女」、そのほか「風の谷のナウシカ」、「天空の城ラピュタ」などジブリ作品が数作。ルパン3世もベストテン常連の「カリオストロの城」に加え、「ルパン3世VS複製人間」があったことはうれしかったなあ。(これは隠れた名作です。)
あとは、「クレヨンしんちゃん」、「魔法少女まどか☆マギカ」、「ガールズ6パンツァ-」などもタイトルぐらいで内容は全く知りません。「トイストーリー3」も恥ずかしながら見ていません。
そのほか、TVドラマに至ってはほとんどわかりません。「あしたのジョー2」はそんなに凄いのかな?・・・さすがに劇場版に限定してください。
また、最近の会員制のサイトの製作映画は全く未知の分野です。
最新作「デビルマン」の評価は凄いのですが、予告編で見る限り、その昔ながらのTV版のような絵柄はどうも馴染めません。2次元ならジブリ映画の水準か、ハリウッドのように3Dのリアル感を確保してほしいものです。
逆に言えば、日本アニメの狭い世界の約束ごとの中でのマニアの評価のようにも思えます。(その意味では、業界関係者だけでない幅広い評価が必要なのでしょう。)
加えて、アンケートでは、実写映画「地球最大の決戦」のキングギドラの光線のアニメとか、レイ・ハリーハウゼンの「シンドバット7回目の航海」や「アルゴ探検隊の大冒険」の一場面を掲げている選者もいますので、その何でもありに思わず笑ったあとで、納得しました(笑)。
それにしても、これからは、クール・ジャパンの劇場版アニメももっともっと見なくてはいけませんな(笑)。ただ、定義としては、TV映画は劇場映画とは違うでしょう。さすがに、その線は譲れませんゾ(笑)。
最近のコメント