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2016年12月31日 (土)

世界シネマ大事典

 映画の図鑑とも言いたくなるような本が発売されました。その名も「世界シネマ大事典」です。アメリカの映画解説書の翻訳本です。行きつけの大型書店の店頭(平積み)で見つけました。1冊だけ見本のように立ち読みできます。値段もそれ相当ですので当然残りはあとすべてビニールで封印されています。
Photo その見本を手に取ると、映画が始まって以来の歴史と時代を作った名作を豊富で精緻な写真と体系化した図解でわかりやすく説明しています。思わず衝動的に買ってしまいました。
 現物を手に取れるところが、本の中身がわからない(一部中身紹介あり)アマゾンとは異なる店舗の強みなのです。それを全品封印している店がありますが、これは論外でしょう。せめて1冊は見本でお客に見せるべきです。特に、値段の張る図鑑は(笑)。

 さて、その本の内容ですが、映画の起源からサイレントを経て、戦前ぐらいまでが結構ページ数を割いて詳細な解説があります。案外、知らないこと(興味がない)が多くて勉強になりました。わずか1行のコメントがおしゃれでしかもストレートに意味深(?)で面白いのです。この辺の記述はさすが欧米文化です。一度お読みください。

 ただ、残念なのが、全体的に邦画作品の紹介がわずかしかありません。「東京物語」、「七人の侍」、「愛のコリーダ」、「千と千尋の神隠し」の4作品です。黒澤明の他の作品さえも監督紹介欄でタイトルのみ掲載されているだけです。
 一方、中国の作品紹介は多くなっています。まさに最近の力の差をまざまざと見せつけられる思いです。せめて映画の分野では頑張ってほしいものです。
 加えて、名作を並べると必ず割を食う(評価の低い)SF・ファンタジー分野の作品も、やはり少ないのです。まあ、「エイリアン」と「ターミネーター」が入っているだけ良しとしましょうか(笑)。とはいっても、分厚い本なので一日十分楽しめました。謝、謝。

Photo_3 ところで、以前もこのブログで紹介しましたが、最近、こうした分厚い図鑑のような翻訳本の出版が増えて来ました。当ブログ(2016.9.11)参照のこと。誠にうれしいことです。
 そのうえ、「シン・ゴジラ」の大ヒットのせいか、立派な箱に入った豪華本「ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ」が発売されました。これは目をつぶって(当然、中身封印)購入したところ、メイキングの写真と紙質が豪勢です。しかも重い。この紙代と印刷代で高いのか、と納得しました(笑)。正直、中身よりも外面が立派で置き場所にも困っています。誠に残念です。

 ついでに言えば、最近なぜか出版物が多い「ウルトラマン」の豪華本にも驚きです。当時の様々な関係グッズ、オマケ、印刷物などを復刻したものを網羅した本が出版されました。円谷英二の名刺まで復元しています。こんなものが欲しいものなのかなあ。欧米ではこうした出版物を「トレジャーズ」ものというらしい。そういえば、エイリアン・トレジャーズの翻訳版がありました。当然、私、持ってます(笑)。

Photo_2 なお、余談ですが、以前このブログ(2016.7.17)で紹介した東宝特撮もののパンフレットの復刻版をおまけにした「ゴジラ全映画DVDコレクターズBOX」シリーズに掲載されなかった悲運の映画「宇宙大怪獣ドゴラ」のパンフレットをオークションで入手しました。・・・ただの報告です(笑)。・・・実は、このシリーズのオマケの復刻パンフレットには、若干問題があります。というのも、当時の企業宣伝の版権が使用できず、黄金期の作品に裏表紙の図柄が変更されているものが散見されるのです・・・これはいかん、記憶の断片の奥底で違和感を感じます。・・・やっぱり当時ものの価値は揺るぎません。いやあ、オリジナルを持ってて良かったなあ(笑)。

 以上、平成28年大晦日における図鑑に関する年末回顧(?)でした。

 

 

2016年12月24日 (土)

バイオハザード/ザ・ファイナル

  ミラ・ジョボヴィッチ主演の「バイオハザード」シリーズの最新作「ザ・ファイナル」が公開されました。第1作の2002年公開から約15年間、6作目で完結です。あまりにも長い期間の断続的公開になっており、各作品のつながり、話の流れもすっかり忘れています。今回の冒頭シーンへの軌跡の記憶が全くありません。あとで、DVDでも見てみましょう(笑)。
_0001_new  ともかく、今作が完結編とのことで、主人公アリスの秘密やアンブレラ社の真の目的などが明らかにされます。
 その謎解きは、敵コンピュータであるレッドクイーンからのメッセージをはじめ、死んだはずのアイザック博士の復活(クローン技術は、脚本家にとっても魔法の杖です。)など、過去の顛末を新たな事実を積み重ねながら、驚くべきというか「聞いていないよう・・」とぼやきたくなるような真相を綴ります。
 ここではネタバレ致しませんが、原作は日本生まれのゲームの筈なのに、結局は聖書の引用の終末思想でした。少しがっかりですナ。 
 ただ、あれだけ大ぶろしきを広げていた割には、整合性をうまく考えたつじつまの合うお話になりました。もっとも、その分こじんまりとまとまり過ぎた感もありますが・・・。
 また、ロボコップやターミネーター2のエッセンスを小ネタに活用するセンスには笑うしかありませんでした。
 それにしても、ミラ演じるアリスは強い筈なのに、油断が多くてすぐに敵に捕まります。劇中あれで殺されなかったのは、単に運が良かった、あるいは脚本家の都合(笑)のように思えて困ります。
 加えて、どうもマッドマックスのような広大な荒野の風景は似合わない。やはり、薄暗い密室空間のなかでのゾンビとの戦闘シーンが良い。
 とはいっても、あれだけの大量のゾンビの抹殺映像は凄い、また、懐かしのレーザー・トラップやケルベロス(ゾンビ犬)登場のサービス精神は評価したいと思います。頑丈な装甲車に人間を餌にゾンビ軍団を引き連れて行軍するのは笑いました。
 日本のローラはほとんど活躍なく、なんのための出演だったか、よくわかりません。
 
 以上、いろいろ苦言を呈しましたが、残酷度も予想以上に低く、全般的には十分楽しめました。ただし、今回、ミラ・ジョボビッチの男性観客向けのお約束のシーン(笑)が抜けているのは誠に残念です。・・ここはマジでいかん(笑)。
_new  最後に余談ですが、このシリーズのパンフレット720円は恒例によりバカでかい(A4をはみ出ます。)のですが、加えて今回1800円の総集編も劇場で発売されていました。
 少し購入を躊躇していたら、あっという間に売り切れて(公開初日なのに・・・。)しまい、結局、展示用の見本品を購入する羽目になりました。このシリーズの根強い人気を改めて感じました。いやあ、これには驚きました。 

2016年12月18日 (日)

ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー

 映画「ローグ・ワン」は、記念すべき第1作「スター・ウォーズ(のちに、エピソード4/新たな希望という副題が追加された)」のオープニング・クロールの一節からスピンオフされて作られた作品で、完成真近の帝国の最終兵器デス・スターの設計書を反乱軍が盗み出すことに成功したという逸話を描いたものです。
 
_new  もっとも、そのストーリーたるや、やっぱりというか、スター・ウォーズのお家芸である、血筋と因縁話で形作られています。今回の場合は最終兵器の設計者と主人公のその娘の因縁物語です。
 本家作品(第2作目~)で敵役のダースベーダーが主人公のルークの父親であり、オビ・ワンとは師弟関係だったという驚愕の宿縁のお約束ごとを、今回もしっかり守り、脚本化しています。
 米国のような戸籍の無い社会では血筋や因果応報思想などに関心が深いのでしょうかねえ(笑)。
 それにしても、これほどウェットで無理な筋書きにしなくても良いのにと思うのは、それほどSWファンでない者の意識なのでしょうか(笑)。
 
 というのも、今回のお話は、第1作の「たった一回の攻撃でデススターが木っ端みじんに破壊されるのは余りにおかしい。」というコアなファンの根強い批判がベースにあって、その批判に対する製作者側の回答といわれています。でも、映画を観ていただければ、わかりますが、普通、そんなことを考えるのか?どうしてばれない?やっぱり疑問です。
 
 加えて、娘が孤児になる可能性を無視して母一人が敵に立ち向かうシーンや育ての親であるゲリラの親分が助けた娘を置き去りにするのもどうもしっくり来ません。普通そんなことしませんよねえ。ストーリーのためのストーリーで無理があります。ラストもなんか暗いなあ。
 また、設計書の奪取作戦も、反乱軍の無責任な評議員会議に幻滅して、主人公達のごろつき(ローグ)の寄せ集めが侵入するのですが、そのメンバーたるや百戦錬磨の戦士でフォースを信仰しているにもかわらず、実はフォースが全く使えないのという淋しい設定です。もっとも、大義のために暗殺などに手を染めてきたという悲痛な訴えは、今のアメリカを鋭く批判しています。嘘(笑)デス。
 一方、戦闘シーンなどは最新の技術で良くできていますが、シリーズ最高傑作と私も認める第二作目の「帝国の逆襲」のときのインパクトには到底及びません。観客の目はどんどん肥えて来ますから、やっぱりシリーズものは難しい。もっとも、相棒のロボットのデザインは第1作目に登場する拷問ロボットに類似しており、気に入りました(笑)。
 そうした厳しい目の中で、実は今回は密かに個人的に期待していた映像が、予想を超える規模で展開されました。お見事、もう言うことはありません(笑)。
 ここからは、ネタバレです。ご注意ください。
 
 あの第1作で帝国軍ターキン総督を演じた、イギリスの名優でハマー・フィルムの雄、ピーター・カッシングがCGで蘇ったのです。
 既に死亡している俳優がまったく生前の姿のままで、しかも、顔のアップもビシバシ入ります。当時のままの名演です。いやあ凄い。
 俳優の権利関係も気になるところですが、どうやって撮影したのか、その技術の裏舞台・メイキングを早く知りたいものです。思えば「ターミネーター/新起動」でシュワルツネッガーを若返らせた例もありますが、カッシングの場合、過去に顔の型どりなどをしてなかったのでしょうから、大変興味があります。
 しかし、1000円もするパンフレットには、ピーター・カッシングのことは一言半句たりとも載っていません。もちろん実際の出演俳優ではありませんし、観客へのネタバレ防止のためなのでしょうが、パンフレットぐらいにはターキン総督の項を置いてリスペクトすべきではないでしょうか(怒)。
 ともかく、CGピーター・カッシング登場でこの映画は大満足すべきものになりました。
 とはいっても、ラストの厚化粧的な姫は蛇足です(笑)。

2016年12月11日 (日)

海賊と呼ばれた男

 映画「海賊と呼ばれた男」は、山崎貴監督が演出したモノだけあって、なによりVFXによる映像が凄い、その一言に尽きます。
 これまで「三丁目の夕日」シリーズや「永遠の0」で、戦中・戦後日本の過去の風景を甦らせてきた経験と技術が光ります。
 
_new  そして、この映画の肝は、冒頭の映像にあります。
 深夜、東京上空に飛来したアメリカ軍のB29爆撃機を真正面からドアップでとらえ、銀麟に光る腹部が割れ、無数の焼夷弾が投下される映像は、その爆弾クラスターが空中で分解し、それが炎を伴う無数の焼夷弾となってゆっくりと落ちてゆきます。東京の街の周辺部から中心まで火の海にして日本人を皆殺しにしようという武器の凄さとアメリカ軍の戦術の非道さを克明に描きます。
 
 この東京大空襲を実行した非人道性は、人類史上かってないものなのでしょう。しかも、それは、広島、長崎への原爆投下という極悪さにつながる恐ろしさでもあります。現在のCG技術の進歩とマニアの兵器研究が、そうした現実を余すことなく描き出します。
 そういえば、今、話題のアニメ「この世界の片隅で」も、アメリカ軍の空襲の恐怖を、綿密な取材と徹底した考証を踏まえ、淡々とした映像のなかでもしっかり描かれています。最近、こうした空襲の悲惨さ、非道さを描く映画が増えているのは気のせいですか?
 正直、日本人として同胞が殺される映像やシーンを目にすると、無意識のうちに、素朴な愛国心や同胞愛が目覚めます。私のようなええ歳したおっさんでも、心が乱れるのですから、若い方はなおさらでしょうねえ。それが良い方向に向うことを心からお祈りしています。
 
 話が少しそれましたが、ストーリー自体は、出光石油の創始者をモデルにした石油販売を商売にした波乱万丈の一代記であり、タイトルの海賊と呼ばれた理由をはじめ、戦前は役人、戦後はメジャーとの戦いを、あの有名な日章丸事件を山場に、回想シーンを重ねながら展開します。前妻のエピソードは余計な気もします。
 
 主演の岡田準一やピエール瀧、國村隼がそれぞれ熱演しますが、やっぱり印象としては、この映画の見せ場は、見事なCGや丹念で精緻な設計による美術やセット、小道具による過去の再現です。これが凄い。ここは本当に一見の価値あり、です。
 最近の日本映画もやっとこうした本物にみせる映画美術に力を入れ出してきたことは本当にうれしいことです。映画美術の本の出版も多くなっています。是非、こうした流れは続いていってほしいものです。

2016年12月 9日 (金)

逃げるは恥だが役に立つ

 今秋、10月から始まったTBS系テレビドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」ですが、NHKの朝ドラでもないのに、これ程、ネットを騒がしたことはかつてあったでしょうか。
 初回の視聴率は10.2%で始まったものの、第2話は12.1%、第3話12.5%、第4話13.0%、第5話13.3%、第6話、第7話13.6%と伸び続け、そして第8話では16.1%まで大幅アップしたあと、最新作の第9話は16.9%と自己記録を更新し続けるという快挙をなしています。
 
 どうやら、主演の森山みくりを演じた新垣結衣(愛称がガッキーです。)と星野源が演じる結婚相手の津崎平匡が女性を中心として熱狂的な支持を得ているようです。
 
 ネットの記事やレビューによると、まず、ドラマの後に放映されている出演者たちが躍る「恋ダンス」が可愛いと大評判で、しかも、視聴者が自分たちでこの振付で踊る映像をYouTuboに投稿することまで流行しているようです。
 また、見逃した視聴者の再生動画サイトの再生回数も凄まじいらしい。
https://www.youtube.com/watch?v=OXqq35nc36I
 
 こうしたネットの盛り上がりがこのドラマの視聴率を押し上げており、まさに、ネット時代の口コミ(書き込み?)の凄さ、あるいはSNS宣伝の重要性を痛感します。
 
 で、私?と聞かれれば・・・完全にはまっています(笑)。なによりガッキーが超可愛いので、ミーハー気質全開です。
 
 もともとは、このタイトルの意味がわからず気になっており、観始めました。どうやら、ハンガリーの諺で、「自分の戦う場所を選べ」ということらしく、主人公たちへの応援のようです。
 ストーリーも原作が漫画だけあって、主演の院卒ガッキーが契約社員を首になり、星野源扮する恋人いない歴何十年のプロの独身男の家事手伝いから契約結婚という職業に就くという、ありえないような設定の割になんとなく現代の風潮を的確に風刺しています。
 また、演出がとんでもなくおしゃれなのです。様々な有名な番組のパロディには、思わず吹き出します。
 
 そして、極めつけが出演者の適材適所、まさに”神って”いるキャスティングです。
 主演のガッキーの、劇中で小賢しいと自認するセリフや動作の可愛らしさが半端ではありません。エンドロールの恋ダンスもキレキレでない動きが好きです。これまで全く興味なかった女優さんなのに、いまや私のミューズです(笑)。おかげで、これまでの過去の出演作品も「掟上今日子」、「リーガルハイ」などレンタル中です。
 
 またダブル主演というべき星野源も、いわゆる草食系男子を好演しています。ほとんどはじめて知る俳優さんですが、一歩間違えばキモイといわれそうな変人を見事に素のままのように演じています。歌手で作家でもあるマルチな才能を生かしてか、世の女性軍から意外なほどの好感を持って迎えられているようです。
 
 他にも、高齢処女役の石田ゆり子も、ゲイ役の古田新太も、イケメンの大谷亮平、まさにはまり役です。・・・思えば、変な個性豊かな連中ばかりです。
 
 こうした面々が、男女の役割・・らしさという価値観が転換した時代の、恋人たちの世界をコミカルに演じます。セリフや毎回のエピソードの可笑しさも、まさに「あな、おかし」ともいえる妙味を醸し出していますし、主演の二人の中学生(昔の?)のような行動には、毎回、歯がゆくも笑って応援しています。ヒラマサ、しっかりせよと(笑)。
 
 それにしても、このシリーズも、あと2回で最終回です。うわあ、いまから「逃げ恥じロス」が心配です。それが困りました。

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