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2018年2月12日 (月)

動物の箱舟

  欧米の図鑑のすばらしさをもう一冊ご紹介します。ロボットとは全く正反対の動物の図鑑です。自然界の創造物の多様さと美しさを見事に切り取っている「動物の箱舟」という書籍です。
61e0xndn0tl_sy498_bo1204203200_  実は、この本は、絶滅に直面している貴重な動物たちを精密な画像に記録していこうという、壮大なプロジェクトの成果の一部なのです。
 昆虫から魚類、爬虫類、哺乳類まで、様々な絶滅危惧種が極めて精密な写真で紹介されています。図鑑というよりはむしろ写真集です。ユニークな動物界のアイドルがたくさん掲載されています。
 
 1ページに1匹、そして極小の昆虫や魚類と大型哺乳類を両隣にレイアウトしたセンスは、自然の多様性を生み出した無限のエネルギーを感じさせます。この箱舟に選ばれし動物たちの姿を眺めるだけで癒されます。
 
 その一方で、ページの片隅に記している現在の生存個体数を目にすると、いやおうなく人間の罪深さを感じます。この辺り、動物を絶滅から救おうというキャンペーンとしては、実に見事です。
 
 また、今回、何より驚いたのは、真っ白、あるいは真っ黒い背景の中で、体毛の一本一本までピントのあった大型哺乳類の生き生きした一瞬の表情を切り取っていることです。しかも、その体には埃やゴミなども一切付いておらず、まさしく絵に描いたように美しいのです。
 
 小さな昆虫や魚類ならわかりますが、大型動物については、本当に、どうやってこんな写真を撮ったのか、不思議になります。実写というより人工的にコンピュータグラフィックで作ったかのようです。
 
 種明かしを見ると、実に単純な方法でした。
 いずれの被写体も動物園で飼育されている動物であり、その飼育されている檻などに白や黒の背景の幕をはじめ、照明器具などを持ち込んで、動物たちが負担にならない形で撮影するのだそうです。
 さらに、体に付いたゴミなどは、それこそCG処理で1個1個取り除くのだそうです。
 
 納得です。もっとも、現実には、身体の大きな動物が撮影中じっとしていてくれるのは大変なことだそうでは、中には背景を破ってしまう動物もいるようです。いやはや、ご苦労様です。
 
 しかも、このプロジェクトは、道半ばであり、これからもまだまだ続くそうです。みんなで応援をしましょう。その資金援助として、是非、この本を買ってあげてください。お願いします。

ロボットの歴史を作ったロボット100

 欧米の書物は、やっぱりビジュアルが素晴らしい。「ロボットの歴史を作ったロボット100」という本が翻訳されました。
51rpryrlvnl_sx497_bo1204203200_  内容は、ロボット愛に満ち溢れた著者が、歴史上有名になったロボットを、古今東西の小説、雑誌、映画、テレビに登場した架空のものから最近の本物まで、ほぼ1頁に1体の割合で、絵や写真を載せて、解説を掲げています。いわば、ロボットの図鑑というものです。
 
 ロボットについては、もともと好きなアイテムですし、このブログでも映画関連での私的なベストテンを作成していましたから、私の好みのど真ん中の企画ですし、この本の著者(しかも女性で)の熱意には、脱帽しました。
 なにしろ、映画のロボットでも、知らないやつが結構あります。これから見なくては、と決意を新たにしています(笑)。
 
 まあ、主な名前だけ挙げても、マリア、アッシュ、ロビー、ビショップ、ベイマックス、ハル、ガンスリンガー(※名前があるとは知らなかった。)、センチネル、ゴート、T-800、T-1000、鉄腕アトム、ロボコップ、アンドリュー、ウォーリー、イヴ、エイヴァ(最近の映画)、草薙素子などなど、有名どころはしっかり入っています。
 特に、タロス レプリカント、ドクター・オクトパスが入っていたのはうれしい限りです。
 一方、ボクシングロボのアトム、ロボコップの名脇役が選に漏れていたのは残念な限りです。 
 
 さらに、やっぱりというか、著者が欧米人であるせいか、ロボット王国の日本については、鉄腕アトムと草薙素子しかなく、鉄人28号(復興祈念のシンボルの写真のみ)やゲッターロボの名は全くありません。ロボコップの元ネタである8マン※も忘れ去られています。(※日本でも忘れられているのでしかたありませんか・・) 
 そのうえ、現実のロボット開発の状況も、日本製はソニー(アイボ)やホンダ(アシモ)にとどまっており、世界の様々な技術の成果にはかなり遅れを取っているような感じです。
 
 どうも、こんなことからも、我が国の技術力、科学力の凋落を感じます。国際社会では、政治はもちろん、経済もダメ、これに技術力もだめなら、本当に我が国の未来はないような(大げさな)気がします。お金儲けだけじゃなく、基礎研究の学問に力を入れましょう。
 「ニッポンはスゴイ!!」なんていう自己満足のテレビ番組(最近、やけにこの手の番組が多い)を喜んでいては将来が心配になります。どうも政治にお追従するテレビ界も困りますねえ。
 
  ・・・おっと、年寄り臭い、辛気臭い話になりました(笑)。とにかく、ロボットには夢がありますし、童心に帰って、こういう本を楽しみましょう(笑)。

2018年2月11日 (日)

世界のカルト監督列伝

 お馴染みの映画秘宝から別冊「世界のカルト監督列伝」という雑誌が発売されました。不況と言われる出版業界の中で、洋泉社は、なかなか元気で、最近、特撮やらホラーなど様々なカルト映画特集雑誌を立て続けに出版しています。いまや、そうしたジャンルにそれだけの需要があるということでしょうかねえ。
 
51gdalmphrl_sx352_bo1204203200_  例えば、何故か、市川崑の「悪魔の手毬唄」や、直近では、本多猪四郎監督の「フランケンシュタインの怪獣・2編」の大型本、それと並行して、アクション、SF/ホラー物の、昔風に言ったら、”色物”というか、B級映画の別冊を盛んに出版してるのです。一方、普通の映画関係は、あまり出版物を目にしないので、世の中がカルト系にシフトしてきている感じすらもします。なにしろ、ゾンビもいまや、すっかりA級ですから、本当に変わったものです。61scffpqtjl_sy414_bo1204203200_
 
 さて、前置きが長くなりましたが、この「世界のカルト映画監督列伝」は、カルトと冠してはいますが、一部のマニアだけに熱狂的に愛される映画の監督を集めた、というより、血みどろ、アクション、ホラーなどの”映画秘宝”的ジャンル映画の監督特集ですねえ。いまやメジャー監督もいますし、・・・。
 
610i57u61ml_sx349_bo1204203200_  例を挙げると、クエンティン・タランテーノ、サム・ライミ、ジョン・カーペンター、ブライアン・デパルマ、ポール・ヴァーホーヴァン、ギレルモ・デル・トロ、サム・ペキンパー、ジョー・ダンテ、ジョン・ランデス、テリー・ギリアム、トビー・フーパー、マリオ・バーヴァ、デビット・フィンチャー、ジョージ・ミラー、ダリオ・アルジェント、ピーター・ジャクソンなどなど盛りだくさんです。
 逆にいうと、現在活躍中の、普通のジャンルの監督をあまり知らないことがわかりました(笑)。
 
 この特集の一番の読みどころは、こうした監督たちの現状を取材しているところです。一世を風靡しても、いまや厳しい事態に追い込まれている状況も見られ、やっぱり、ハリウッド、いや、映画の製作現場というのは、大変過酷で非情な世界ということを改めて知らされます。
 
 スティーブン・スピルバーグやリドリー・スコットなどのホンの一部の天才たちだけが常に第一線に存在することができるのでしょうかねえ。
 
 多分、我が国の映画界も規模は違っても、同じ状況でしょうねえ。いや、予算が少ない分、もっと過酷な地獄かもしれません。あの巨匠小林正樹監督の晩年は涙します。
それだけに、改めて、本当に、映画監督という職業には、あこがれと敬意を表したいと思います。
 
 そして、やっぱり悲しいのが、「今夜は、ロマンス劇場」ではないですが、忘れ去られる監督たちです。
51ff88qhal_sx383_bo1204203200_  私の若い頃は、「ウィリアム・ワイラー」とか「ビリー・ワイルダー」が一流監督、名監督、名匠と奉られていたのですが、いまや、ほとんど顧みられません。
 
 左のあちらで編集された映画監督501人には、選ばれていないのです。まあ、我が国のひどい監督が載っているので、あくまで一編集者の偏りと思いたいのですが、実際、アチラの評価はどうなんでしょうかねえ。・・・私はあくまでその生み出した作品群は傑作ばかりと思っています。
 
 まあ、芸術の評価は、時代ともに移り変わります。生前は持てはやされた宮廷画家の絵が時の流れに葬られ、まったく無名のゴッホなどが後世では高く評価されていることは、有名なお話で、ある意味当然なのですが、それとは少し違うような気がします。
 
 やっぱり、映画の評価はなんか変だなあ。映画評論家と称する輩が勝手に捻じ曲げているような気さえします。
まあ、結局、誰がなんと言おうとも、劇場の出会いの中で、「好きな映画は好き」でいいのだ!(笑)。
 
 

今夜、ロマンス劇場で

 2月に入って、封切り映画で食指の動く作品が見当たりません。しかし、しばらく劇場に足を運んでいないと禁断症状が出そうになった頃、丁度、夕食時に家族と一緒に眺めていたテレビのバラエティー番組に、番宣(映画でもこの言葉かな?)のため綾瀬はるかが出演し、「今夜、ロマンス劇場で」という新作映画の紹介をしていました。
 
 この映画は、銀幕から登場人物が抜け出し、映画の助監督と恋に落ちるというファンタジー映画ということをチラシなどでわずかに知っていた覚えがあるものの、全く興味がなかった作品でした。
 
 ところが、その番組の中で、綾瀬はるかが、あろうことか「王女様が映画’館’から出てきて・・・」と紹介したので、共演者たちは爆笑、「それ普通やろ」とツッコミを入れ、聞いていた私達家族も全員噴き出しました。
 さすが、”天然女優”と呼ばれるだけあって素晴らしいコメントです。そのうえ、その後のゲームでも、おっとりした雰囲気とはかけ離れた身体能力の高さを披露しました。
 いやはや、演じていない時は、普通と一寸違う感性がやっぱり女優には必要なのかなあと妙に感心しました。
 
 そういえば、彼女は、「JIN」で可憐な娘を演じる一方、女座頭市、女サーボーグ、最近ではNHKのファンタジー・ドラマの女用心棒も演じています。アクションもこなすのです。
 以前からこのブログでも紹介しているように、容姿は少し私の好みとは異なりますが、女座頭市以来のファンなのです。
 ということで、笑わせていただいた分のお返しという意味で、昨日、この映画を観て来ました。
 映画自体は、予想通り、いかにも邦画らしく、撮影所のセットをはじめ東映調の安っぽい造りのうえ、共演の坂口健太郎君も演技がたどたどしいため、前半今一のノリでしたが、万国共通の映画ファンの気持ち、映画を愛したいという思いは、共感し、くみ取れるストーリーでした。
 特に、「映画で記憶に残るのは一部、多くの映画は忘れ去られる。」というセリフがありますが、こうした消えゆく映画への愛こそがこの映画のテーマでした。いいんじゃないか(笑)。また、脚本の終わり方、ラストの締めは予定調和とはいえ、一応納得です。
 
 しかし、こうしたファンタジーは、細部を徹底的にリアルに作り上げることが不可欠なのです。全体的にセットじみた、あるいはCG丸出しの薄っぺらな絵では、やっぱり説得力が足りません。監督の力というより予算の差なのでしょう、本当に残念でした。
 以上、今回は、突然の鑑賞であり、チラシもありません。
 こうしてみると、同じオードリー・ヘップバーンへのリスペクト映画でも、多部未華子主演の「あやしい彼女」はやっぱり傑作です。・・うん、今晩あたり、DVDで見直そうかな(笑)。

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