パニック・イン・テキサスタワー
随分昔、テレビで放映されていたある狙撃犯の物語に忘れられないシーンがあります。
それは、アメリカの大学構内にある高い塔の上から、無差別に多数の人を狙撃している犯人を捕らえるべく、警官が銃を構えて回廊の縁に沿って進んで行く場面なのですが、警官の脂汗を流しながらの悲壮な表情や姿に、とてつもなくリアルな緊張感と迫力があったのです。・・・しかし、それから40年という経過の中で、作品名もすっかり忘れていました。
そのDVDの宣伝文句が「1966年に実際に起こったテキサスタワー乱射事件を映像化した伝説のTVムービー」とあり、嗚呼、これは、前述の私の記憶に断片的に残っている作品だと直感しました。
早速、購入して、視聴しましたが、間違いありません。まさに、あの白昼の悪夢が描かれています。
今見直しても、塔の上の演出は静かな迫力に満ちています。
今見直しても、塔の上の演出は静かな迫力に満ちています。
しかし、それ以上に、忘れていた部分も多くありました。
まず驚いたのが、犯人役が若き日のカート・ラッセルなのです。彼が狙撃事件を起こす前に母と妻を殺すシーンなどは、直接の殺害の描写はないのですが、その無表情が恐ろしい。
また、主演のメキシコ人の警察官に対する人種差別や大量の銃や弾丸を簡単に販売する銃規制の甘さなどを静かに批判している演出も素晴らしい。
やはり、映画の面白さは、お金や大スターではなく、演出ですねえ、改めて思いました。
いやあ、これは地味ですが、やっぱり傑作です。
それにしても、最後に字幕に犯人の動機を頭の中の腫瘍のせいにする説明があったのは、製作の70年代との時代の流れを感じさせます。
未見の方は、是非、ご覧ください。
最近のコメント