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2016年5月29日 (日)

スノーホワイト 氷の王国

 「スノーホワイト」の続編「氷の王国」は、前作で滅んだはずの白雪姫の義母、邪悪な女王ラヴィンナには、妹が居り、しかもそれが氷の女王だったというお伽噺のアレンジ・ファンタジー映画です。
_new_0001  今回は、その氷の女王フレイヤの悲しい誕生の物語をベースに、前作で活躍した猟師エリック役のクリス・ヘムズワース(アメコミのソウ役)の生い立ちや最愛の妻との秘話が明らかになりますが、この映画の最大の見所は、なんといっても、シャーリーズ・セロン扮する悪の女王の、小気味がよいほどの邪悪ぶりです。
 シャーリーズ・セロンの人間離れした美貌には、魔術を駆使する人外女王が本当に良く似合います。
 しかも、前作と違って、魔法の鏡の化身になっての復活であるため、老いに悩むことも醜い容貌を晒すこともなく、復活した完全体として、黄金の豪華な衣装とともに、徹底した悪女ぶりを発揮します。
 その美しくも禍々しい魅力は筆舌につくせません。彼女の目や指の動きの美しさに圧倒されます。完全に悪の魅力に参りました。「マッドマックス 怒りのデス・ロード」の薄汚れた隻腕の女戦士より数倍も好きです(笑)。
 可哀想なのは、エミリー・ブラント扮する氷の女王です。ストーリーもそうなのですが、二人が並んで立つと容姿でどうしても見劣りします。美人過ぎる姉を持つ妹の悲哀かもしません。もっとも、姉より美しかったら真っ先に殺されていたのかもしれませんが・・・。
 なお、今回は、スノーホワイトが魔法の鏡の呪いで病んでしまったという設定のため、その姿は暗い後姿が一瞬描かれるだけで、クリステン・スチュワートは登場しません。これも良かったのでしょう(笑)。もっとも、その代わりに、ジェシカ・チャスティンがエリックの妻サラ役として女戦士役で大活劇を披露します。向こうの女優さんは大変です(笑)。
 
 凸凹コンビのドワーフをはじめ、類人猿のような青いゴブリンなど、CG製の異世界は、ハリウッド製らしく良くできていますし、全体的に明るい、ユーモアあふれるムードが気に入りました。娯楽作品としては、まっとうに楽しめる、セロン魅力全開の映画でした。

2016年5月 8日 (日)

風の市兵衛

 このGWは、文庫「風の市兵衛」シリーズにはまりました。佐伯泰秀、上田秀人、風野真知雄などの有名作家のお馴染みの時代小説シリーズがマンネリ化する中、それらに代わる面白い作品に行き当たらなかったのですが、「この時代小説が凄いで第3位」という帯の宣伝に魅かれてたまたま手に取った第一作の面白さに感心しました。

Photo やはり、こういった娯楽作品は、痛快な主人公の設定が重要です。風の剣をふるう風のような、どこか涼しげな浪人者であるにもかかわらず、算術を持って渡り用人を稼業としているというのがうまい。しかも、王道である貴種流離譚ものであり、個性的で魅力的な仲間との触れ合いが定番的に描かれるのも好ましい要素となっています。
 さらに、各物語には、必ずおきゃんな町娘や気丈な姫が登場し、市兵衛とのやり取りの中で、淡い恋心がさらりと描かれ、男性読者の心をしっかり捉えます。
 特に、第1作目の「風の市兵衛」の旗本の母子、第2作目の「雷神」の絹問屋の跡取り娘、第4作の「月夜行」の大名の姫、第6~7作の「風立ちぬ」の料亭の娘など、僅かな数行の描写がうまいのです。
 加えて、主人公市兵衛と別嬪の娘たちとのやり取りが禅問答のような趣があり、なんとなく楽しくなります。

 一方、始めのうちは、この著者の文章表現がやや独特の省略系というか、言葉足らずの感があり、速読の私には、どういう場面か時折戸惑う面もありましたが、慣れればそれも個性なのでしょう。
Photo_2
 とにかく、殺陣のシーンが「風になった」とか「風に乗った」という抽象的な語句で表現され、いつの間にか相手は「横たわっていた」ということで具体的な斬り方や刀法がわかりません(笑)。この点、秘剣の佐伯泰秀や奇想天外な剣法を編み出す風野真知雄の時代小説とは全く趣が異なっています。

 ちなみに、主人公が振う「風の剣」とは、文中の「人とも思えぬほどの使い手」という表現からすると、幼少時に馬と競争したという逸話から、剣術の型ではなく、並外れた脚力を活かした動きの速さの剣術という設定だろうと私は密かに推測しています。

 結局、この連休の期間に文庫の第1巻から第13巻まで一気に読了です。しかし、まだまだシリーズは続いており、最新刊は、17巻のようですので、お楽しみはまだこれからです(笑)。
 映画などの映像化のお話はまだ無いようですが、各巻完結の小説ですので、テレビ向きでしょうねえ、期待しています。Photo_3


 

2016年5月 3日 (火)

シビル・ウォー キャプテン・アメリカ

 いやはや「シビル・ウォー キャプテン・アメリカ」には驚かされました。

_new この映画は、いつものアメコミ・ヒーローのオールスターのお祭りであり、題名のとおりアベンジャーズの仲間内でキャプテン・アメリカとアイアンマンが対立する筋立てを設定して、ヒーロー同士の対決シーンを見せ場に新たなキャラをお披露目するノリとばかり思っていました。

 実際、登場するヒーローは、元祖キャプテン・アメリカの陣営が、ウィンター・ソルジャー、ホークアイ、ファルコン、スカーレット・ウィッチ、そして、対立するアイアンマンの陣営が、お馴染み女スパイのブラック・ウィドー、ウォーマシン、ビジョンに新顔のブラック・パンサーという顔ぶれに、ゲスト出演的に、それぞれアントマンとスパイダーマンが助っ人で登場します。
 ところで、それぞれの名前を知っていますか?私は、この12人のうち、半分しかわかりませんでした(笑)。
 それにしても、今回ハルクとソーがそれぞれ行方不明という設定で登場しないのは正解です。能力が違いすぎて、仲間内の戦いにもならないというのがよくわかっていらっしゃる(笑)。 

 もちろん、2時間30分超という長い上映時間の中で、それぞれ見せ場を構えています。とりわけ空港での総当たりの戦いの場では、さえないアントマン(蟻人間)の隠し能力が仰天でした。さすがにハリウッドの特殊撮影は素晴らしい。邦画の技術の情けなさが身に沁みます。まさしく青空の下の21世紀の円谷怪獣特撮歌舞伎でした。
 一方、特別出演のスパイダーマンは、多分、新作への露払いでしょうが、チャラいキャラの主人公より若い叔母の方が期待できます(笑)。 

 そして、この映画のテーマといえば、先立って公開の「バットマンVSスーパーマン」と同じく、ヒーローの戦いの陰で被害を受けた人間の復讐のお話です。まさしく、現代アメリカで「正義の戦争があるのか」と問いかけています。・・・しかし、あんまり突き詰めると西部劇の二の舞になりそうですゾ(笑)。
 さらに、チーム内の対立の根幹でもある「正義は国の管理か、個人の意思か」という選択の課題も真正面から掲げています。ただ、キャプテン・アメリカの正義は、どうも友達への身びいきであり、負い目からの身勝手のように思えます。・・・法治国家をなんと心得るのか。やはり、西部開拓の国なのです(笑)。

 しかも、この映画は、対立を仕掛けた真犯人が判明し、いざ、チーム全員が一致団結して戦うというラストで、さらなる問いかけを投げつけるのです。
 「お前は、自分の最愛の人間を殺した奴を許せるのか」と。
 しかも、その問いかけの方法がやりきれないほど嫌らしく非道なのです。

 そして、映画はそのまま幕が下ります。・・・嘘だろ!!一体、アベンジャーズの続編はどうなるのか、と他人事ながら心配になります(笑)。いやあ、一筋縄ではいかない脚本でした。不意打ちに完全に降参です。

 それにしても、昨今のアメコミは、内容が陰湿で漫画で描くには重すぎるような気がしますが、一体アメリカの読者はどうなっているのでしょうか。
 もっとも、考えてみれば、スパイダーマンも養父を殺されているし、バットマンも両親を殺されています。目には目をの世界で、イエスのように、右を打たれれば、左を出すのでしょうか。復讐と許しは、西洋物語の根源かもしれません。・・・・とか、難しいことを考えてしましました。
 それにしても、第1作のアイアンマンから直近のアベンジャーズまでのマーベル映画で、今回のネタの伏線がありましたか?全く覚えていません(笑)。DVDを見直さなければなりません。これも興行面での高等戦略かな?

2016年5月 1日 (日)

フィフス・ウエイブ

 一般観客のレビューのあまりの低評価から、今回は劇場ではたぶん観ないだろうと思っていた「フィフス・ウェイブ」でしたが、まっとうな映画の愛好家である友人の「ま、こんなものでしょう。ご都合主義の展開、不思議と気にならない。」というコメントに背を押されました(笑)。・・・SF映画ファンの私が劇場で観なくてどうするのか、と。

 さて、観終わっての感想は、正直、もっとひどいと思っていました(笑)ので、まあ120分という時間であり、許容の範囲内でしょう。

 さて、宇宙人の侵略ものの映画には長い歴史があります。「宇宙戦争」や「インデイペンデンスデイ」のように巨大な宇宙船が到来し大規模な破壊を繰り広げるもの、「ボディ・スナッチャー」や「アライバル」などのようにこっそりと人知れず人間とすり替わっていくもの、あるいは「遊星よりの物体X」や「プレデター」のように単身で訪問するものなど、その侵略のタイプは様々です。

_new この映画は、それらのパターンをすべて網羅しようという大胆な試みです。原作は、「ハンガー・ゲーム」などと同じく、欧米でベストセラーになったヤング・アダルト小説の映画化らしく、読者の10代の少年少女をターゲットにということか、やっぱり、主人公はクロエ・グレース・モレッツ扮する高校生です。

 侵略の第1波の攻撃は、「第9地区」を彷彿させる巨大な宇宙船が突如現れ、電磁パルスで地球上のすべての電子機器を麻痺させます。まさに「地球の静止する日」ですが、その映像表現は、主人公の住むオハイオ州の周辺に限定しており、地球規模の災害というイメージが伝わりません。
 第2波の攻撃は、地震と津波です。これも、オハイオ州に隣接する五大湖の津波が森を襲ったぐらいで、海岸沿いの都市への大津波のワンショットが挿入されるものの、あまり破壊のカタルシィが感じられません。
 第3波は、鳥の大群のによる鳥インフルエンザの蔓延で、主人公の母や友人が死亡しますが、意外に平穏で、パニックらしさも恐怖も皆無の有様です。
 第4波は、人間の乗っ取りということですが、すべてが伝聞であり、観客に疑惑を持たせただけでした。ほとんど危機感は生じません(笑)。

 そして、タイトルの第5波の攻撃はなにか?という宣伝文句は、全世界が電子機器類の機能不全で静止している中、難民キャンプに軍隊の戦闘車両が到来したとたん、もうトリックのネタがバレます。脚本が悪いのか、原作がひどいのかわかりませんが、怪しいやつは結局怪しく、あとは、ただご都合に身を任せるだけでした。そして予想通り、ラストの土壇場での意外性もなく幕が閉じます。

 思えば、何とせこい宇宙人でしょう。あれだけの科学力があれば、「ゼイリブ」のトリックなどの手の込んだことをしなくても、生き残ったゴキブリども(人間)の始末は「ターミネーター」風にやればいいのです。直接、自分の手を汚したくないような宇宙人道主義(か、どうか不明だが。)では、今の観客には通用しません。しかも、この映画で「スーパーマン」と同じく、異星人との恋愛など噴飯物ではないでしょうか。少なくても、今回、スコープで見ても私はこの太めのヒロインには惚れませんでした(笑)。
 結局、このストーリー全部は、過去のSF作品の寄せ集めではないかと言いたくなりました。

 しかも、クロエ扮する女主人公の凄さはなんとしたことでしょう。少し太り気味のただの高校生が、僅かなサバイバル体験の中で、あっという間に銃器のプロに変身です。もう、アメリカの10代のガール・スカウトは凄いとしか言いようがない。
 加えて、軍隊で訓練された少年チームも凄い。短期間で戦闘のプロとなります。アメリカの10代の子供たちにはこういう話が受けるのかもしれませんが、もう少しリアリティがあってもいいではないでしょうか。

 総括としては、友人の言うとおり、ヤングアダルト小説の映画化として、「ダイバージェント」や「メイズ・ランナー」と同じく「まあ、こんなものでしょう。」でした。 

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