パイレーツ
世評も高くなく、多分立派な作品ではないだろうなあ、と思っても、どうしても見たいと思ってしまう映画がある。劇場予告編やあらすじを見る限り、「パイレーツ」が、そういう映画でした。なにしろ、女の「海賊」映画で、巨大なクジラが国璽を飲み込み、それを男の山賊が追いかけるという、もうあきれるぐらいの私のツボをついた映画です。予告編の、海洋の波の映像にも心惹かれました。
しかし、上映中のシネコン劇場では、観客動員数が伸びないためなのでしょう、既に、毎朝1回の上映に限定されていたので、やむなく、仕事を休んで劇場に足を運びました。
物語は、男が国を追われ、山賊になる冒頭を含め、もう、行き当たりばったりの内容です。腕が立つくせに、間抜けで、口が災いするゆるキャラ男と、男勝りの女海賊が主人公ですが、その部下たちの馬鹿さ加減も尋常じゃないのです。
もう、のんびりというより脱力感いっぱいというか、なんとも不可思議な雰囲気の中、完全なご都合主義でお話が進みます。
なにしろ、広大な海の中で、女海賊船、敵船、山賊の船が都合よく出会います。こんな出会いを何度となく、繰り返しながら、話はのたりのたりと進みます。
絶対絶命のシーンもなんのその、誠に都合良く、つじつま合わせる奇跡の物話なのです。
しかも、海やクジラを知らない山賊達のギャグの数々、思えば、西暦1300年頃(時代設定)の庶民はそんなものかと、自分を説得します(笑)。 しかし、この際、ストーリーや登場人物の設定は、関係ありません(笑)。フルCGで作ったという大海原や波浪の映像をお楽しみください。これもCG製のクジラ(コククジラという設定らしいが、どう見ても、ザトウクジラ?)との戦いも、「白鯨」を思いださせる暗雲の空など、見所はたくさんあります。セットや衣装などもリアルに作っています。
ということで(笑)、観終わっても、私は、やっぱり、この映画を支持します。好きな物はしかたがない。人がどう言おうと、この映画の雰囲気が好きです。ギャクでアクションシーンをつなぎ合わせた、誠に大ぼら吹きの娯楽映画です。世知辛い今の時代は、こういう楽しい能天気な活劇が必要なのです。
しかし、思えば、最近の海賊映画は、どうしても、この手の喜劇風作品になるのかねえ。昔のハリウッドの正統派海賊映画では、多分、興行的に無理なのでしょうねえ、きっと。
リドリー・スコット監督にでも、史劇の次には、この分野を開拓してもらいたいものです。
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