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2015年5月31日 (日)

チャッピー

 「第9地区」、「エリジウム」に続く、南アフリカのニール・ブロムカンプ監督のSF映画「チャッピー」は、予告編で予想したとおりの作品でした。逆に、AIをもつロボットや設定等には、既視感が強く、監督への期待からいえば、やや不満が残る出来といわざるを得ません。期待が大きかった分、厳しい見方になったのかもしれません。

Img_new もちろん、途中が退屈だったわけでもありませんし、面白くなかったわけでもありません。ただ、いろいろ些細な点で、突っ込みたくなったのは事実です。
 なにしろ、どうして、ヒュー・ジャックマンがあんな筋肉頭役で出演するのでしょう。どう見ても、技術者に見えませんし、ミスキャストです。この俳優さん、最近、何にでも出てますから、不思議でない?(笑)
 そして、監督と盟友のシャール・コプリーは、今回は、素顔を出さず、主演のロボット、チャッピーを演じています。パンフレットでは、南アの方言で、幼児からロボットを演じきった素晴らしい演技だったと賞賛されていますが、私としては、どうも、あまりに、手足の動きが人間臭く、逆にいえば、機械らしくなく、個人的には微妙に違和感がありました。

 一方、開発者役のインド系俳優デーヴ・バテルは、「マリーゴールドホテルで会いましょう」と同じく、達者な演技を見せますし、何より、チャッピーの育ての親となるチンピラ・ギャング夫婦が絶品です。この二人、実は、南アフリカの世界的に有名なミュージシャンということです。しかも、その風体や服装、役名も、実際のミュージック活動そのままの姿だということです。これには、楽屋落ち的に驚きました。

 最後に、ネタバレしますので、以下は、未見の方は、お読みいただかないようにお願います。
 人間の記憶をロボットに移植することに、悲しみや恐ろしさをまったく感じさせないラストは、なんとも大きな違和感が残りました。ロボットになって喜びながらぴょんぴょん跳ねて去るラストの姿は、絶対なんか違います。(年齢のせいで頭が固くなったか?)
 元ネタは、日本の漫画「攻殻機動隊」などのようですが、古くは、「8マン」から「ロボコップ」までロボット化された人間の悲しみを描いたSFの伝統があります。最近でも、私のご贔屓の茅田砂胡の電子書籍の短編では、機械になった人間が「顔を洗いたい、コーヒーを飲みたい。」と嘆き、自殺するお話があります。こちらの方が、随分、共感できます。
 このラストの突拍子のなさが、私の厳しい採点につながっているのかもしれません。

2015年5月23日 (土)

アニメクリエイターの選んだ至高の映画

 雑誌「映画秘宝」の別冊「アニメクリエイターの選んだ至高の映画」が、洋泉社から発売されています。中身は、日本のアニメ監督や脚本家など(まとめて、クリエイターと言うらしい。)の推薦する映画へのインタビューを集めたものです。

Img_new 正直、そのアニメクリエイターの皆さんについては、まるで知りません。そして彼らが創ったアニメ作品自体も知りません。「クレヨンしんちゃん」や「魔法少女なんとか」とおぼろげにわかる作品が、数本でしょうか。ほとんどのタイトルが、そんなアニメ、どこで公開しているの?といった状態です(笑)。
 どうやら、この別冊特集の協賛?が「オトナアニメ」という雑誌でもあるようですので、どうやら18禁の分野もあるらしい。日活ロマンポルノから新しい監督が登場してきた例もありますし、多分に素晴らしい才能の持ち主たちだと思います。

 というのも、実は、この本、なかなか面白かったのです。彼らアニメ関係者の選ぶ映画が、SF映画、戦争映画、アクション映画、そして時代劇と、まさに、私のお気に入りの分野なのです。
 皆さん、アニメの人間だけに、なかなかユニークな視点をお持ちで、誠に面白く読みました。しかも、それぞれ、かなりのオタクで、それぞれの分野の見事な博識ぶりです。
 未読の方は、是非、お読みください。
 ただし、思想的な思考はなく、感性と幼児体験の話が多いので、ご注意ください。映画秘宝的、和田誠風、映画オタク談議でした。

 もっとも、文中で、「最近は、アニメしかみないアニメファンと映画しか見ない映画ファンに分かれている」という二極分化への危機意識のコメントは面白かった。私の娘などと話していますと、誠にそのとおりと実感します。
 ただ一つ言えることは、こうした第一線で活躍中(多分?)のアニメ・クリエイターたちは、実に様々な実写映画からインスピレーションを得たり、パクッたりして、創造の源にしていることもよくわかります。

 いやあ、映画ファンだったころの和田誠(この人はイラストレーターで、ちょっと監督)の映画エッセイ以来、久々に、面白い読み物に巡り合いました。やっぱり、自分は、思索系ではなく、視覚系なのでしょうねえ、きっと。

2015年5月10日 (日)

龍三と七人の子分たち

 北野武監督の「龍三と七人の子分たち」は、老人やくざ達のコメディ映画ですが、どうにも、腹の底から笑えませんでした。

 藤竜也扮する元やくざの親分は、竜の刺青を恥じともせず、右腕の近藤正臣と、町の蕎麦屋で客の注文を当てる賭けに興じ、挙句の果ては、外れた腹いせに暴れる始末です。こんなじじいがオレオレ詐欺に引っかかっても同情もできませんし、かつてはピストルや五寸釘投げ、そして座頭市張りの仕込み杖などの凄腕だった7人の子分たちのボケぶりも、老いを見せ物にしているようで、あんまり感心しません。

 暴走族あがりの半ぐれ達のサギ商法やあこぎな取り立てなどは、ドライな今風なのでしょうが、昔のヤクザも義理と人情というほど立派か、というとそれほどの違いもないのではとと思います。どうも、ぼけ老人たちの思考も行動もほぼ似たようなレベルです。

 一般市民から見たら、どのエピソードも笑えません。カナリアの焼き鳥も、前科の点数付けも、3本指ネタも、街宣車の偽装のネタバレも、女物の下着で逃走劇も、中尾彬の死体を使ったギャグも、セスナの特攻もどきも、どれもこれも、筋書きとしては、頭では面白いはずと思うのですが、私のつまらぬモラルのせいか、北野監督の目線に共感できないのです。

  せめて、路線バスのちゃちな(ホントに路上のモノしか破壊しない貧乏ぶり!)カーチェイスより、霊柩車でビルに突っ込んでくれたら、面白かったのに・・・・。劇場に笑いに行って笑えず、不満が残った映画でした。当然、パンフレットも買いませんでした。

2015年5月 6日 (水)

大魔神の整形

 連休の期間は暇に任せて様々なことができます。
 飾り棚の隅で忘れ去られていた大魔神のフィギュアを修復することにしました。このフィギュアは、海洋堂初期のレジンキャスト製のサイズ16cm程度のものです。もう随分前に、購入し、キットを組み立てた作品ですが、レジン模型の初期の時代の製品だけに、型からの抜けが悪く、魔人の顔が生産段階の時からつぶれており、なんとも不細工な容貌になっています。以前から整形手術の必要性を感じていたのですが、なかなか時間が取れなかったのです。

Img_03301 手術の方法は、まず、問題の顔をすっかり削り取った後、別の大魔神のフィギュアの顔を型取りし、エポキシ造形パテで新たな顔を作ります。
 最近は、本当に、簡単に型取や造形ができます。熱湯で柔らかくした素材を押し付けて型を取るのです。全く便利な時代になったものです。
 多分、この年老いたフィギュアが作られた時代には、予想もしなかったことでしょう。世の中はやっぱり進歩していることを実感します(笑)。
 さて、顔と胴体のサイズが若干合いませんが、そこは剛腕に兜に顔を嵌め込みます。 

 仕上げは、サーフェイサー液で下塗りし、ラッカー塗装というお馴染みの手順です。
 しかし、大魔神を作っていつも思うのは、大魔神の顔の色です。青系のゴムの色なのですが、なかなかその色合いを出すのが難しいのです。今回も、緑色になってしまったので、やむなく、青と白の混色で色を薄め、そのうえから、エナメル塗料のクリアブルーを塗り重ねました。
 やっぱり、少し色合いが異なりますが、目の塗りがなんとかうまくはまったので、もうこれで完成です。ご覧ください。整形後の印象はいかがでしょうか。

Img_03451_2 なお、台座は、木製の杯をレジンを埋めて加工した自家製です。

 ちなみに、整形前の顔は、あまりに笑える出来なので、記録媒体には残していませんので、悪しからず(笑)。

Img_03401

リスト・ブレイド

 映画「プレデター」に登場する宇宙のハンター、プレデターの姿は、その蟹のようなユニークな容貌と、半裸のくせにハイテクの武器を装備しているせいか、あのエイリアンと匹敵する人気があります。そのため、後年、エイリアンと対決する映画まで製作されますし、第1作の公開前後から現在まで、かなりの数のフィギュアやスタチューが発売されています。

 もう随分前に、米国のトイ・メーカーのマクファーレンから、12インチ(約30cm)のフィギュアが発売されていました。現在のような精巧なつくりのフィギュアが発売され始めた初期の頃のものです。

 先日、自宅の机の向こう側に鎮座していたのを発見しましたが、残念なことに、リスト・ブレイドの刃が根元から欠けていたのです。といっても、たぶん、何のことだか、わからないと思います(笑)。

 このプレデター・シリーズの特徴は、登場する様々な姿をしたプレデター全員に呼び名が付いているようで、第1作をウォリアー、第2作目の奴はハンターと呼ぶそうです。なお、2作目のラストに出現する複数の脇役的プレデターにもそれぞれ名があるようです。驚きですナ。
Img_0281 そして、プレデターが身に装着している装備にも名称があるのです。最も有名な体を透明に見せるためのステルス装置は、光学迷彩装置(クロージング・デバイス)というそうで、肩にある光線銃(古い?)がショルダー・プラズマキャノンといいます。その右腕に装着し、2本のかぎ爪状の刃物を突き出す武器が「リスト・ブレイド」なのです。

 今回、一念発起して、その失われたかぎ爪を復活させることにしましたが、室内のどこを探しても、折れた刃の先が見つかりませんので、自作することにしました。このブログは、その手順を忘れないための備忘録ですので、興味のない方は、決して読まないようにお願いします(笑)。

Img_03001 まず、同じ12インチの模型、今回は、写真のステルス・タイプの模型のカギ爪を紙に複写します。(コピーでも、なぞり書きでも可。) そして固めの紙を複数枚重ねて、カッターで切り抜きます。
Img_03011


 さらに、その切り抜きの強度を保つため、瞬間接着剤で張り合わせ、乾いた後に、「黒い接着剤」を丹念に盛り付けます。片側ごとに乾くたびに、2~3度塗り重ね、厚みを付けます。そしてルーターで刃のくびれ部分に凹凸を付けます。Img_0325

 最後にサーフェイ-サーで下塗りをし、ラッカー塗料のシルバーをエアブラシで吹きます。必要に応じて、その上からエナメル塗料で整えます。

こうして自作した刃を折れた箇所にくっつけます。この際、テープで下から支え、等間隔にするため、楊枝で2本の刃を固定します。・・・これで、遠目でみれば、リスト・ブレイドが完成です。いやあ、こんな小物は疲れます(笑)。

Img_03111 

 では、写真で、完成した右手首の部分をご覧ください。あくまで遠目からです(笑)。

2015年5月 5日 (火)

シンデレラ

 ディズニーの最新作「シンデレラ」というのは、まさしく、アニメの名作「シンデレラ」をそのまんま実写化した映画でした。
 お伽噺のアニメから現実の世界に抜け出した「魔法に魅せられて」やディズニーアニメの大傑作「眠れる森の美女」を悪の女王の目線から描いた「マレフィセント」などのように、これまでの、王子がお姫様を救うという黄金のラブストーリーに新たな世界を描きだすという革命を生み出してきたディズニーなのですが、今回は、何のひねりもありません。
 まさに、王道のお伽話なのです。

Img_new_2 シンデレラは、絵に描いたような優等生であり、アニメと同じくCGのネズミも擬人化されています。王子も結婚に反対していた王様も、シンデレラの「勇気と愛」の一言に一目ぼれです。
 しかも、ケイト・ブランシェット扮する継母も意地悪なのですが、どこか緩いムードです。シンデレラを下女として酷使している状況ものんびりしています(笑)。そのうえ、この継母、王子の政略結婚のためにシンデレラが邪魔な大公と組んでも、殺そうまではしないのです。いまの世相の目線から見ると、どうも中途半端、というより、詰めがなっていない(笑)。いまや、保険金がほしけりゃ、実の子供でも殺す時代ですよ、甘いぞ、継母(あれ、この人、名前がない?)。

 もっとも、さすがに王道のストーリーだけあって、退屈はせず、鑑賞中は面白く見ました。信じられないような幸せな家庭、フェアリー・ゴッドマザー(妖精の女王)の登場、カボチャの馬車、幸せな王国など、まさに、すべてが現実には存在しない魔法の国ですなあ。2Dの線書きのアニメだから成り立つ世界とも思えます。3Dのアニメだと、はや違和感を感じるかもしれません。
 監督は、ケネス・プランナーですが、この人、シェークスピア俳優らしいですが、アメコミの実写化など本当に好きですねえ(笑)。

  この映画の一番の見せ場は、やはりお城の舞踏会ですねえ。実写の凄さをまざまざと見せます。アニメと同じ青いドレスのシンデレラが王子と踊るシーンは、素晴らしい。周囲の女性たちのドレスの色の配色などは、さすがです。美術も豪華で見事です。視覚的に単純に感動します。シンデレラ役の女優さんもこの辺でやっと見直しました。

 まあ、退屈はしませんでしたので、時間があればご覧ください。併映の「アナと雪の女王」の短編はコメントすらもいたしません。「シンデレラ」の興行不安への補強策なのでしょうか。多分、何の助けにもならないと思いました。

 

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