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2015年9月27日 (日)

縮みゆく人間

 「アントマン」の公開にあわせてか、50年代の傑作SF映画選として、「縮みゆく人間」が初めてDVDで発売されました。
 この映画は、1957年に公開されており、大伴昌司先生の特集を通じて、その巨大な鉛筆のそばに立つ姿の写真などが有名です。私も、LDを持っているのですが、本格的に見た(?)のは、今回が初めてでした。

Img_new その内容は、人間が縮小するというテーマでも、アメコミの蟻人間とは全く異なり、かなりシリアスな物語です。当時の世評を反映してか、核実験と殺虫剤を浴びた主人公が、徐々に体が縮んでいく姿をリアルに描きます。
 最初は、上着の袖が長くなるところから始まり、ゆっくり時間をかけて縮んでゆきます。仕事にもつけず、マスコミの好奇の目にも晒されながら、家庭も崩壊します。
 さらに、数センチの段階で、ドールハウスで暮らしていた主人公が飼い猫に追われ、地下室に落ちます。
 小さな人間の声は、妻にも届かず、非力な身体は、ハサミを持ち上げるのがやっとです。ましてや、見上げるような巨大な階段の段差を上るのは容易ではありません。結局、地下室から脱出できず、縫い針と糸を使って、食べ物を探し、パン屑を得るために、獰猛なハエトリグモと戦わなければなりません。身も心もボロボロになります。

 この辺が、能天気なアントマンとは全く異なります。そういえば、アントマンの力と跳躍力は、どこから得たのでしょう。人間が蟻並みに小さくなったら、蟻のような力が付いたというのでしょうか。なんか、劇中で説明があったような気もしますが、忘れました(笑)。人間が縮小するという荒唐無稽さを前提にして、その描き方のリアルさは雲泥の差です。

 ともかく、この映画は、改めて見直すと、ともかく救いが全くなく、地下室にあらわれた妻と兄が気がつくかと思ったら、結局、そのまま去っていくのには驚きました。そして、主人公の縮小は止まらず、そのままラストを迎えたのにも絶句でした。
 いやあ、本当に悲惨な映画でした。核実験におびえた当時の未来への考え方がよくわかります。

 最後に、映画の冒頭、被爆する前に、休暇中の主人公が妻と二人で、海上に停めたモーターボートのデッキで日光浴をしているシーンは、グラマラスな妻のクラシックな水着姿などが、古き良き時代のアメリカの幸せの形を見事に表しています。こうした、なんでもないシーンの懐かしさが古典の鑑賞のメリットでもあります。いや、昔の映画(?)はやっぱりいいですねえ(笑)。

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