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2017年4月30日 (日)

無限の住人

 不死身と聞けば、古くは、「伊賀の影丸」のライバル天野邪鬼、そして、そのオリジナルの山田風太郎作「甲賀忍法帖」の薬師寺天膳が思い出されます。
 そのほか、「あしたのジョー」の力石徹に打たれ続けて立ちあがった矢吹丈(笑)も居ます。
 何時の時代にも、格闘家、いや戦う者にとって、不死身ぶりは最大の憧れかも知れません。
 「無限の住人」の主人公、万次は、八百年を経た八百比丘尼に血仙蟲(体を再生する蟲)を体内に仕込まれ、50年を経たという設定です。確か、八百比丘尼は、人魚を食べて長生きしたという伝説がありますし、血仙蟲というアイディアもなかなか良い。もっとも、これは、原作の漫画を褒めなければなりません。
 しかも、この不死身の身体も斬られれば痛いという設定が面白い。再生するものの、その度に死ぬほどの苦しみを受けるのが上手い作劇と思います。
 さらに、二百年生きた同類の閑馬永空がおり、映画では市川海老蔵が死ねない苦しみを演じます。このあたりは、「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」の吸血鬼と同じですなあ。
 ともかく、一度、原作漫画を読みたくなりました。
 
_new  さて、映画の出来ですが、グロ趣味の三池崇史監督に、あのキムタクが主演と聞いて、正直かなり心配でした。なにしろ、時代劇の名作「十三人の刺客」をあんなに下品にしちゃった人ですから(笑)。
 冒頭、プロローグとして万次が不死身になるきっかけの百人斬りシーンがモノクロで描かれます。この殺陣は、望遠アップを多用し、モッブシーンの中で一気に描かれます。本当に力技のような映像です。斬って、斬って、斬りまくる。形もなにもありません(笑)が、その迫力には正直感心しました。
 この映画は、時代劇として美術や色調などはなかなか好感が持てます。
 そして、登場人物の造形も、その使う珍奇な武器も、万次とのそれぞれの対決も工夫されています。もっとも、これらは原作の設定でしょうが・・。
 
 キャスティングでも、結構な役者さんが個性あふれる敵役に扮しています。そうした敵が次々登場し、あれよあれよという間に簡単に退場していきます(笑)。
 
 主演のキムタクは殺陣には相当頑張ったと思いますが、アクション以外は時代劇らしからぬキムタク節も健在で、「めんどくせぇ」という今風セリフなどがしばしば雰囲気を損ないます。よくも悪くもキムタクはキムタクなのでしょうし、女性の二人連れの観客も多く、やっぱりキムタクの映画だなあと痛感しました。
 
 そのせいか、キムタク演じる万次の性格が今一つ伝わりませんし、なにより、あれだけ度デカイ隠し武器を着流しの姿のどこに隠しているのでしょうか(笑)。体を揺すれば瞬時に出てる十手のような剣やら手裏剣やらは、二本差しの着物の下にドラえもんのポケット(笑)でもなければ入りませんぞ。
 かつての日活映画の何十発でも弾の出る拳銃のような嘘が、不死身という架空の設定をリアルに作り上げている努力を無にします。万次がそれらの武器を出す度にシラケます。
 もっとも、冒頭の百人斬りもそうですが、ラストは、300人のエキストラとパンフレットに書いていましたから、多分三百人斬りという設定から言えば、もはやリアルさとは無縁ということかもしれません。(不死身自体がそうですが・・・)
 
 しかし、お話が荒唐無稽だからこそ、些細なところはリアルに作り上げるというのがSF・ファンタジー映画製作の鉄則です。あちらのSF映画スタッフがどれだけリアルさを追求してるか、DVDのメイキングを見てください。その姿勢と努力には感動します。もっとも、その分、お金がしっかりかかりますが(笑)。
 これは、誰も実際行ったことのない時代劇も同じです。
 とりわけ、アメコミならぬ、ジャパニーズ・コミックの映画化ですから、そのあたりはもう少し配慮・工夫してほしかったものです。
 
 結局、総じて言えば、奇天烈な剣士や殺し屋がわんさか登場して、とんでもない殺陣をさっさとこなして、感情移入できないまま終わってしまった三池ワールドでした。 
 

2017年4月29日 (土)

ワイルド・スピード / アイスブレイク

 「ワイルド・スピード / アイスブレイク」の予告編で、潜水艦に追われる車を観た時、思わず唸ってしまいました。
 このシリーズは、ヴィン・ディーゼルが復帰以来、パトカーをスクラップの山にした巨大金庫のカーチェイス、戦車との対決、さらには、飛行機や高層ビルからのカーダイビングなど、荒唐無稽の、しかし、気分爽快なカーアクションが売り物です。
 そして、今度は、なんと潜水艦とのカーチェイスです。いやあ、想像以上の荒業に参りました。この脚本家たちは、まず意表をつくカーチェスの場面を作ってから、全体のストーリーを作りあげているに違いない、と思います。
 
_new  さて、今回は、これまで以上に男心をそそる筋立てです。あざといぐらいです(笑)。
 なんと、ヴィン・ディーゼル扮する主人公のドミニクが仲間を裏切り、敵側に回るという設定です。しかも、その敵のボスが、シャーリーズ・セロン演じるサイファーというハッカーなのです。最近、セロンは、鏡の女王など悪役がよく似合います。その美貌でドミニクを虜にしたと思わすディープキスシーンもあります。
 一方、残された仲間にも強力な味方が加わります。前回の強敵、ジェイソン・スティサムが味方になります。敵の敵は味方ということに加えて、刑務所の中の男同士の拳固を通じた男の絆という”腕自慢たちの夢”のような展開です。こういうのが男の観客に一番受けるのです(笑)。
 
 さらに、今度は、「レッド」で伝説の女スパイナーを演じた、イギリス演劇界の大御所ヘレン・ミレンが、ドミニクに協力する謎の女ボスで登場します。ラストに明かされるこの女ボスの正体が一番面白かった。
 今回の肝であるドミニクが裏切らざるを得ない理由、サイファーから見せられた端末の映像の正体には「そうだったのか」と普通に納得しますが、この女ボスの設定には「こう来たか!!」と思わずにんまりします。最高のアイディアです。お見事!!
 
 さて、お目当てのアクションシーンですが、これももう絶句の一言ですねえ。
 冒頭に、お定まりの街中でのカーレースは、場所がキューバということもあって、もうカリブ海のお祭りです。音楽と一緒に小膝が勝手に動くほどのノリノリです。
 このテンションが最後まで続きますから大したものです。
 
 特に、街中で、ロシア高官から核のボタンを奪うシーンが凄いの一言。サーバー攻撃の凄さを思い知ります。遠隔操作で乗っ取られた無数の無人自動車が暴走します。絵空事とはいえ恐ろしいものです。
 そして、「シャワー」作戦という、高層の立体駐車場から次々落とされる無数の高級自動車。まさに、雨あられのように降り注ぎます。その荒唐無稽の極地の映像は圧巻です。金のかかり方も尋常じゃアない、と思わせます(笑)。
 
 喜劇映画に体を張って笑わす「スラップスティック・コメディ」というジャンル(最近あまりないが・・)がありますが、もうこの映画は、「スラップスティック・コメディ・アクション」の境地に至っています(笑)。いやあ、日頃の鬱積がすっ飛びます。
 
 今回の目玉、潜水艦とのカーチェイスも、ロシア軍の装甲車隊との三つ巴の戦いとなって満足な出来です。
 ともかく、ドミニクの無敵の強さ、いや丈夫さ(笑)が光ります。
 
 ただ、サイファーの行方がなんとも中途半端です。エンドロールの後に、後日談があるかと思いきや、何もなくがっかりです。
 パンフレットによると、どうやら、今回が、新たな第3部の始まりだそうですから、次回への布石なのですねえ。そういえば、死んだ俳優さん演じる義弟夫婦は、今回すでに堅気になって連絡もしないという設定でしたし、前々回の敵役、ステイサムの弟役まで登場しますから、次回がますます期待できます。
 しかし、次はどこまで行くのでしょうか? もう宇宙しかないのではないか(笑)と思います。そうなると、かつての007のように人気が低下しますぞ、多分(笑)。
 
 評価としては、こんなに、笑えて楽しい、贅沢な活劇はありません。活劇ファンにお薦めします。是非、ご覧ください。  
 

2017年4月23日 (日)

美女と野獣

 エマ・ワトソン主演の「美女と野獣」は、映画としてパーフェクトに近い作品です。
 
_new  この映画は、かつてアニメ史上初めて背景にCGを使い、エポックメイキングとなったディズニー映画「美女と野獣」をディズニー自身が実写化した作品であり、話も歌もほぼ同じ内容(野獣のデザインまで瓜二つ)なのですが、より演出が磨かれ、さらに主人公ベルの性格付けまで現代的に進化しています。
 あの傑作アニメがあってはじめて到達できた水準かもしれません。まさに、ディズニーという映画会社の凄さ、真骨頂というべきでしょう。
 
 そして、題材となったフランスのお伽話が素晴らしいこともあります。なにしろ、諺的に使われるほど男女関係を象徴するタイトルですし、フランス語は知りませんが、英語では、「Beauty and the Beast」と韻を踏んで見事に対をなしています。
 特に、怪物映画では昔から「キングコング」から「大アマゾンの半魚人」まで繰り返えされる主題です。もっとも、すべて野獣がその身を亡ぼすのですが・・(笑)。
 
 さて、見所を列挙すると、まず、映像が美し過ぎます。プロローグの往時の宮殿のセットの見事さ、そして、ベルの住む小さな村の絵に描いたような風景(CG活用)、エマが歌いながら家から出て、村の広場を抜けながら丘に立つシーンは「サウンドオブミュージック」を彷彿(同じ構図でリスペクトしたらしい)させ、「これぞ、ミュージカル」と感動します。
 そして、やっぱり、小さな村には収まりきらない、”変わり者”ベルが良い。美人のくせに、本が好きで冒険心があるという設定が誠にいい。顔が売り物のガストンには見向きもしません。・・・この辺が現実と違う夢の設定でしょう(笑)。
 
 とはいっても、ルーク・エヴァンス演じるガストンも、粗野で自分勝手な嫌な奴をコミカルに演じています。また、その手下のル・フウも上手い。悪い上司を持つと部下が辛い思いをするのはいつの時代もどの社会も同じです(笑)。
 
 しかし、なんといっても、魔法で姿を変えられた召使たちの演技です。CG製の蝋燭立てや置時計、ポットの親子など、その芸達者ぶりには感激します。CGの動きもいいですが、声の吹き替えが凄い、としか言いようがありません。ユアン・マクレガー、スタンリー・トウッチ、イアン・マッケランなどそうそうたる俳優が演じています。
 それに、村人は白人系ばかりなのに、宮殿の召使には黒人系を配置したのは、やはり今時の映画と言えるでしょうねえ(笑)。ただ、ゲイ系には目配りしたものの、オセロのようなシェークスピアのカップルまでは到達していません、ここが残念。
 
 それにしても、今回は、ヨーロッパ文化の凄さを改めて思い知らされます。セットと言え、ロココ調の室内装飾、彫刻、家具や調度品までその豪華さ、華麗さには言葉もありません。なお、エンドロールの背景を油絵で描いた空にしたのは、実写化に当たって、欧米絵画の原点である油絵に敬意を表しているというのは勘ぐり過ぎでしょうか(笑)。
 
 さて、肝心の主演2人に関して言えば、エマ・ワトソンはやっぱり最高です。歌も上手いじゃないか。本当にあちらの俳優さんは何でもできますねえ。
 野獣役の男優さんは、野獣の姿の方が魅力があったような気がするのは、二枚目ならぬ私のひがみでしょうか(笑)。 
 ただ、今回、野獣に教養があったと設定したことが一番のお手柄です。元王子なら教養があって当然です。同じ趣味から恋が始まる、なかなか説得力があるじゃないですか。
 
 最後に、1点だけ疑問があります。この物語は魔法にかけられてどのくらいの年月がたった設定でしたか?魔法が溶けての村人たちとの大団円は、私的にはちょっと違和感がありました。
 
 ということで、未見の方は、是非ご覧ください。ミュージカルの、映画らしい映画の醍醐味を味わえます。冒頭から引き込まれます。現実を少しの間忘れて、夢のあるお伽噺をお楽しみください。
 

2017年4月16日 (日)

グレートウォール

 あの傑作「初恋のきた道」のチャン・イーモウが監督し、ジェイソン・ボーンことマット・デイモンが主演する、中国とハリウッドの合作映画「グレートウォール」を本日昼に観て来ました。・・・仕事のある前日に映画を観たのは久しぶりです(汗)。
_new_0001  さて、この映画については、公開直前まで、ジャッキー・チェンとエイドリアン・ブロディ(キングコング、プレデターズの主演者)が競演したシルクロードが題材の「ドラゴン・ブレイド」のように、グレートウォールつまり万里の長城を舞台にした一大史劇だろうと思いこんでいました。
 
 ところが、会長の趣味(?)で「GODZILA」や「パシフィック・リム」をはじめ最新版「キングコング」などのモンスター映画ばかりを作り続けている製作会社レジェンダリー・ピクチャーズの提供ということを忘れていました(笑)。
 
 なんということでしょう、この映画は、中国のチャン・イーモウ監督が作った一大モンスター史劇だったのです。
 いやあ驚きました、あの監督がこんなファンタジー映画も作るんだ(笑)。・・・こういう時代かもしれませんねえ。
 
 ストーリーは、万里の長城が作られたのが、60年に一度襲来する中国の伝説上のモンスター饕餮(とうてつ)の群れに備えたものであり、たまさか、その襲来の年に、火薬を求めて旅してきたマット・デイモン扮する傭兵らがたどり着き、長城を守る禁軍とともに饕餮と戦うという内容です。
 
_new  しかし、こんなファンタジー世界でも、さすがにチャン・イーモウ監督です。巨大な万里の長城のセットや膨大な人数のエキストラを集めて豪華絢爛な舞台を造り上げています。
 
 やっぱり中国は人が多いと思います。まだまだ人件費は安いのでしょう、ものすごい物量なのです。    
 しかも、長城内のセットや鎧兜などの衣装の造りも見事で、しっかりお金がかかっている風に見えます。
 
 そして、中国の俳優たちもアンディ・ラウ以外誰一人名前を知りませんが、美男美女を掻き集めた雰囲気です。
 さらに、巨大な口をもつ狼のような饕餮の数も半端ありません。きっとCG予算も相当かかっていることでしょう(笑)。
 
 こうした大掛かりな作り物を様々な角度から俯瞰して見世ます。巨大な歯車や武器が見る者を圧倒します。
 CG製の長城が何故かちっぽけに小さく見えるのはご愛嬌ですが、無数の兵隊たちで大画面が埋め尽くされているのは、確かに名匠の技でしょう。いわゆる黒澤明が目指した凝縮した画面づくりなのです。普通は行間が空いて、なかなかこうは行きません(笑)。
 
 観終われば、この物量の凄さに参りました。もう筋なんか、どうでもいいぢぁないか(笑)。
 曲芸まがいの戦法や殺陣(中国の十八番です。)、考証無視の珍奇な兵器が登場しても、さらに言えば、饕餮の群れの女王様中心の生態が少々変でも、スリルと見せ場を重ねる剛腕ぶりは面白いぢゃないか。
 観客として鑑賞中に余計なことを考えることなく、その世界に浸って楽しく見ることができました。それでいいのだ(笑)。
 まあ、できたら3Dでない方がよいかもしれません。
 
 ・・・以上です。 
 さて、今夜は久しぶりにチャン・イーモウ監督の懐かしい「初恋のきた道」をDVDで観ようかな?
_0001_new   <追伸>
 ブログの挿絵は、味気ないパンフレットの表紙より、無料だが情報量の多いチラシの方がいいかもしれません。
 そういえば、友人の影響でチラシを手に取り始めて、「チラシも積もれば山になる。」ということを痛感しています(笑)。 
 
 

2017年4月 9日 (日)

地球博物学大図鑑

 久しぶりに素晴らしい「図鑑」に出会いました。(今回は映画の話ではありません。)
 
 今から4年ほど前に、「地球博物学大図鑑」という31.2cm×26.2cm×4.6cmもある分厚い図鑑が出版されました。
 紹介文によると、「この惑星に存在する生命の複雑多彩さを一冊の本に収めるなら・・・その一冊に限りなく近い書物である。」というもので、「コレラ菌からシロナガスクジラ、アカカゴタケからジャイアントセコイア、ハチドリからダチョウまで・・・見事に記録されている。」
 どうですか、博物学に少しでも興味のある者、いや無い者でも、手に取って読みたいと思いませんか。表紙のデザインまでも、私の好みのド真ん中です。
 
 とはいっても、この本は大きく、分厚く、重量もあり、値段が税込みで1万円の大台に載るせいか、書店の店頭ではビニールで封印されています。
 個人的にも、手狭になった我が家の収納スペースや財政状況を考えれば、中身も見ずにはなかなか購入に踏み切れませんでした。
 
 しかし、アマゾンなどのネットショップでは品切れ状態となり、既にプレミア価格の取引も行われている最近の状況に鑑み、ついに、先日思い切って、老舗書店の「紀伊国屋書店」から取り寄せました。
 
51toiirbdbl_ac_us160_ さて、現物を手に取ると、さすがに、米国スミソニアン国立自然史博物館開館100周年記念として出版されただけあって、図鑑の王道を極めた図鑑というほかはありません。
 「素晴らしい」とため息をつくばかりです。まだまだ我が国の出版界では到達できないレベルです。欧米の図鑑文化、いや博物館の歴史の重みと厚さを感じます。実際、この本は、手に持てず、机に置いて読むしかありません(笑)。
 
 具体的に言えば、植物、動物、菌類、微生物に加え、岩石、鉱物、化石まで、遺伝子解析による分類体系に沿って、5154種を6000点を超える写真とイラストで解説しているのですが、その大部分(5900点)を占めるフルカラーの写真は、例えば、極小の昆虫の足の棘先までピントが合っている極めて精緻な画質であり、そうして撮影された沢山の生物達が見開きのページの真っ白な背景にバランスよく配置されています。
 ちなみに、細密画で描かれているのは、クジラ類などどうにも写真撮影が困難なものに限定されているようです。
 
 しかも、掲載種の選択が凄い。一般的な種ではなく、貴重な珍奇な種を選んでいます。結構初めてみる奴もいますし、野菜などは野生種に限定です。このへんは、さすがスミソニアン博物館ですナア。
 
 この図鑑は、私が幼い頃から慣れ親しんだ我が国の子供向け図鑑が進化した究極の姿であり、私の思い描く理想形なのです。属ごとに、数十の生物たちが美しくも見事に掲載されています。これほど森羅万象を整理し、知的好奇心を満足させる図鑑は知りません。
 少し高価ですが、是非、書斎に置いて地球のロマンを感じてください。特に、子どもたちには大切なことだと思います。
 といっても、私の家族は、私以外誰一人興味もなく、本の置き場所を危惧しているばかりですが・・・(汗)。
 

2017年4月 8日 (土)

ゴースト・イン・ザ・シェル

 映画「ゴースト・イン・ザ・シェル」は、日本の漫画が原作で、押井守監督のアニメ「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」により世界的に有名になった作品の待望の実写化です。
_new  もっとも、「待望の・・・」と言っても、実は、原作の内容をほとんど知りません(笑)。ただ、カルト的な人気を誇ったアニメの主人公「草薙素子」のクールな雰囲気のビジュアルを知っているだけなのです。
 しかし、主演が「アベンジャーズ」や「ルーシー」でスーパーヒロインを演じているスカーレット・ヨハンセンで、ハリウッドの巨額の資金を使ったSF作品と聞くと、やっぱり期待します。
 
 ところが、あちらでは、東洋人役を白人が演じるということで大きな批判があるといいます。いわゆる「白人化」という、あちらで政治的な問題になっていることの影響が大なのでしょうが、本来、映画化に当たっては、その作品世界に一番ベストな俳優が演じれば良いのです。原作どおりにする必要は全くありません。今回は、ビジュアルからいえば、ヨハンセンは目の色や彫りの深い容貌の雰囲気などからまさに原作のイメージにピッタリです。脚本上もうまく処理していますし、私は、このキャスティングに大いに賛同します。
 逆に問いたい、このアニメの主人公に日本人女優が似合いますか?さらに、細かく言えば、原作の日本人を東洋人とひとくくりにしていいのか、と言いたいゾ。ハリウッドではよく韓国人や中国人俳優が演じますし、良いんじゃないですか(笑)。
 
_0001_new  さて、余談はともかく、定評のあるWETAワークショップによるCGなどはさすがに良くできており、架空のSF世界を見事に描いています。
 ただ、あまりにも芸者やヤクザなどの日本文化の負の要素がデフォルメされ過ぎています。香港ロケも影響してか、少し気持ちが悪くなるほどてんこ盛りです。やはり欧米人から見るとああなるのでしょうかねえ。我が国の国際観光戦略も道半ばです(笑)。
 
 また、ヨハンソンが演じるヒロインの有名な熱光学迷彩のスーツがどうも太って見えると思ったら、全身シリコン製のスーツを実際身に着けたようです。ここは、やっぱりCG製で造型するべきしょう、この点が少し残念です。
 
 一方、ハリウッド俳優の福島リラがモデル(?)らしい芸者ロボットは秀逸です。分割仕様の顔、奇妙にデザインされた髪形や着物形は誠に素晴らしい。顔面が開き、内部の機械を露出させたり、手足を蜘蛛状に変化させる場面は、一番の見せ場になりました。
 もっとも、このシーンをユーチューブの予告編で延々と流したために、劇場でのインパクトを大いに減じていると感じました。予告編はついつい観てしまいますので、そのあり方をもっと工夫してもらわないと困ります(笑)。
 
 さて、物語自体は、脳を義体(ロボット)に移植され成功した第1号のヒロインが、断片的な記憶に悩まされながら、クゼという電脳世界のテロリストを追う中で、自らの誕生の謎から隠された陰謀とその黒幕を暴くものです。
 
 クゼとの因縁など多少回りくどい話の展開に加え、組織の上司に扮したビートたけしのいつもの固いセリフ回しやあっと驚く日本女優の中盤登場もあって、しかも日本的でウエットな心理描写が延々と続くので、ヨハンセンの演技になんとなく違和感を覚えました。
 見るからに痛々しいのです。もっとも、これは自分探しの旅が終わるまでの間という演出の狙いがあるのかもしれませんが、日本人観客としてどうも居心地が悪いのも事実です。
 
 逆にいえば、アニメでお約束の屋上からの逆落としで始まる、ラストのシーンから、公安9課のリーダーとしての「少佐」が快刀乱麻で活躍するSF活劇を見たかったものです。
 といっても、十分楽しめますから、未見の方は是非ご覧ください。
 
 

2017年4月 2日 (日)

パッセンジャー

  映画「パッセンジャー」は、5000人の乗客(パッセンジャー)を乗せた120年もかかる惑星間移住のための移民宇宙船が舞台のSF映画です。
 なにより、その宇宙船が素晴らしい。見事としか言いようがありません。半光速で居住空間が回転しながら航行する、一見エイリアン製のような美しくも奇抜な船体のデザイン。それ以上にその宇宙船の内部の美術が凄いのです。冬眠施設や通路や食堂など、冷たい程の質感と洗練された機能美、そして客の階層別(料金)による客室構造など、ため息がでるほどの華麗なセットです。
_new  そして、この極上の舞台で「ハンガー・ゲーム」のジェニファー・ローレンスと「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のクリス・ブラッドという今人気絶頂の二人の俳優が競演するのですが、肝心なお話がなんともすっきりしないのです。
 
 簡単に言えば、孤独で不幸だった男が一方的な思いから奸計を用い、成功して幸せな人生を送っていた女性を全く異なる人生に陥れ、騙したまま愛し合った後、その男の行為が暴露された後も二人は幸せに暮らすことができるか、というストーリーです。
 
 普通、こうした犯罪行為は許されるはずもなく、演じる俳優には反感しか覚えません(よくこんな役をクリス・ブラッドが演じましたね)し、なんらかの罰を受けるべきなのですが、さすがハリウッドの映画屋は、世界の終わり(5000人の乗客の乗る宇宙船の爆発)という最大級のクライシスを用意し、その危機回避を軸にうやむやなラストに着地させています。
 
 加えて、良く考えると、お話が都合良すぎます。乗客たちの中で最初に目覚めたのが修理のできる技術者であり、最後に目覚めるのもローレンス・フイッシュバーン演じる機関長という具合に、危機回避に向けて至れり尽くせりです。
 しかも、絶対に故障がないという巨大な宇宙船のくせに、隕石一個で崩壊ですし、5000人もいるのに、医療ドッグ装置は1台しかありません。そう、タイタニック号の寓話なのでしょう。ちなみに、マイケル・シーン扮する下半身丸出しのバーテンロボットは秀逸でした。
 
 しかし、繰り返しますが、なんともすっきりしません。ラストの船内に茂った大木には笑いましたが、やはり、クリスは、あの噴出孔の前ではドアの楯程度で命が助かる筈もなく、英雄的な死を迎えた結果、ジェニファー・ローレンスが免罪符的に付け加えられたもう一つの方法を選ぶというラストを用意すべきでした。これなら日本人はスッキリと納得するのではないでしょうか。
 最後に、この女優さん、ジェニファー・ローレンスは以前よりずいぶんきれいになりましたねえ。どうですか?
 
 

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