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2017年11月26日 (日)

ジャスティス・リーグ

 DC印のヒーロー達が集結する「ジャスティス・リーグ」について、マーベルの最新作「マイティ・ソー バトルロイヤル」と同じように、無残な出来ではないかと心配していました。
 
 マーベル印の直近の作品のことは、先日のブログに書きましたのでご参照ください。ただ、驚くことは、興行的には結構な成績を上げているようで、その作品を高く評価する評論まであります。
 引用すると、マーベルのシリーズは、2016年の「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」でテーマが行き着くところまで行ってしまった感(親殺しを許せるか?、戦いの正義は何か?等々)があるので、本来のアメコミの原点である単純な英雄物語に回帰したものという主旨であり、次回のアベンジャーズへの布石だろうという分析でした。「なるほど」という気もしますが、オジサンとしては、やはり映画としてどうかなあと思ってしまいます。
_new  話をもとに戻しますと、このDC版アベンジャーズはなかなか良くできています。観客がリアルに感じるように、ストーリーも美術も実にうまく料理しています。
 正直、ドキュメンタリーな匂いまでして、ありえないSF・ファンタジー用のセットも、金ぴかではなく、汚し塗装というか、生活感を見事に出しています。これだけでも見る価値はあります。
 
 さて、登場するヒーロー達については、バットマンはともかく、ワンダーウーマンでさえ、前作で初めてアマゾン族の女王の子という出自を知ったくらいですので、超高速で動くフラッシュ、半分機械化したサイボーグ、海底都市アトランティスの王子アクアマンなど、全然知りませんでした。
 
 しかし、このたくさん登場するヒーロー達の出自などを実に要領よく整理し、それぞれのエピソードも当然絵空事なのですが、センス・オブ・ワンダーの視点で、説得力を持って描かれています。真剣でセンスのあるリアルな演出に好感が持てます。バットマンの能力は金持ちというのは笑えます。でも、考えれば、唯一、普通の人間ですよね、ひとり痛そうでした(笑)。
 そのうえ、今回の敵は、かつて大昔、アマゾン族とアトランティス人と人類が団結して戦い追い払った歴史があるというのです。さながら「ロード・オブ・ザ・リング」のようです。いいじゃないか(笑)。
 
 最後に、今回、スーパーマンが甦るのですが、このことは上映直前まであんまり情報がなく、心配していたのですが、結局、DC元祖のスーパーヒーローだけに、一番強く、なにしろ敵のボスが「クリプトン人」を恐れるほどですし、全体としてはストーリー上の扱いが一番だったということが心地良いものでした。第一、ご贔屓のエイミー・アダムスもちゃんと出演しています。楽しい2時間をありがとうございました。
 
 

2017年11月 7日 (火)

ブレードランナー究極読本

 映画「ブレードランナー 2049」の公開に合わせて、映画秘宝の別冊として、ブレードランナー特集本が発売されています。

61zej4zgr1l_sx349_bo1204203200_  実は、この本をアマゾンで予約注文していたのですが、「一時的に在庫切れ、入荷時期未定」という扱いとなってしまい、ほとんど入手を断念していました。
 ところが、地元の某レンタル大型書店には、多数平積みされていました。・・・こんなこともあるのですねえ、最近は、アマゾンと再販流通サイドが対立しているとの噂もありますが。そんなことが関係しているのでしょうかねえ。驚きです。     

 まあ、それはともかく、本を手に取って、その内容にも驚愕です。元々マニア向けとは思っていましたが、ここまでのオタクぶりには脱帽します。

 なにしろ、冒頭の特集から意表をつきます。
 なんと、ブラスター(ブレードランナーの所持する大型銃)のモデルガンの種類とその歴史が20ページにわたり掲載されているのです。留之助商店のモデルらしいですが、見ていると楽しくなりますが、値段を見て絶句です(笑)。高けえ。

 次は、当然、スピナー(空飛ぶ車)の解説です。撮影に使われた後の使い回しの行方まで記載されています。
 そのほか、ポスター、サントラ、年表などは当たり前。予想した通り、映画版のバージョン違いのレポートまであります。極めつけは、好きな編集ができるようなカット一覧表まであります。お好きなように順番を変えてはどうか、というお薦めコーナーだそうです。何を考えているのだ(笑)。

 最後は、トリビアとして、誠に超マニアックな記事を網羅しています。例えば、レイチェル役のショーン・ヤングは、一時期お騒がせ女優と言われたものですが、今では穏やかに暮らしているという報告には、涙、涙です。

 私も、オリジナルには愛着がありますが、こういう記事の作者達を知ると、世の中には、とんでもないレベルの人種が多数存在していることに驚きます。
 つまるところ、自分の中途半端さを思い知らされますし、正直、もう腹一杯になって、もはや記事を読む気も失せてしまいました(笑)。

 それにしても、こうしたオタクたちを生み出した映画「ブレードランナー」の偉大さを改めて思い知らされました。ブレラン、万歳。

2017年11月 6日 (月)

IT(イット)

 土曜の夜のお楽しみを台無しにしたアメコミ映画のお口直しに、少し、劇場に行くのをためらっていたホラー映画「IT(イット)」を日曜日の午前中に観て来ました。
 
 前後編2冊揃いの分厚い原作も読みました。細かな日常生活を積み重ね、リアルな恐怖を描く描写があちらでは評価されてたようですが、日本語の文章では退屈でどうにもなじめませんでした。さらに、ITの正体に至っては、とても馬鹿馬鹿しくて誠に興ざめでした。以前に、一度、映画(TV?)化されたものの、原作どおり忠実に再現されたITの正体は、やはり噴飯物でした。当時の映像技術では無理と思った記憶があります。
 
 ところで、余談ですが、”IT”とは、サイレント時代には、肉体派女優のことをIT(あれ)女優と呼んでいたそうです。あれとそれとはどう違うのか、どなたか教えてほしいものです。
 ちなみに、映画に登場するピエロは、欧米では、実際に起こったピエロの姿をした連続殺人鬼のせいで、いまやお笑いのシンボルではなく、恐怖の的になっているそうです。
 ちなみに、余談ですが、本来、道化役は、漫才のボケとツッコミの2人コンビであり、”ピエロ”とはボケ役の呼び名で、今回の映画に登場する姿は、ツッコミ役の”クラウン”というそうです。これはパンフの受け売りです。
 
Photo  さて、今回の作品は、結論からいうと、ホラー版スタンドバイ・ミーとでもいうようなお話であり、ITの正体も原作とは全く違う、映画オリジナルですので、ご安心ください。
 映画は、雨の降る田舎町から始まります。この冒頭の雨降りのシーンが白眉です。これからの行方を暗示するかのように陰鬱でしかし美しい映像です。
 かつて、黒澤明は、「羅生門」で墨を混ぜた雨を降らせて、雨粒をスクリーンに映し出したそうですが、カメラの性能が格段に進歩したとはいえ、あれだけ広範囲のエリアで雨降りの情景を描きだしたのは見事です。
 
 黄色い雨合羽を着た主人公の弟が、住宅街の側溝に流した折り紙の舟を追いかけて行くシーンは、華麗なカメラワークを通じて、予想される悲惨な運命を美しくも哀しく表現します。
 側溝の穴に近づくなという観客の願いもむなしく、彼はのぞき込み、お約束どおりペニーワイズ(ピエロの名)に襲われます。なお、R15+ですが、このシーン以外は、存外、物理的なショックは控えめですので、ご安心ください。
 それにしても、明るい青空や豊かな自然の中で、うわべは美しい街並みのあるアメリカの田舎町の閉塞感を描いています。思春期の子供たちそれぞれが、かなりハードな悩むを抱え、屈折し、恐怖と不安に耐えているのを浮き彫りにします。
 なにしろ、少年たちの演技がともかく上手いし、恐怖が実体化する不安感をよく表現しています。ただ、怪物に立ち向かう少年たちの蛮勇は、少し無理があるかもしれませんが、まあ、いわばそれが青春です(笑)。
 
 結局、超常現象を産む怪物ITより、大人の心に巣食う闇が数倍恐ろしい気がします。いやあ、トランプ大統領の支持基盤である普通の白人層をどうしても想起してしまいます。こわい、こわいなあ。
 未見の方は、どうか、映画をご覧ください。いろいろな気づきがある稀有なホラー映画です。それにしても、怪物が人間じゃないので、恐怖も楽しいエンターテイメントに仕上がっています。どうか安心して観てください。
 なお、エンドロールでは、第一章と表示されましたので、今後の第二章の続編がいまから楽しみです。
 
 

マイティ・ソー バトルロイヤル

 楽しい土曜の夜に、本当にしょうもない映画「マイティ・ソー バトルロイヤル」を観てしまいました。
 
 実は、何を隠そう、最近のマーベル印の映画は、巨額(多分)の資金を掛けた豪華なCG映像、意外と深い意味がありそうなストーリー、結構な大スターの出演などの理由で、すっかり私のお気に入りのシリーズになっていたのです。
 以前のアメコミ嫌いの私は一体何処に行ったのでしょう、多分、年のせいと思いますのでお許しください(笑)。
 
 さて、今回は、ケイト・ブランシェットがゲスト出演するというので、大いに期待していました。ところがどうしたことでしょう。あまりに単純でお馬鹿なストーリーだったのです。
 
 まず、北欧神話の神オーディンの第一子であり、ギリシャ神話のゼウスの妻ヘラとたまたま同じの名を持つ死の神(この設定も無理がある)をブランシェットが演じるのですが、登場するやいなや、弟のソーの必殺武器のハンマーを握りつぶした上に、異世界まで吹き飛ばします。そして最後には、なんと神の国アスガルドまで破壊するという物語です。いやはや何のひねりもない、大味なストーリーです。
 
 そして、それ以上に情けなかったのが、神の国などの異世界の造形・デザインの手抜きのような、安直さです。
 定評のあったCG技術も、原色系のセットや小道具などの美術の粗末さとあいまって、ファンタジーに欠かせない、異世界としてのリアルさやセンスオブワンダーが全く感じられないのです。チープで出来損ないのデザインのおもちゃ箱です。いやあ、これには参りました。
 
 どうやら、ソーとハルク(緑色の大男)のグラディエーター姿の戦いを見せたかっただけ、という製作陣の意図が透けて見えます。スタンリーさん、大丈夫ですか?少し、クロヒョウやら、魔術師やら、生産過剰ではありませんか?今後の品質を心配しますゾ。もっとも、アメコミの世界そのままと言えるかもしれません。多分、意外に評価の高い理由は、そうしたアメコミファンの声なのでしょう。
 
 まあ、故淀川長治氏の「どんな映画にも、一つは良いところがある」という言に因めば、どんな立派な神の国も、国づくりの過程では、他民族の征服、殺戮と略奪の歴史がある。そもそも国とはそういうものであり、当事者が君子のようにふるまっても説得力はない。そして、王国は、必然的に滅びるのだ・・・という寓話なら、その点だけは買えます。 
 
 なお、買うといえば、この映画のパンフレットを、魔が差したのか、映画を見る前に買ってしまいました。そこも残念でした(笑)。
 ちなみに、翌日曜日の午前中に、口直しに別の映画を観に行きましたが、これが予想以上に傑作で・・・これはまた別のお話です。
 終わり。
 

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