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2016年5月 1日 (日)

フィフス・ウエイブ

 一般観客のレビューのあまりの低評価から、今回は劇場ではたぶん観ないだろうと思っていた「フィフス・ウェイブ」でしたが、まっとうな映画の愛好家である友人の「ま、こんなものでしょう。ご都合主義の展開、不思議と気にならない。」というコメントに背を押されました(笑)。・・・SF映画ファンの私が劇場で観なくてどうするのか、と。

 さて、観終わっての感想は、正直、もっとひどいと思っていました(笑)ので、まあ120分という時間であり、許容の範囲内でしょう。

 さて、宇宙人の侵略ものの映画には長い歴史があります。「宇宙戦争」や「インデイペンデンスデイ」のように巨大な宇宙船が到来し大規模な破壊を繰り広げるもの、「ボディ・スナッチャー」や「アライバル」などのようにこっそりと人知れず人間とすり替わっていくもの、あるいは「遊星よりの物体X」や「プレデター」のように単身で訪問するものなど、その侵略のタイプは様々です。

_new この映画は、それらのパターンをすべて網羅しようという大胆な試みです。原作は、「ハンガー・ゲーム」などと同じく、欧米でベストセラーになったヤング・アダルト小説の映画化らしく、読者の10代の少年少女をターゲットにということか、やっぱり、主人公はクロエ・グレース・モレッツ扮する高校生です。

 侵略の第1波の攻撃は、「第9地区」を彷彿させる巨大な宇宙船が突如現れ、電磁パルスで地球上のすべての電子機器を麻痺させます。まさに「地球の静止する日」ですが、その映像表現は、主人公の住むオハイオ州の周辺に限定しており、地球規模の災害というイメージが伝わりません。
 第2波の攻撃は、地震と津波です。これも、オハイオ州に隣接する五大湖の津波が森を襲ったぐらいで、海岸沿いの都市への大津波のワンショットが挿入されるものの、あまり破壊のカタルシィが感じられません。
 第3波は、鳥の大群のによる鳥インフルエンザの蔓延で、主人公の母や友人が死亡しますが、意外に平穏で、パニックらしさも恐怖も皆無の有様です。
 第4波は、人間の乗っ取りということですが、すべてが伝聞であり、観客に疑惑を持たせただけでした。ほとんど危機感は生じません(笑)。

 そして、タイトルの第5波の攻撃はなにか?という宣伝文句は、全世界が電子機器類の機能不全で静止している中、難民キャンプに軍隊の戦闘車両が到来したとたん、もうトリックのネタがバレます。脚本が悪いのか、原作がひどいのかわかりませんが、怪しいやつは結局怪しく、あとは、ただご都合に身を任せるだけでした。そして予想通り、ラストの土壇場での意外性もなく幕が閉じます。

 思えば、何とせこい宇宙人でしょう。あれだけの科学力があれば、「ゼイリブ」のトリックなどの手の込んだことをしなくても、生き残ったゴキブリども(人間)の始末は「ターミネーター」風にやればいいのです。直接、自分の手を汚したくないような宇宙人道主義(か、どうか不明だが。)では、今の観客には通用しません。しかも、この映画で「スーパーマン」と同じく、異星人との恋愛など噴飯物ではないでしょうか。少なくても、今回、スコープで見ても私はこの太めのヒロインには惚れませんでした(笑)。
 結局、このストーリー全部は、過去のSF作品の寄せ集めではないかと言いたくなりました。

 しかも、クロエ扮する女主人公の凄さはなんとしたことでしょう。少し太り気味のただの高校生が、僅かなサバイバル体験の中で、あっという間に銃器のプロに変身です。もう、アメリカの10代のガール・スカウトは凄いとしか言いようがない。
 加えて、軍隊で訓練された少年チームも凄い。短期間で戦闘のプロとなります。アメリカの10代の子供たちにはこういう話が受けるのかもしれませんが、もう少しリアリティがあってもいいではないでしょうか。

 総括としては、友人の言うとおり、ヤングアダルト小説の映画化として、「ダイバージェント」や「メイズ・ランナー」と同じく「まあ、こんなものでしょう。」でした。 

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