赤い影法師
幼い頃に観た映画の断片で、題名もわかりませんが、何故か記憶に強く残っているものがあります。
例えば、時代劇でいえば、忍者たちが草原で戦っている画面の手前の木の幹に、黒い八方手裏剣が突き刺さるシーンがやけに鮮明であり、お話的には、実は敵と思っていた相手が、実の父親だったという典型的な因果話だったという東映映画がありました。
長年、映画版「隠密剣士」と誤解していましたが、発売された隠密剣士のビデオを見て、内容が全く違うことを発見し、しばらく、その正体を探していた時期がありました。
よくよく記憶を辿れば、主演は大川橋蔵で、その敵は、白装束姿の近衛十四郎でした。あとは、様々な文献をひっくり返しながら、原作が柴田錬三郎の「赤い影法師」ということまで突き止めました。
・・が、そのまま観る機会もなく、今日まで過ぎてしまいました(笑)。
先日、東映時代劇傑作DVDコレクション・シリーズで、既に絶版となっている「赤い影法師」をオークションで見つけ、中古品をゲットしました。(このシリーズは書籍扱いなので、買うのを忘れてしまうのです。)
さて、物語の設定は、木暮実千代が扮する主人公の母忍者は、実は石田三成の娘であり、主人公とともに、莫大な軍資金のありかを隠した刃紋のある刀剣を探してるのですが、その剣が寛永御前試合の勝者に与えられることとなったため、御前試合の勝者から剣先三寸を奪っていくというものです。(正直、倉に忍び込む方が簡単だと思いますが・・)
見せ場的には、講談で有名な御前試合が順次、行われていく様子をはじめ、大友柳太郎の柳生十兵衛や大河内伝次郎の柳生宗矩などの剣豪の登場や、近衛十四郎の服部半蔵との戦いなど、結構殺陣のシーンが続きます。東映にしては、よくできた迫力あるアクションです。
しかし、それより、今回驚いたのが、軍資金のありかは、刀の刃紋と母の二の腕の彫り物の絵柄と併せて、その隠し場所がわかるという設定のため、母が腕をまくってその彫り物を見せる場面のお色気にどっきりです。いやあ、脇下は時代の変化を映し出します。
加えて、女剣士が争いに敗れて、橋蔵に身を任そうとする際に、肌蹴た着物から垣間見えた肩と胸の上部の艶っぽさはどうですか。いやあ、見えそうで見えない演出にも参りました。往年のハリウッドと同じく、制約こそが演出力を高めるのかもしれません。こういうサービス精神が大事なのです(笑)。
そのほかは、浪花節的な親子の情とか、好いた男を思う女心とか、将軍の側室候補を略奪しても、将軍暗殺を企てても、故意に見逃そうとする能天気さとか、部下を全滅させられても全く歯牙にもかけない態度とか、突っ込みどころが満載の映画でした(笑)。
まあ、いいじゃないですか、これが東映時代劇映画です。寄る年波のせいか、最近、少し見方が緩んできています(笑)。
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