ワンダーウーマン
「バットマンVSスーパーマン」に前振りなしで登場したワンダーウーマンの誕生編がこの「ワンダーウーマン」です。
元来、アメコミには全く興味がなかったので、スーパーマン並に強い、この女ヒーローの素姓を全く知らなかったのですが、結局、ギリシャ神話の神ゼウスの隠し子だったのですねえ。SFと神話が融合化しています。
そういえば、アメコミの世界には、こうした神話由来のスーパーヒーローが結構多いのです。実のところ、欧米社会では、キリストなどの絶対神以外の神様は、神と言っても全知全能でもなく、非情に人間臭い、いわばパワーや能力が人類以上というだけの超人や宇宙人の類なのですねえ。
そのおかげ(?)で、神話の神様が当たり前のようにSF世界のスーパーマンやバットマンと同じ世界に馴染んでいるのかもしれません。
この映画は、こうしたトンデモナイ設定の超人を、ほんとうにリアルに、というと可笑しな気がしますが、実に上手に描いています。
時代は、第一次世界大戦のころまで遡りますが、あのコスプレの様な衣装にもかかわらず、精緻に再現した悲惨な塹壕の戦場や戦火の町並みなどに、すんなり溶け込んでおり、違和感は全くありません。
泥だらけのマントなどをうまく使っているのですが、この手腕、この映画美術は尋常ではありません。女性監督ということですが、凄いと感心するばかりです。
泥だらけのマントなどをうまく使っているのですが、この手腕、この映画美術は尋常ではありません。女性監督ということですが、凄いと感心するばかりです。
最近のハリウッド映画は、CGのおかげもあって過去の時代の雰囲気を本当にリアルに再現していますが、その中でも重厚感、臨場感は抜群です。要はセンスなのでしょうねえ。あの記念写真の映像がそれをよく象徴しています。やっぱり、お金の掛け方が違うのでしょうねえ。
さて、物語は、意外なラスボスの登場も含め、ほぼ予想通りなのですが、主演のガル・ガレットが結構面白い。初めて見た男の感想やアイスクリームの出会いなどのコミカルで楽しい会話は、脚本の勝利かもしれません。
また、銃弾も跳ね返し、塔よりも高く飛ぶ、アメコミ・アクションの見せ場もさすがですが、それ以上に、この映画は戦争の悲惨さ、戦場の残酷さをよく浮き彫りにしています。この辺の演出も非凡です。
アメコミと侮るなかれ、なかなか良いぢぁないか。・・・最近、こればかり(笑)。
いやあ、ほんとに面白かったです。次作もこの女性監督で期待したいですねえ。
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