無料ブログはココログ

« 2015年8月 | トップページ | 2015年10月 »

2015年9月28日 (月)

地獄の黙示録

 最近、中高生を対象にしたファンタジー小説、いわゆるライトノベルと称されるものでしょうか、漫画の挿絵のついた読み物が流行っています。
 先日、時代小説の新作の合間に、暇に任せて、偶然、本屋で立ち読みした一冊にハマりました。
 題名は申し上げませんが、作者が元自衛隊員だったそうで、自衛隊の兵器や作戦行動の知識を生かした戦闘モノと、金髪のエルフや獣人などがメイド姿で登場するオタクの世界と合体させたネット小説を書いて、いまや大ヒットとか。アニメにもなったそうな・・・。
 この主人公がコミックマーケットの同人誌の愛読者という設定やヘタレな癖に何故か美女群にモテモテとなるストーリーは、多分に、その筋のマニアを含めて少年たちの見果てぬ夢の具体化にほかならず、それが多分人気上昇の理由なのでしょう。
 なにしろ、コミケの世界が実際に存在したという設定の小説ですから、マニア達は喜ぶでしょう。ヒットに向けた、誠にうまい切り口と感心しました。

 しかし、この小説の本当の醍醐味は、中世レベルの敵を自衛隊の近代兵器でなぎ倒すという、文明の圧倒的な差を描いて、現代の日本人(?)の優越感を満足させるというところにあります。・・・単純ですが、誠にストレス解消には持ってもってこいです。その分、幼稚さと現実逃避傾向が顕著になります(笑)。

 さらに、面白いのは、結構、映画のネタをもとにした設定が、そのまま出て来るのです。多分、作者は、映画が好きなのでしょう。
 実際、エイリアンの卵も登場します(笑)し、とりわけ、自衛隊のヘリコプター部隊が、映画「地獄の黙示録」の真似をして、ワルキューレの曲を流しながら、異世界の大軍を掃射するシーンが白眉です。 
 ご丁寧に、映画のヘルメットを尻に敷く場面や音源などについてのやり取りが笑わせます。しかも、結構、長々と描写しており、わざわざ「ワルキューレの哄笑」と呼ばれる女性コーラスの歌詞をそのまま活字化しています。

Img_0001_new おかげで、映画「地獄の黙示録」を再見したくなり、わざわざDVDを購入しました。
 以上が、何故、今、私が、映画「地獄の黙示録」を見たかという経緯の前説でした。

 さて、映画の方は、やっぱり、コッポラの思いが強すぎます。河を上り始めるまでが、長すぎ、退屈です。ベトナムの暑さと戦争の狂気がうっとおしい。
 そして、お目当てのキルゴアの狂気のワルキューレのシーンも、見せ方としては、なんか編集がうまくありません。あれだけの物量の凄さと膨大なフィルムがあれば、もっと劇的な見せ方はあるのではと、素人ながら少し疑問に思います。最近のCG映像を見慣れたせいかもしれません(笑)。もっとも、本物なればこそ、逆に無秩序の戦場らしいのかもしれません。それがコッポラの目的なら、やはり凄いかも。
 それにしても、プレイメイト達のショーもあんな短時間だったのか?昔は、もっと長かったような気がしました。なにしろ、ジャングルの中の基地でのど派手なバカ騒ぎの印象が強烈でしたから(笑)。
 結局、この二大見せ場以外は、思わせ過ぎて、やっぱり退屈でした。

 ちなみに、前段の小説の方も、2巻までは面白いんですが、続編以降は、なんかツボがズレており、どうもついていけません。・・・当たり前か(笑)。

2015年9月27日 (日)

縮みゆく人間

 「アントマン」の公開にあわせてか、50年代の傑作SF映画選として、「縮みゆく人間」が初めてDVDで発売されました。
 この映画は、1957年に公開されており、大伴昌司先生の特集を通じて、その巨大な鉛筆のそばに立つ姿の写真などが有名です。私も、LDを持っているのですが、本格的に見た(?)のは、今回が初めてでした。

Img_new その内容は、人間が縮小するというテーマでも、アメコミの蟻人間とは全く異なり、かなりシリアスな物語です。当時の世評を反映してか、核実験と殺虫剤を浴びた主人公が、徐々に体が縮んでいく姿をリアルに描きます。
 最初は、上着の袖が長くなるところから始まり、ゆっくり時間をかけて縮んでゆきます。仕事にもつけず、マスコミの好奇の目にも晒されながら、家庭も崩壊します。
 さらに、数センチの段階で、ドールハウスで暮らしていた主人公が飼い猫に追われ、地下室に落ちます。
 小さな人間の声は、妻にも届かず、非力な身体は、ハサミを持ち上げるのがやっとです。ましてや、見上げるような巨大な階段の段差を上るのは容易ではありません。結局、地下室から脱出できず、縫い針と糸を使って、食べ物を探し、パン屑を得るために、獰猛なハエトリグモと戦わなければなりません。身も心もボロボロになります。

 この辺が、能天気なアントマンとは全く異なります。そういえば、アントマンの力と跳躍力は、どこから得たのでしょう。人間が蟻並みに小さくなったら、蟻のような力が付いたというのでしょうか。なんか、劇中で説明があったような気もしますが、忘れました(笑)。人間が縮小するという荒唐無稽さを前提にして、その描き方のリアルさは雲泥の差です。

 ともかく、この映画は、改めて見直すと、ともかく救いが全くなく、地下室にあらわれた妻と兄が気がつくかと思ったら、結局、そのまま去っていくのには驚きました。そして、主人公の縮小は止まらず、そのままラストを迎えたのにも絶句でした。
 いやあ、本当に悲惨な映画でした。核実験におびえた当時の未来への考え方がよくわかります。

 最後に、映画の冒頭、被爆する前に、休暇中の主人公が妻と二人で、海上に停めたモーターボートのデッキで日光浴をしているシーンは、グラマラスな妻のクラシックな水着姿などが、古き良き時代のアメリカの幸せの形を見事に表しています。こうした、なんでもないシーンの懐かしさが古典の鑑賞のメリットでもあります。いや、昔の映画(?)はやっぱりいいですねえ(笑)。

2015年9月24日 (木)

アントマン

 連休最後の前夜、人食い巨人か、蟻人間か、どちらの映画を見に行くか、悩んだ結果、特殊撮影に定評のあるハリウッド映画「アントマン」を選びました。

Img 「アントマン」とは、人間を1.5cmに縮小したスーパーヒーローです。まさしくアメコミらしい、本当に馬鹿げた設定です。
 が、しかし、さすがハリウッド、いやこの場合は、マーベル社というべきでしょうか。設定が小さいだけに、これまでのアメコミ映画とは一線を画した喜劇調の物語に仕立て上げています。
 しかも、主人公は、電子工学には才能があるものの、泥棒までする、どうしようもなく駄目な人間です。これまでにはない、冴えない犯罪者が主人公なのです。

 刑務所を出所するところから幕が開きますが、出迎える仲間達が、これまた、とんでもない凸凹トリオです。とりわけ、映画「フューリー」のメキシコ系の役者が、アメリカン・ジョーク系のお笑いパフォーマンスを演じます。芸達者ですなあ。ギャク調のスーパーヒーロー・アクション映画です。

 また、あの肉食系俳優のマイケル・ダグラスが出演しているのにも驚きました。最初の若い頃のエピソードでは、多分CGで若づくりメイクをしていたので、まさかと目を疑い、何度も見直しました。アメコミ映画の力、時の流れを今更ながらに感じました。マイケル・ダグラスまで出るんだ。しかも、ロバート・レッドフォードと違って、悪役ではないのです。正義の博士の役柄であり、初代のアントマンということで、二重にびっくりです。恐るべき、マーベル・ハリウッド。
 と書きましたが、良く考えると、かつて、子どもだましと言われていたアメコミ映画を一流に格上げした、クリストファー・リーブの「スーパーマン」に、マーロン・ブラントが出演した歴史的な出来事もありましたので、これは、伝統に則ったヒットに向けたお約束かもしれません。となると、次作では、どんな大スターが出演するのでしょうか、これも楽しみかもしれません。

 さて、映像等は、さすがに良くできています。いかにも、体が小さくなったという感じが良くできています。かつての「縮みゆく人間」のアナログ映画とは大違いです。しかも、アクションも笑いを散りばめ、物のサイズを自由にする粒子を振りまき、蟻を大型犬並にでかくしたり、おもちゃのトーマス機関車を実物大にするのは、感心しました。理屈なしに、楽しめます。もっとも、理屈を考えると前に進みませんが(笑)。

 そして、この映画でなにより気に入ったのは、博士の娘役の女優さんです。エヴァンジェリン・リリ-という小股の切れ上がった美人です。どっかで見た顔と思っていたら、映画「リアル・スティール」のボクシングジムの娘さん役でした。加えて、「ホビット」の女闘士のエルフ役も演じたそうです。あのとんがり耳一つでこうも印象が違うとは思っていませんでした。
 この映画の一番の見所は彼女ですといって過言はありません(笑)。是非ご覧ください。 

 続編では、蟻男のパートナーの蜂女に扮するようですので、今から楽しみです。出し惜しみしないで、この第一作から登場させたらよかったのに、と文句を言いたくなりました。

 巻末の予告編によると、次回作は、キャプテン・アメリカと共演するそうです。
 一体、このマーベル社の戦略は何処まで行くのでしょうかねえ。乗せられる側の観客も困ったものですが、その客のニーズをうまく突いてくる商売上手を褒めるべきでしょうか。興行成績を見る限り、凄いとしか、言いようがありません。映画の内容より、そのマーケティング戦略に脱帽します。次に期待しましょう(笑)。

2015年9月23日 (水)

ドレイコ(その2)

 久しぶりに長い連続休日となったシルバーウィークです。かねてからの計画通り、下塗りしていた映画「ドラゴンハート」のドラゴン、ドレイコの模型の塗装作業に入りました。

Img_0715 このドラゴンの彩色は、模型キットの外箱には、商品完成品の写真がありますが、今いち感心しません。
 一方、私の前編ブログに頂戴したコメントの中で、この道で有名な名人の手になる見事な完成品が紹介されております。素晴らしいの一言です。・・まあ、この人の作品は、別格、別次元のものですから、真似のしようがありません。

 塗装着手にあたって、まずは、映画のDVDを見なおしたところ、基本的には、黄土色ですが、背中の甲羅や頭部、体表の斑点が、黒いのです。しかし、前にお話したように、前回は色目を濃くし過ぎて、墨入れの結果、黒いドラゴンになってしまった苦い経験から、今回は、白いドラゴンしようと決意していました。

Img_07231 ということで、今回、ラッカー塗装の第一段は、まず、腹部等をつや消しホワイト多めのダークイエロー、その他をつや消しブラック少々のエアブラシで、明暗をつけます。その上に、さらに甲羅や斑点などはクリアオレンジなどで濃淡をつけます。
 第二段階は、エナメル塗料のクリアオレンジでしわの溝部分を一本一本手書き、また、甲羅部分の鱗を一枚一枚クリアオレンジとスモークの混色で手塗りします。いやあ、このドラゴンは、結構、手塗する部分が多く予想以上に手間がかかります。
 映画では黒く見える頭部や首部分を極小クリアブルーで薄塗りです。

Img_07161 結構、濃淡の明暗が付いたので、最終の段階として、つや消しスプレーを噴霧したとたん、一挙に濃淡が消えてしまいました。どうやら艶がポイントだったのです。結局、真っ白(茫然自失?)になったドラゴンになりました。

 しからばと、気を取りなおして、エナメル塗料のスモークをエアブラシで、さらに甲羅部分に吹き付けます。これで、淡いながらも、なんとか濃淡が戻ります。

 しかし、今回は、体表全体へのエナメルブラックの墨流し手法は行いません。白い腹部などもそのまま生かします。ついでに、手足の爪の黒いマニュキュアは致しません。頭部や背中の角などと爪の色目を合わせました。さらに、鱗の縁へのゴールド塗料のハケ塗布も止めました。
 この辺は、動く映像として見せる映画とは違う模型ならではの解釈です。と、いうか、本音を言えば、これ以上、手を入れると、失敗しそうで・・(笑)。 

Img_07271 結果、水彩画、水墨画のようなのドラゴンになりました(笑)。
 ちなみに、台座は、インディブルーとホワイト、ブラックのエアブラシ塗りに、エナメルの薄めのブラックで流し塗りの上、表面塗装をこすり落とししました。
 私の技術と根気では、この程度が限界です。まあ、木製の台座を取り付けて、こんな仕上がりですが、今回は、なかなか楽しみながら作ることが出きました。おおむね、満足な出来です。

 ただ、残念なことが一つ、台座の城壁の所定の位置に、ドラゴンがうまく取り付きません。 このため、写真のように、やむなく、三点で一番安定する場所へ鎮座させました。
 なお、キットに備え付けのメタル製の騎士は、あんまり映画の人物と似ていないので、塗装はしませんでした。

2015年9月21日 (月)

天空の蜂

 「天空の蜂」は、もう20年も前の、東野圭吾の原作を映画化した作品だということです。
 江口洋介と元木昌弘の顔合わせで、「SPEC」の堤幸彦が監督し、映像化絶対不可能といわれた原作をハリウッド映画にも対抗できるエンターテイメントに仕上げたという宣伝に乗せられて、昨夜、観て来ました。

 映像化絶対不可能というのは、多分にアクションなどの凄さではなく、原発を扱っているだけに、国や県をはじめ、各方面との折衝が困難だったということは想像できます。
 その意味では、映画化実現は、よくやったということはあるかもしれませんが、我が国の原発行政の無責任さを告発するというテーマであれば、あまりに遅すぎます。
 あの3.11の福島原発の事故で、すべての国民が原発の危険性、国や事業団の無責任さは、十分承知しています。
 20年前の原作の発表当時では、原発の安全神話は、まだ国民の間では信じられていましたのでインパクトは相当あったと思いますが、今となっては、テーマとしては遅すぎます。

 期待したアクションについても、子どもをヘリコプターで救出するシーンぐらいしかなく、拍子抜けです。まあ、CG技術も進歩したなあ、というぐらいの感想ですか。
 印象に残ったのは、主演二人の暑苦しい力演ではなく、原発上空でホバリングするビッグBのCG映像と、原発推進者、反対者の家族に対する集団による陰湿ないじめ、嫌がらせのシーンです。日本の社会の最も悪質な部分を描いています。原発の問題だけにとどまらず、日本の恥部、まさしくムラ社会の負の文化です。そして、いまや、これが、ネット世界で瞬時に拡散する時代になっておりますので、もう空恐ろしいことです。

 最後に、この映画は、やけに、自衛隊がかっこいいですねえ。なんか、裏を感じるのは、私だけでしょうか。この国の最近の在り様を見ていると、そんな妄想が浮かんで来ます。・・・以上、あくまで映画の感想でした。なお、今回は、パンフレットもチラシもありません(笑)。

2015年9月15日 (火)

ドレイコ(その1)

 ドレイコというのは、映画「ドラゴンハート」に登場するドラゴンの名前です。現在、このドラゴンの模型キットの製作に取り組んでいます。

Img_06291_2 実は、この模型キットに取り組むのは二度目なのです。以前、作った時は、ソフビ・キットの中に注入したレジン液が漏れて、しかも、彩色が予想以上に濃くなったという大失敗となってしまいました。
 というわけで、今回、押し入れに死蔵してきた手つかずのキットに、再度チャレンジすることにしました。

 まずは、キット部品の組み立てですが、このドラゴンは、四本足で背中から羽が生えている、ヨーロッパの伝統的なスタイルであり、しかも、右前足を挙げているという、非常にバランスが悪い恰好なのです。なかなか体を水平が保てません。
 そのため、ソフビの耐性強化のためのレジン液を4本足に注入し、なお、かつ前腹部に真鍮球を重石代りに仕込みました。レジンに関しては、前回の失敗の苦い思い出あるものですから、細心の注意を払い、なんとか僅かな瑕疵だけで、クリアできました。

Img_06351 9月6日から作業をはじめ、継ぎ目をパテ埋め、サーフェイサーの下塗りが完了したのが、9月13日です。これで、やっと塗装の下準備ができました。

 ちなみに、このドレイコの声をショーン・コネリーが演じてるせいか、顔がどことなくコネリーに似ていませんか。

 では、来週のシルバー・ウイークの間に、なんとか塗装を仕上げたいものです。本当に、「お楽しみはこれから」です。といっても、うまく色合いが出せるか、不安もいっぱいです(笑)。DVDを再検証しましょう。

2015年9月13日 (日)

キングスマン

 映画「キングスマン」とは、かつて大ブームだった初代007映画やテレビドラマの「それ行けスマート」などの往年のスパイ物へのオマージュと理解していましたが、これほど定石外しのストーリーとは思いませんでした。脚本家と製作陣に脱帽します。

Img_new_0001 主演の「英国王のスピーチ」のコリン・ファース、かつて超地味なスパイを演じた名優マイケル・ケイン、そして、いまや、活劇に出ずっぱりの感がある曲者俳優サミュエル・ジャクソンという、大物俳優たちの出演ですから、1級の大作でよねえ。
 もっとも、劇場予告編で観た、パロディ・スパイ映画の必須アイテムであるコウモリ傘の武器や両足が刃物の義足という女殺し屋、そして、それいけスマートの公衆電話のような高級洋服店の秘密基地などの定番アイテムの数々には、若干の不安もありましたが、なんか、やってくれそうという密かな期待がありました。

 そして、この映画の物語は、期待?通り、やはり一筋縄では行きません。後半を迎えるや、観客の常識をあっさり覆すような、意表をつく驚くべき展開となり、あっけに取られたまま、しかし、私のツボにすっぽり入ってラストを迎えます。
 いいじゃないですか、私は好きです。しかも、前半は、若者の成長譚ですから、物語としては王道です。
 多少、人命を軽視しても、どんなに人体を解体しようとも、しっかりした?風刺の目とグロにならない映像処理であれば、いいじゃないですか。私は応援します。

 それにしても、コリン・ファースやマイケル・ケインがよく出演したものと思います。ご苦労様でした。サミュエル・ジャクソンの方は、ほんとに好きだなあ(笑)と思います。ちなみに、監督は「キック・アス」の人であり、まあ、馬鹿(?)らしいといえばそうかということでしょうか(笑)。
 誤解のないように申し上げますが、私はこの映画大変気に入っています、念のため。なお、このブログにパンフレットの掲載がないのは、封切2日目にして売り切れとか、本当かな?

« 2015年8月 | トップページ | 2015年10月 »

2025年1月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31