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2016年7月31日 (日)

日本特撮技術大全

  今回公開された「シン・ゴジラ」では、ゴジラが着ぐるみではなく、フルCGで全編製作(実は、「三丁目の夕日2」の冒頭で既にCGゴジラは登場していましたが、)されており、日本の特撮映画界もついに円谷歌舞伎を卒業し、本格的なCG技術の段階に突入したという節目の時に、時宜を得たというか、便乗商法というか、「日本特撮技術大全」という368頁にも及ぶ大著が出版されました。
51sbkxtre1l_sx352_bo1204203200_  この本は、円谷英二特技監督が始めた特殊撮影の技法などについて、照明、模型、操演などあらゆる分野から、当時の現場写真や図面での解説を入れて網羅しています。
 有名な「寒天の海」や「水槽の絵の具の雲」から「ホリゾントの巨大富士山の絵」など、日本で創意工夫した特撮の技法が、惜しげもなく紹介されています。結構、初めての写真が多く、感慨深いものがあります。
 ただ、この本、やたら値段が高く、その割には、2冊のゴジラ映画の復刻シナリオをオマケで付けたせいか、写真の外箱ばかり立派で、本体の肝心な本の装丁が上カバーもなく、表紙などの紙質が安っぽく、まるで同人誌のような手作り感でいっぱいな状態になっています。
 
 まあ、そもそも本の内容自体、戦前・戦後の材料が何もない時代から発想の逆転や創意工夫で特撮技術を生み出して来た歴史を記述していることを考えれば、案外似合っている装丁かもしれませんが、買う方、読む方の立場に立ってほしかったと思います。
 個人的には、シナリオの復刻など興味がありませんし、実際、外箱から取り出したり、読むのに本当に不便なのです。
 
 しかし、この本の出版で、これまでのアナログの特殊撮影の総まとめが完成した気がしますし、「シン・ゴジラ」の公開で伝統的な特撮、とりわけこれまでの伝統的な怪獣映画がジ・エンドを迎えたと改めて思いました。
 これを契機に、日本SF映画界も、長年のトクサツという成功体験への過度のこだわりを捨てて、ハリウッド映画並みのリアルな映像の新時代に入ってほしいものです。
 以上、えらそうなことを勝手に言ってしまいました。すいません。 

2016年7月29日 (金)

シン・ゴジラ

  本日封切りの話題のゴジラ映画「シン・ゴジラ」を上映初回で観て来ました。仕事は夏休みです(笑)。劇場で驚いたのは、パンフレットを買いに立ち寄ったショップの人の行列です。見るからに典型的なオタクの恰好をした若者?おじさん?が帽子やらTシャツから、フィギュアを抱えてレジに並んでいます。・・・危うく上映開始時間に遅刻するところでした。
_new  この映画、徹底した秘密主義であり、公開の試写会もなかったようです。庵野秀明総監督の作戦のようで、劇場版エヴァンゲリオンの成功例の二匹目のドジョウを狙ったものです。おかげで、妖怪造型師竹谷隆之氏が製作したゴジラの腐りかけたようなデザインだけが独り歩きし、「進撃の巨人」ですっかりミソを付けた樋口真嗣氏が特技監督ということも相まって、あまり期待はできませんでした。・・・その割には、初回に観に行きましたが(笑)。
 
 しかし、結果は大満足です。これまでの東宝の平成ゴジラの悪夢からやっと進化できました。
 そして、これだけ関係官庁や自衛隊が撮影に協力したのは、初めてではないでしょうか。さすがゴジラの紋所というより、それだけ世の中が変わったのでしょう。こうしたサブカルチャー文化が日本だけでなく世界に浸透したおかげでしょうネ。感慨深いものがあります。
 ストーリーは、実際に日本に巨大生物が現れたら、国はどう対処するのか、という視点を徹底的に取材し、検討した内容になっています。
 首相官邸や防災本部なども限りなく本物をめざして再現(もちろん、実際は極秘らしい)し、自衛隊の兵器もスキャンしたうえでのCG化したそうで、もうドキュメンタリー風にリアルに描いています。
 それ以上に閣僚会議でも、政治家である大臣と裏方の官僚のやりとりは、いかにもという雰囲気で笑います。大杉漣の内閣総理大臣が実にいい(笑)。
 さて、肝心なゴジラの造形ですが、パンフレットまで「ネタバレ注意」という封印がある状況ですので、製作関係者に敬意を表して、今回は記述致しません。
 
 ただ、ゴジラ初登場で完全に意表をつかれた驚き、生物感のない甲羅のような胴体、崩れかかった穴だらけの皮膚、小さすぎる腕、そして無骨な尻尾の先など、一見するとマイナスのデザインに意味があったことを確認したので、これはこれでアリと評価しました。
 というか、正直、ゴジラの出す放射能熱線にも感動しました。平成ガメラ以来だ・・・。
 
 加えて、ゴジラの誕生や生命の謎の設定にも感心しました。もっとも、もう少しゴジラのCG映像が工夫できればいうことないのですが、それを差し引いても庵野監督の原案、脚本力に脱帽です。さすがエヴァンゲリオンを生み出した才能です。お見事、見直しました。
 それに加えて、往年の昭和ゴジラファンには、自衛隊の攻撃隊だけでなく、JRの活躍には、あの東宝お得意の対怪獣戦闘メロディが流れ、一気に盛り上がります。
 以上、期待していなかった分、一寸自衛隊を褒めすぎの感はありますが、彼の国の扱いなど大人の鑑賞に堪える作り方を目指したことに感心して、2時間余楽しみました。
 問題は、この内容が怪獣ファンの幼児や子供たちに受けるかどうかでしょう。あまり我が国の興行成績は期待できないかもしれません。海外でも彼の国であるアメリカも無理でしょうねえ(笑)。
 

2016年7月17日 (日)

ゴジラ全映画DVDコレクターズBOX

 先日、シン・ゴジラの公開に合わせて、「ゴジラ全映画DVDコレクターズBOX」なるゴジラ映画のDVDが961円で発売されました。次集から定価は1998円に値上げ(笑)。
 いまさら、ゴジラ映画のDVDなんて、特撮ファンならみんなもう持ってるし、誰が買うのかいな!と笑っていたら大変なことになってしまいました。
 
Photo  このシリーズは、DVDは完全なるオマケです。封入している付録が凄いのです。第1集は、もちろん、初代ゴジラです。その付録が、私のコレクション対象であるパンフレットの復刻はもちろん、ポスター、チラシなどなど、当時を復刻した資料が網羅されています。当時の雑誌「ぼくら」の絵物語など、そんなものまで揃っています。
 ここまでなら、もうパンフレットの復刻版は、ハリウッド・ゴジラ2014の公開時に発売されていますし、次作の「キングコング対ゴジラ」のパンフレットももう随分前に、復刻版がなにかの付録で出版されています。
 加えて、私の幼少期のゴジラ映画は、大枚(?)をはたいてオークションでゲットしているのです。恐れるものはなかったはずなのですが・・・・。
 
 ところが、今回のシリーズは、さらに上手を行っています。51集もあってゴジラ以外の映画もシリーズに加えているのです。第13集に「空の大怪獣ラドン」、第16集に「モスラ」、第18集に「地球防衛軍」、第47集に「バラン」。いずれも、あまりに希少過ぎて入手困難と諦めていたパンフレットなのです。勿論、第8集には未入手の「ゴジラの逆襲」もあります。
 しかも、20集と22集は、苦労して当時ものをゲットした異色作「フランケンシュタインの怪獣」まで加えています。
 これでは、どうしようもありません。参りました。
 実は、パンフレットの複製については、以前から個人的に熱望してきたのですが、あまりに実現しないので、このブログで紹介したように当時ものを入手してきたのです。・・・遅いよ。
 
 仕方ありません。平成シリーズは興味ないので無視するととして、昭和のシリーズは購入するしかありません。
 しかし惜しむらくは、何故51集もあるのに未入手の「宇宙大怪獣ドゴラ」が入っていないのか?誠に残念です。エビ蟹類はあるのに、軟体動物は差別か(笑)。
 
 それにしても、嗚呼、これで私のコレクションの相場は一気に急落です。時代の流れでしょうかねえ、これも。
 もっとも、私はパンフの内容を見たいのですが、世間では資料の本物と複製の違いは大きいようですので、そこに一縷の望みをかけましょう。
 しかし、ポスター・コレクターの皆さまはさらに悲惨です。51集すべて集めると、横長の特別版のポスターが景品となっています。この景品がどのくらい価値があるのか知りませんが、同じコレクターとして、深くご同情申し上げます(笑)。
 最後に、出版元に一言、お願いします。パンフレットだけ、ホッチキスで綴じるのはやめていたたきたい。他の資料と一緒に袋に入れてほしいのです。是非、改善願います。

2016年7月16日 (土)

ブルーレイ・バーゲンセール

  最近、劇場で映画を観る機会がかなり減ってしまって、要するに食指の動く作品が減った結果ですが、その代わりに家庭でコレクションのDVDを見る機会が増えてしまいました。
 
  蒸し暑い夏には、やはりSF映画が一番です。ということで、棚から引っ張り出したのが、「ロボコップ」です。もちろん第1作目です。エイトマンを彷彿させるCGもない時代の傑作です。
  ところが、DVDの映像の画質が全くよくありません。もともとの仕様が悪いのか、劣化したのか、わかりませんが、現在の画質の良さになれた目(贅沢?)にはとても我慢できません。一番の恐怖はDVDの劣化です。正直、これからどのくらい持つのでしょう。私のコレクションの行く末が思いやられます。
 
Photo_2  ということで、しかたなく、「ロボコップ」のブルーレイを購入したのです。
 さすがに画質が違います。ロボコップのボディが金属製に見える一方、見え過ぎるせいか、ご贔屓の敵ロボットED206のアニメーションの粗が見えます(笑)。しかし、やっぱり画質は細かな方が良い。ただ、この当時の映画は全般的に少しピントが甘いように感じられるのは私だけでしょうか?。
 
 さて、丁度その頃から、アマゾンでは、サマーバーゲンということで、1本1000円前後、劇場料金程度でブルーレイのセールが始ったのです。・・・下手な新作よりクラシックの名作です。
 嗚呼、この悪魔の誘惑によって、私のお気に入り作品で、今再見したいSF映画の名作、傑作のブルーレイを購入することにしました。
 
Photo_3  まずは、「エイリアン2」・・これもDVDの画質が悪かったのです。そしてやっぱり第1作の「エイリアン」は外せません。ストーリーの裏設定が素晴らしい名作です。
 Photo_5 次は、「ターミネーター」です。当時の11PMでの大橋巨泉の解説が忘れられません。
 そして、CG前の特殊撮影の細部を確認したくて「遊星よりの物体X」。この映画は、ストーリーよりモンスターの造形が素晴らしい。 
 Photo_4 そして、「猿の惑星」の第1作です。最初にゴリラが登場したシーンの感動が甦ります。今も最新作が続くとは思いもよりませんでしたし、猿人の映像の進歩は、凄まじいと改めて感心しますが、あの自由の女神のラストはまさしく名作の名に恥じません。
 最後は、「プレデター」です。モンスターの素顔のインパクトは何度見ても感激です。よくぞ、あの蟹顔のデザインを考え出したものです。お見事。
 以上、暑苦しい夏の夜の過ごし方でした。Photo_6

いのち・ぼうにふろう

小林正樹監督の生誕100年とかで、ついに、仲代達矢主演の「いのち・ぼうにふろう」が初DVD化されました。

この作品は、数年前に一度、突如、衛星放送で放送された時にDVD録画したものをを所有していますが、やはり画像などきちんとしたDVD化はありがたい限りです。

 

Photo ちなみに、このタイトル「いのちぼうにふろう」は、「命、棒に振ろう」をひらがなで書いたものですが、恥ずかしながら、今回オープニングタイトルでは命と棒の間に「・」が挿入されていることに初めて気が付きました(笑)。

 

お話は、このブログでも以前取り上げていますが、山本周五郎原作の「深川安楽亭」を映画化したものです。脚本は、仲代達矢の嫁さんの隆巴が書いているせいか、仲代は、自分の私塾「無名塾」が主催する演劇でよく上演するそうです。

 

この映画は、一言でいうと見事な白黒映像と武満の音楽で彩られたピカレスク時代劇です。

 

深川の小島にある安楽亭に巣くった悪党たちが、ふとしたことから命を掛けて純な若者を助けようとした物語です。

とにかく、仲代達矢の演じる「知らずの定七」がかっこいい。懐手による一瞬の短刀さばきの見事なこと。
 敵役の中谷一郎や神山繁がいつのように切られ役を務めます。やっぱり上手い役者が演じる敵役は安心します(笑)。特に神山繁は当時ラスボスかその手前ぐらいの悪役が定番でしたねえ。懐かしい。
 ほかにも、佐藤慶や岸田森などの個性あふれる悪党たちの面々がいい。
 一方、ゲスト出演の時の勝新太郎は、いつものように演技派を気取っているのか、最後の無数の御用提灯の中で、捕り手達との大立ち回りでも、その前に立ち去ってしまい、何の活劇的な見せ場もなく全く期待外れです(笑)。やっぱり豪快な殺陣を見せてほしかったものです。

 

それにしても、正直、映画の鬼で演出に妥協のない小林正樹監督の映画はいつも重い。この映画はまだマシな方ですが、「切腹」、「上意討ち」、「怪談」、「人間の条件」などの名作は、若い頃には夢中になりましたものの、最近では年を重ねたせいか、なかなか体力的に見る気がしません。よほど体調の良いときに、しかも見せ場だけの飛ばし見で十分満足するようになりました。

・・・つまり、今回もそういうことです(笑)。

2016年7月15日 (金)

インデペンデンスデイ リサージェンス

 20年前に大ヒットしたSF映画「インデペンデンスディ」の続編「リサージェンス」ですが、敵エイリアンの宇宙船や「あきらかに前回よりも巨大だ」というキャッチコピーも前回ほどのインパクトはありません。

 ましてや、主たる攻撃方法が重力を操作し、ビルなどの地表全体を持ち上げて落とすという戦法では、これまで「アベンジャーズ2」や「マン・オブ・スティール」で既に何度も繰り返されています。

_new  監督のローランド・エメリッヒは、前回は模型中心の特撮だったのがお気に召さなかったのか、CG映像をこれでもかと大奮発しますが、今となっては、観客には二番煎じの見慣れた映像です。なんか勘違いしてますよね。模型だろうが、前作の映像は当時ものすごい衝撃でした。

 しかも、巨大な中国市場に配慮してか、露骨なまでの中国人観客への過剰サービスぶりはさすが商売っ気のエメリッヒというより思いっきりシラケます。

 筋立てについても、前回の映画で一躍メジャーとなって出演料がバカ高そうなウイル・スミスは劇中では既に亡くなっており、その息子たちが頑張ります。もっとも当時踊り子だった妻が20年後には医者(?)になっていたのは驚愕でした(笑)。

 そのほかは、それぞれの2世達が登場するのですが、結局、最後は当時の大統領や変人博士、主演のジェフ・ゴールドブラムとその親父までもが張り切るオールド・パワー映画となります。なんか、すっかり同窓会のイメージです。

 

 極めつけは、オチが「宇宙戦艦ヤマト」のイスカンダル?いや、平井和正の「幻魔大戦」のノリで終わります。・・・・・いやあ、笑えました(笑)。

 拾い物はエイリアンの女王で、これも「エイリアン2」と同じといえばそうですが、女王が同じ種族と思えないほどあまりにも巨大なため、塩の湖での戦いぶりは、もう怪獣映画そのものです。ここは個人的に大いに評価します。USゴジラへの対抗でしょうか?その割にはおんぼろバス1台破壊できないモンスターですが(笑)。

 ま、理屈を言わず、巨大な資金を投入したCG映像を2時間楽しみましょう。

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