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2017年6月11日 (日)

ヒッチコック/トリュフォー

  現在ではサスペンスの巨匠と称されるアルフレッド・ヒッチコックは、かつてアメリカではそんなに評価されていなかったといいます。例えば、大スターのゲイリー・クーパーは、「海外特派員」への出演オファーを断ったといいますし、アカデミー賞にもとんと縁がありません。
 しかし、フランスのヌーヴェル・ヴァーグの映画作家たちが作家性、芸術性を高く賞賛(ちなみにハワード・ホークスも同じだったそう)したため、その評価がアメリカに逆輸入されたと聞いています。さすが、やっぱり、どこも芸術の国フランスには弱いねえ(笑)。
 こうした再評価の筆頭が、映画評論家から監督となったフランソワ・トリュフォーであり、そのトリュフォーの依頼で、かの名著「映画術 ヒッチコック/トリュフォー」が生まれたのです。   
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 この本については、以前、このブログでも取り上げましたから多くは述べませんが、世界の映画作家たちの教科書となったともいわれていますし、一般人が読んでも映画作りの面白さ、裏技が楽しめます。
 まだ、CGはもちろん機材の少ない時代の創意工夫のなんと素晴らしいことか、ヒッチコックの才能に驚嘆します。
 
 例えば、「断崖」のコップに入った牛乳のサスペンスは、コップの中に豆電球を仕込んで光らせたとか、拳銃を持つ手のアップは、巨大な手の張りぼてを作ってカメラの手前に置いたとか、「サイコ」のシャワーは、カメラに水がかからないように穴がアッチ向いているとか、映画的効果を高めるための様々なアイディアは、創造力というものの無限の可能性を教えてくれます。
 
 また、そうしたテクニック以上に、映画とは何かをヒッチコックの考えを浮き彫りにして示してくれました。「たかが映画じゃないか。」の言葉はヒッチコックだから価値があるのです。
71abbh3qc1l_sl1434_  その名著のDVD化なのです。最初聞いたとき「何それ」とわが耳を疑ったのですが、実は、その本のための長いインタビューの音源、つまり録音が全部残っていたそうです。ヒッチコックとトリュフォーと通訳のおばさんの3人、そして時々記録写真のカメラマン。
 
 朝から晩まで何日もかけて撮影所の一室での全作品についてのロング・インタビューです。気難しさで有名なヒッチコックも、多分、自分の評価を高めてくれたトリュフォーだから、こんな申し出を受けたのでしょうし、トリュフォーも、映画を1本作るような準備をして臨んだそうです。
 
 その結果、歴史的な名著が誕生し、その後も二人は死ぬまで手紙で交流していたそうです。・・・良い話でないですか。
 
 さて、DVD120分の内容は、おもに、「サイコ」と「めまい」を中心に、映画のシーン映像を使った、こまかな分析にくわえ、マーティン・スコセッシなどの著名な映画監督のコメントが入ります。もう少し、他の作品にも時間を割けばいいのではとは思いましたが、まあ、いいでしょう。
 それにしても、「エイリアン3」以後、私とは相性のよくないデビッド・フィンチャー監督が誠にまともな素晴らしいコメントをしていたのは意外でした(笑)。(これは偏見ですねえ、反省します。)
 
 映画ファンには、本当に楽しいDVDでした。映画を愛する若い方々は、映画の古典に親しむこと、ヒッチコックを知る楽しみを是非、味わってください。

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