地獄の黙示録
最近、中高生を対象にしたファンタジー小説、いわゆるライトノベルと称されるものでしょうか、漫画の挿絵のついた読み物が流行っています。
先日、時代小説の新作の合間に、暇に任せて、偶然、本屋で立ち読みした一冊にハマりました。
題名は申し上げませんが、作者が元自衛隊員だったそうで、自衛隊の兵器や作戦行動の知識を生かした戦闘モノと、金髪のエルフや獣人などがメイド姿で登場するオタクの世界と合体させたネット小説を書いて、いまや大ヒットとか。アニメにもなったそうな・・・。
この主人公がコミックマーケットの同人誌の愛読者という設定やヘタレな癖に何故か美女群にモテモテとなるストーリーは、多分に、その筋のマニアを含めて少年たちの見果てぬ夢の具体化にほかならず、それが多分人気上昇の理由なのでしょう。
なにしろ、コミケの世界が実際に存在したという設定の小説ですから、マニア達は喜ぶでしょう。ヒットに向けた、誠にうまい切り口と感心しました。
しかし、この小説の本当の醍醐味は、中世レベルの敵を自衛隊の近代兵器でなぎ倒すという、文明の圧倒的な差を描いて、現代の日本人(?)の優越感を満足させるというところにあります。・・・単純ですが、誠にストレス解消には持ってもってこいです。その分、幼稚さと現実逃避傾向が顕著になります(笑)。
さらに、面白いのは、結構、映画のネタをもとにした設定が、そのまま出て来るのです。多分、作者は、映画が好きなのでしょう。
実際、エイリアンの卵も登場します(笑)し、とりわけ、自衛隊のヘリコプター部隊が、映画「地獄の黙示録」の真似をして、ワルキューレの曲を流しながら、異世界の大軍を掃射するシーンが白眉です。
ご丁寧に、映画のヘルメットを尻に敷く場面や音源などについてのやり取りが笑わせます。しかも、結構、長々と描写しており、わざわざ「ワルキューレの哄笑」と呼ばれる女性コーラスの歌詞をそのまま活字化しています。
おかげで、映画「地獄の黙示録」を再見したくなり、わざわざDVDを購入しました。
以上が、何故、今、私が、映画「地獄の黙示録」を見たかという経緯の前説でした。
さて、映画の方は、やっぱり、コッポラの思いが強すぎます。河を上り始めるまでが、長すぎ、退屈です。ベトナムの暑さと戦争の狂気がうっとおしい。
そして、お目当てのキルゴアの狂気のワルキューレのシーンも、見せ方としては、なんか編集がうまくありません。あれだけの物量の凄さと膨大なフィルムがあれば、もっと劇的な見せ方はあるのではと、素人ながら少し疑問に思います。最近のCG映像を見慣れたせいかもしれません(笑)。もっとも、本物なればこそ、逆に無秩序の戦場らしいのかもしれません。それがコッポラの目的なら、やはり凄いかも。
それにしても、プレイメイト達のショーもあんな短時間だったのか?昔は、もっと長かったような気がしました。なにしろ、ジャングルの中の基地でのど派手なバカ騒ぎの印象が強烈でしたから(笑)。
結局、この二大見せ場以外は、思わせ過ぎて、やっぱり退屈でした。
ちなみに、前段の小説の方も、2巻までは面白いんですが、続編以降は、なんかツボがズレており、どうもついていけません。・・・当たり前か(笑)。
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