地球博物学大図鑑
久しぶりに素晴らしい「図鑑」に出会いました。(今回は映画の話ではありません。)
今から4年ほど前に、「地球博物学大図鑑」という31.2cm×26.2cm×4.6cmもある分厚い図鑑が出版されました。
紹介文によると、「この惑星に存在する生命の複雑多彩さを一冊の本に収めるなら・・・その一冊に限りなく近い書物である。」というもので、「コレラ菌からシロナガスクジラ、アカカゴタケからジャイアントセコイア、ハチドリからダチョウまで・・・見事に記録されている。」
どうですか、博物学に少しでも興味のある者、いや無い者でも、手に取って読みたいと思いませんか。表紙のデザインまでも、私の好みのド真ん中です。
とはいっても、この本は大きく、分厚く、重量もあり、値段が税込みで1万円の大台に載るせいか、書店の店頭ではビニールで封印されています。
個人的にも、手狭になった我が家の収納スペースや財政状況を考えれば、中身も見ずにはなかなか購入に踏み切れませんでした。
しかし、アマゾンなどのネットショップでは品切れ状態となり、既にプレミア価格の取引も行われている最近の状況に鑑み、ついに、先日思い切って、老舗書店の「紀伊国屋書店」から取り寄せました。
「素晴らしい」とため息をつくばかりです。まだまだ我が国の出版界では到達できないレベルです。欧米の図鑑文化、いや博物館の歴史の重みと厚さを感じます。実際、この本は、手に持てず、机に置いて読むしかありません(笑)。
具体的に言えば、植物、動物、菌類、微生物に加え、岩石、鉱物、化石まで、遺伝子解析による分類体系に沿って、5154種を6000点を超える写真とイラストで解説しているのですが、その大部分(5900点)を占めるフルカラーの写真は、例えば、極小の昆虫の足の棘先までピントが合っている極めて精緻な画質であり、そうして撮影された沢山の生物達が見開きのページの真っ白な背景にバランスよく配置されています。
ちなみに、細密画で描かれているのは、クジラ類などどうにも写真撮影が困難なものに限定されているようです。
しかも、掲載種の選択が凄い。一般的な種ではなく、貴重な珍奇な種を選んでいます。結構初めてみる奴もいますし、野菜などは野生種に限定です。このへんは、さすがスミソニアン博物館ですナア。
この図鑑は、私が幼い頃から慣れ親しんだ我が国の子供向け図鑑が進化した究極の姿であり、私の思い描く理想形なのです。属ごとに、数十の生物たちが美しくも見事に掲載されています。これほど森羅万象を整理し、知的好奇心を満足させる図鑑は知りません。
少し高価ですが、是非、書斎に置いて地球のロマンを感じてください。特に、子どもたちには大切なことだと思います。
といっても、私の家族は、私以外誰一人興味もなく、本の置き場所を危惧しているばかりですが・・・(汗)。
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