ハマー・フィルム・ホラー・コレクション
今はなき、英国の名門ホラー映画専門会社「ハマー・フィルム」の4作品セットのブルーレイボックスが発売されました。
このうちで、本邦初ソフト化されたのが、クリストファー・リー主演の「ミイラの幽霊」なのです。前にもこのブログで紹介したように、この作品は、リーがミイラ男に扮した有名な怪奇映画であるにもかかわらず、何故か、我が国では、DVDどころか、VHSでも、そして、マニアックなLDにおいてさえ発売されなかった不遇な作品です。何年待ったことでしょう、なんとも、うれしいことです。ワーナー・ブラザーズの英断に感謝します。ありがたいことです。
というのも、かつて、故大伴昌司編集者が、伝説のキネマ旬報の怪奇映画特集の記事で、この作品について、ミイラ男が泥沼から出て来るシーンとその設定(馬車で輸送中、ミイラを入れた荷箱が沼に転落したため、)の効果が素晴らしいと絶賛していたことから、どうしても見たくて、数年前に海外版を輸入したものです。
ただ、残念ながら、字幕なしの画面の面白く無ささ加減は尋常ではなく、途中で必殺早送りにしてしまう有様でした(笑)。
今回は、しっかりと字幕を堪能しました。やはり字幕なしとは、随分印象が違います。当たり前か(笑)。
冒頭のエジプトの発掘現場のセットのチープさも、なんとか我慢できました。東映時代劇の野外セットと同じで、見立ての一種と思えばよろしいのです(笑)。
それに反して、室内のセットは比較的よくできており、とりわけ、エジプトの埋葬物のデザインは、最近の発掘調査の成果を生かしているかのような、斬新な色合いです。チープですが、けっこう好きです。
そういえば、撮影に協力していたエジプト学者がミイラが蘇るシーンを見て、「こんなものに協力していたのか」と怒ってスタジオを出て行ったという逸話を大伴昌司が記事にしていたような気がしますが、これは多分、大伴流の受け狙いの嘘でしょうなあ(笑)。
そういった大伴ネタはともかく、リーのミイラ男は、背丈が高く、痩身なだけに、見栄えがあり、二千年ぶりに歩く感じのギクシャクした歩き方や手の独特な振り方などの演技が見ものです。同じく未DVD化の「ドラキュリアン」の貧そなミイラとは雲泥の差です。
くわえて、ブルーレイのせいか、ヒロインやエジプト女王の二役の女優さんが、なかなか綺麗です(笑)。これは拾いものでした。
そのほか、リーがドラキュラに扮した映画の「帰ってきたドラキュラ」と「ドラキュラ血の味」がブルーレイ化です。シリーズで言えば、3作目と4作目であり、完全な続編になっています。いずれも、DVDを持っていますが、完全に内容を忘れていました(笑)。
ただ、「帰ってきたドラキュラ」は、私が劇場で初めて見た懐かしの映画であり、3作目にして、リー・ドラキュラの立ち居振る舞いが他の作品と比べてかなり多く描かれており、吸血鬼らしい(?)魅力に満ちているような作品になっている気がします。最後の十字架での串刺しも見事です。・・・もちろん、一般的なストーリーなどは期待してはいけません、あくまでも、リーがドラキュラを演じる映画として評価しているのです(笑)。
このBOXには、前述の3作品のほか、剥げ頭のフランケンシュタインの怪物の作品もありますが、もうその怪物の造形だけで見る気が失せます。思えば、ユニバーサルの古典のデザインの凄さを改めて感じます。
以上、こうした古典の初ソフト化の取り組みは、今後もどんどん行ってほしいものです。
そういえば、最近、ハマー・フュルムだけでなく、アメリカン・ホラー傑作選と称して、様々なハリウッド映画の古典がDVD化されています。
その一つに、HG・ウェルズの「獣人島」の最初の映画化作品「獣人島」がDVD化されています。この映画は、なぜか、よく再映画化されており、後年、マーロン・ブランドやバート・ランカスターが狂人的に演じていますが、初代のマッドサイエンチストを演じたチャールズ・ロートンの演技には怪奇映画らしい怖さが感じられます。獣女を演じた女優さんも個性的なマスクですが、初代ドラキュラのベラ・ルゴシが獣人の代表を演じていたとは知りませんでした。
このように、DVD化は見逃していた、ちょっとした再発見ができて楽しいものです。
できれば、メーカー様には、ブルーレイ化の前に、まずDVD化を進めてほしいものです。ブルーレイの価格は、まだ少し高いので、是非よろしくお願いします(笑)。
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