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2015年7月12日 (日)

悪党に粛清を

 昨日、仕事で上京した際、新宿武蔵野館で、「悪党に粛清を」を観て来ました。この映画は、地方では公開の予定がなく、あきらめていたのですが、たまたま東京での会議の合間に時間が取れて誠に幸運でした。

Img_new さて、この映画は、デンマーク版西部劇なのです。マカロニならぬバイキング・ウエスタン(アンデルセン・ウエスタンも捨てがたい)なのです(笑)。しかも、ロケ地が南アフリカといいますから驚きます。
 もっとも、歴史的に言えば、西部開拓時代には、デンマーク人も移民としてアメリカに入ったそうですから、さほど驚くことではないかもしれません。

 主演は、007の「カジノ・ロワイヤル」の悪役で名を成したマッツ・ミケルセンです。どことなく、マカロニ・ウエスタンの代名詞であるジャンゴを演じたフロンコ・ネロの雰囲気を漂わています。
 監督は、同じくデンマーク人のクリスチャン・レヴリングという人で、昔からの西部劇ファンなのだそうです。
 「駅馬車」のジョン・フォード監督、「ウエスタン」のセルジオ・レオーネ監督、そして黒澤明がヒーローだったとか。
 そのため、パンフレットによると、劇中、62箇所、名作西部劇などへのオマージュを捧げているとか。私がわかったのは、「ウエスタン」の衣装のロングコート、「七人の侍」の豪雨の決闘、「用心棒」の床下の攻防、あとは多分、「駅馬車」のシーンなどかな。
 共演は、インディアンに舌を切られた悪女にフランス人のエヴァ・グリーン。この女優さん、最近は、「300」の続編での女殺し屋をはじめ、様々な美しい悪女役を演じていますが、私はどうも容貌的にいまいち苦手です。今回も、その魅力がよくわかりません(笑)。
 そして、脇は、悪役にアメリカ人のジェフリー・ディーン・モーガン(ウォッチメンの悪ヒーロー)やイギリス人のジョナサン・プライス(G.Iジョーの大統領役)など国際色豊かな配役で固めています。つまり、この作品は結構大作なのです。何故、全国上映しないのか、わかりません。・・くどいなあ(笑)。

 ストーリーは、マカロニの伝統芸である復讐がテーマです。主人公が故国デンマークから呼び寄せた美しい妻と10歳の子どもが、西部についた途端、駅馬車に乗り合わせたならず者に殺されるのです。この惨劇の演出が見事なのです。
 主人公の油断から子供を盾にとられ、駅馬車から突き落とされた主人公が後を必死で追いかけるのですが、その結末は、もう無残、非道としかいいようのないものです。
 もっとも、妻への暴行シーンや子供を殺す場面などは、映像では一切見せず、主人公が絶望の中で見つめる目線や、月明かりの荒野、長くのびる道などの悪夢のような情景を描き、突然、襲った人生の非情さや理不尽さを観客の感性に訴え、味わせます。もう、どんなグロテスクな死体の映像より何倍も恐ろしいものです。実際、映画を見た夜に夢に出ました。ほんとうに、怖い、見事な演出でした。

 この非道な事件から物語が始まるのです。暴力で町を支配するボス、ボスの弟の口が聞けない美女、葬儀屋をやっている(ここも黒澤?)人道派の町長、優柔不断な保安官、土地を追われる農民たち、そして、その裏にはある謀がある・・というお馴染みの設定に、各人各様の復讐のドラマが絡み合います。よくできた脚本です。これが限定的な公開とは勿体ない話です。

 もっとも、新宿武蔵野館では、観客のほとんどが、年配の方々でしたので、やはり、西部劇は、興行的に、まだまだ観客動員数が期待できないのかもしれません。今大ヒット中のCG製のアメコミ映画よりも、本格的な活劇映画だというのに、本当に残念です。未見の方は、機会があれば、是非、ご覧ください。

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» 「悪党に粛清を」 [ここなつ映画レビュー]
そうだ。悪党には粛清をしなければ。なんと素晴らしい邦題。秀逸である。しかし、原題「The SALVATION」も、観終わった後に、SALVATIONってそうね、そういう事だったのね、とじわじわくる訳だから、やはりなかなかだ。(とはいえ雑貨店の祖母&孫にとっては何の救済にもなっていないよなぁ…。)主役のジョン役のマッツ・ミケルセンの作品は主演としてはなんとこれが初見。で、日焼けが過ぎた頬の色味も現実的な、「ザ・西部劇」的なスターであった。カクイイーとか渋〜いとかそんな感じの。開拓時代、妻子を殺され復讐... [続きを読む]

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