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2015年12月31日 (木)

スピルバーグ その世界と人生

 平成27年最後のブログは、先日発売された書籍「スピルバーグ その世界と人生」の紹介です。この本は、映画監督スティーブン・スピルバーグの一般的な伝記や作品の評論書ではなく、私的なものも含めて様々な写真を大きく掲げ、年代別、作品別に、それぞれメリハリのある解説付きで整理した、大型サイズの一種の図鑑のようなものです。

Photo もともと、スピルバーグ監督は、私のお気に入りの映画監督であり、以前、このブログでも、「ジョーズ」や「インディ・ジョーンズ」、「ジュラシック・パーク」など、その監督名を冠したシリーズにしていたほどなのですから、こういう形式の関連本の発売は、誠にうれしいものです。

 内容も、若い頃の本人の姿をはじめ、各作品の制作現場の裏舞台がわかる貴重な写真が多く、実に素晴らしい。しかも、解説が簡潔にして面白い。なにしろ寄る年のせいか、長い文章を読む気力が薄れてきているので、私にとっては大変ありがたい(笑)。

 一例を挙げれば、「ジョーズ」撮影の時は、サメの模型「ブルース」が動かず、監督解任寸前まで行った(現場では、若造のためスタッフの反発が相当あったようです。)ことが赤裸々に記載されています。もっともサメが動かなかったために、サメを見せないように撮らざるを得なかった結果、あのようなサスペンスが高まったという見方もあるらしい(笑)。
 ともあれ、完成後「二度と水はバスタブでも撮らない」というすスピルバーグのセリフが、今となってはなんとも可笑しい。

 そのほか、「ジュラシック・パーク」のCG技術による恐竜映像の革新現場に、あのレイ・ハリーハウゼンが突然訪問したお話があります。この時、二人は意気投合し、特別にCG原型映像を見せられたハリーハウゼンが「ここに、君の未来がある。」と言ったとか。
 私、こういうエピソードが大好きです。実に良いぢゃないですか(笑)。しかも、写真が大きいのが本当に見やすい。表紙のデザインもグッドです。まさしくスピルバーグ図鑑です。

 それにしても、若い時のスピルバーグは、何処にでもいる、なんとも頼りないあんちゃん風ですが、やはり、実績が出てくると、オーラと貫録が出て来ますねえ。いまや、戯画にも描かれるほど個性と味があります。・・当たり前ですか(?)。

 未見の方は、是非一度、手に取って写真を眺めてください。難読症気味の方でも十分楽しめます。

2015年12月30日 (水)

シネフェックスの危機

 ハリウッド発映像専門誌と冠した「シネフェックス」という雑誌があります。この雑誌については、日本語版も定期的に発刊されていて、前に一度このブログ(2008.2.9)で紹介しました。読み返すと、やたら日本語訳の拙さを嘆いていますが、この本の価値は、映画製作の裏側、特に、VFX(特殊撮影)の実態を貴重な写真や関係者の証言で紹介しているところです。毎号の発売が私の大きな楽しみになっています。一枚の写真のなんと情報量の多いことでしょう。映像のDVDの特典とはまた違った喜びでもあります。

Img_new 最新刊は、「ターミネーター新起動」、「アントマン」、そして、「ミッション・インポッシブル」が特集です。
 課題だった日本語訳も随分改善され、「ターミネーター」のVFXの解説では、映画のパンフレットではわからなかったこと、例えば、シュワちゃんの影武者のボディビルダーを何故最終的な映像で使わなかったのか、等々について懇切丁寧に説明されていました。疑問解消でスッキリしました。
 ちなみに、ボディビルダーの映像を使わなかった理由は、シュワちゃんと同じ体型・サイズとはいうものの、筋肉のつき方が全然違っていたとのことでした。シュワちゃんの胸筋は独特で、それこそが世界チャンピオンに輝いた理由でもあったとのこと。そりゃあ、人それぞれだろう。雇う前に確認しろよ(笑)。

 ところが、「ミッション・インポッシブル」の項では、冒頭に雑誌社から異例の告知があり、お詫びが掲載されていました。
 その内容は、これまでVFX制作会社から提供されていた貴重な画像などについて、今回、映画制作会社から使用承認がされなかったというものです。
 最近、製作会社、プロダクション、個人の権限が強化され、徐々に、画像の使用が難しくなってきているようです。アメリカ版では、結局、一切の画像を掲載せず、記事のみを紹介しているとのことでした。
 ちなみに、日本語版は、余りVFXに関係のない写真を載せて、お茶を濁しています。・・・誠に日本の国らしい(笑)。 

 しかし、誠に、困ったことです。私の秘かな楽しみが奪われようとしています。
 すべては、金のためなのでしょうが、情けない。映画ファンを忘れては、映画製作会社の行く末はありませんゾ。トム君、しっかりしてください、頼みますよ、ほんとに・・。
 こうしたことが、これ以上広がらないことを祈念しまして、以上で、怒りのメッセージを終了します。

2015年12月29日 (火)

エド・カウチャー(その2)

 先頃、「宇宙画の150年史」という美術本が発売されました。大型の分厚い本です。書名のとおり、過去150年間の有名なサイエンス・フィクションの絵を収集したものです。科学の進歩とともに、宇宙の姿がリアルに描かれてきたことがよく理解できます。

Photo また、宇宙画がSF映画の歴史とも密接な関係があることもよくわかります。古くは、ジョージ・パルの作品の背景画やギーガーのエイリアンまであります。
 もっとも、この絵が宇宙画の大家の作品といわれても、全然知りませんが・・(笑)。

 さて、この本に掲載された中で、唯一画家の名がわかったのが、エド・カウチャーです。この空想画家のことは、このブログでも既に紹介済み(2014.2.08.)ですが、やはり、向こうでも有名な画家だったようです。なにしろ、この画家のために独立した章が設けられているのですから。
 丁度、この本を購入した時、偶然にも、またまた、ビリケンのポケット宇宙人のクリア素材のソフビ模型をゲットしたのです。Evilcarimg450x6001450251950kdu5s650

Evilcarimg450x6001450252045rxudnb20 お馴染みの星人ですが、今回、カウチャーの原画の水星人と木星人のように、リアルな彩色版にリペイントしました。

 いずれも、サーフェイサーで下塗りをした後、ラッカー塗料のダークイエロー+オレンジ、あるいはイエローとの混色をエアブラシで吹きつけ、体表の節に濃淡を付けています。木星人は、エナメルのクリア・グリーンで首や吸盤などを筆塗りしています。水星人は、ラッカー塗料のクリアレッドなどで筆塗りし、エナメル塗料のスモークでエアブラシ塗装による陰影をつけています。いかがでしょうか、少しはカウチャー風になりましたでしょうか。

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2015年12月20日 (日)

スター・ウォーズ フォースの覚醒

 前作より10年ぶりの新作ということで、映画というより社会現象的な「スター・ウォーズ フォースの覚醒」を観て来ました。
 元々、スター・ウォーズ(以下、SWと略します。)は、どうも苦手で、このようなお祭り騒ぎにはついていけないのですが、映画史上、第1シリーズは、SF映画の特殊技術を革新し、子供だましの世界から一気に一流の娯楽作品として大人の観客に認知させたことは、高く評価しております。
 とりわけ、第1作のピアノ線のない巨大宇宙船の存在感、宇宙船のドッグファイト、第2作目では氷原の巨大な鉄の象の迫力、ヨーダ人形のリアルさ、第3作目での森の中のスピードレースなどは、当時では誠に衝撃的な映像でした。
 しかしながら、第2シリーズになりますと、CG技術が各段に進化した分、背景などの映像が盛り込み過ぎで、おもちゃ箱をぶちまけた感が一層強くなり、映画の中身に没頭できなかったうらみがありました。(多分に年齢せいかもしれませんが(笑))

 今回は、CGも成熟化し、監督が早口で(笑)SF映画に理解があるJ.J.エイブラムスでしたので、密かな期待をこめて、封切り2日目(笑)に劇場に足を運びました。

Img_new さて、内容ですが、全編、第一シリーズへのオマージュと言ってよいもので、現在のCG技術の粋を集めて、懐かしいシーンを再現しています。この映像の完成度は感心します。
 砂漠に墜落したスター・デストロイヤーの残骸のある風景、タイ・ファイターの空中戦、一段とリアルさが増しています。デス・スターも何倍も巨大化して登場しますし、お馴染みの敵の歩兵ストーム・トルーパー(この顔はダイオウグソクムシに酷似です。)も多数出演します。加えて、ハン・ソロ、レイア姫、ルークなど全員オリジナル俳優が総出演です。
 やっぱり、これは、オールスターお祭り映画です。

 しかし、それだけではありません。後2作の新シリーズに向けた、新たな因果関係、登場人物がしっかり紹介されます。新たな主演であるレイがいい。女性が主人公というのも上手いし、演じた俳優デイシー・リドリーが抜群に良い。「男前の美女」というか、廃品再生の無骨なスピーダーを操り、球体のドロイドを従えて、颯爽と行動します。新たなシリーズのまさに女性のヒーロー像として完璧です。もう一度、とてもいい。加えて、R2-D2と異なり、ころころとスピード感をもって進むドロイドBB-8が、今の時代を現している気がしたというのは、ま、ほめ過ぎか(笑)。
 また、彼女の相棒となるのが、黒人で、しかも、過去の作品ではその他大勢のストーム・トルーパーの名もない兵士の中から、良心に目覚めて、レジスタンスに加わるという設定には、唸りました。脚本家の勝利です。

 一方、悪役が弱いねえ。十字軍のようなライトセイバーを使う仮面のカイロ・レンは、ダサいデザインの仮面を外すと、さらにがっかりな気弱な顔で情けない。しかも、正体は×××であり、結局、血の因果関係なのです。この辺は、前シリーズを踏襲。どうも、ジュダイの騎士は、みなメンタルに問題ありですな(笑)。オビ=ワン・ケノービもヨーダも、みんな困難な時に限って引き込ります。

 今回の筋立ては、登場人物の引継ぎ(新旧交代)と紹介、そして、見せ場は、結局、デス・スター(スターキラーと呼ぶらしい)の攻略というほぼ第1作と同じものでした。
 ただ、ラスト近く、ファンを仰天させるシーンを描き、エンディングは、レイが××と・・・。まあ、なにか仕掛けないと次に進みませんからねえ(笑)。
 新シリーズは始まったばかりです。レイに期待し、続編を乞うご期待、ということでしょう。・・・この映画は、作品ごとに監督交代が基本ですから、次の監督が大変ですねえ。

 余談ですが、エンディングロールのスタッフ名の列挙が尋常ではないほど延々と長い。これもお祭り気分です。観客を忘れています(怒)。パンフレットも中身がないのに千円(怒)。 ちなみに、開幕に20世紀FOXのロゴがないのは寂しいですが、ディズニーランドのロゴがなくて、よかった。そのまま、SWの世界に上手く引き入れています。なお、冒頭シーンの見せない演出も、一応評価しましょう(笑)。

 ところで、この記事が久しぶりのブログでしたので長くなりました。12月に入ってこれが最初のブログとは自分でも驚きです。まあ、師走は何かと忙しくあわただしかったからねえ。

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