カルト的人気を誇るリドリー・スコット監督のSF映画の傑作「ブレードランナー」の続編が製作されたと聞いて、大変心配していました。
30年もたって、何故、いまごろ続編を作るのか、しかも、あの「エイリアン」シリーズでさえ、スコット監督自身が作った最新作は全く異次元(?)に行ってしまいました(笑)。
実際には、リドリー・スコットは製作にまわり、私にはどうにも理解できない「メッセージ」のドゥニ・ヴェルヌーヴが監督とのことで、正直どうなるのか、不安を消すことができませんでした。
というのも、私、このオリジナルの「ブレードランナー」が大のお気に入りなのです。
公開当時、劇場で観た時のインパクトが忘れらません。あの暗い世界を象徴するような音楽、雨降りの中のネオンにかすむ悪夢のような未来都市、さらにライトの光源がリアルなスピナー(空飛ぶ車)など、当時の特撮技術の粋を集めた圧倒的なイメージでした。
そして、それ以上に、ショーン・ヤング演じる”レイチェル”です。いかにも、理想の特別の人造人間という形でした。いやあ、ハリソン・フォード演じるブレードランナーのデッカードでなくても一目ぼれします。
この大事な作品を、スコット監督は、こともあろうに、ビデオテープ(LD)をはじめDVD化するたびに、異なるバージョンを出すのです。ディレクターカット版はもちろん、ファイナル版まで、何度手を加えるのでしょう。買う方も大変です(笑)。 ちなみに、私は、ハッピーエンドで終わった劇場版が一番好きなのです。
ということで、私としては、何故、いまさら続編を作るのか、大いに疑問でしたが、それは、全くの杞憂でした。
結論からいうと、誠に見事な続編です。30年後に続編を作る理由も意義もしっかりした”メッセージ”があります。いやあ、この監督を見直しました。手のひらを大きくひっくり返します。お見事。
映像は、もうCG技術を使って誠に申し分ありませんし、よくオリジナルの雰囲気を再現しています。とりわけ、巨大な宣伝ネオンが、フォログラムに代わり、エロチックなセンスも抜群です。「ゴースト・・」とは一線を画す出来です。
しかし、それだけではありません。時代設定、登場人物、ストーリー展開が素晴らしいのです。逃亡レプリカント(人造人間)を追う主人公のブレードランナー(警官)も、やはり、戦闘用レプリカントで、仲間から”人もどき”と差別されながらの行動をハードボイルタッチで追います。
その過程で、今、我々が直面する様々なテーマ、例えば、AIとの恋愛なども描かれます。このAIジョイの純情が切ないのですが、なにより、オリジナルのテーマが人造人間の人権、と寿命だったのが、続編では一挙に拡大します。ここは、ネタバレになりますので、やっぱり、劇場でご覧ください。続編の意義にもつながりますゾ。本当に脚本がうまい。
最後に、あの人のサプライズな登場もうれしい。最新のCG技術に乾杯しましょう。ここも、是非、劇場でご覧ください。
いやあ、続編はかくあるべきです。
SF映画続編史上3番目の傑作(笑)が誕生しました、というぐらいに私は大いに贔屓にします。
ちなみに、1番、2番の作品は、①ターミネーター2、②エイリアン2です。
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