ジュピター
映画「マトリックス」の監督ウォシャウスキー兄弟が姉妹になって、16年ぶりの完全オリジナリーストーリーのスペース・オペラという「ジュピター」には大いに期待をしていました。予告編でも、目のくらむような映像がド派手なアクションとともに花火のように打ち上げられています。
しかし、鑑賞後も、いや、鑑賞中も、いまひとつ心に残りませんでした。ともかく、大げさな音楽、昆虫の様な宇宙船やゴシック調の宇宙都市のデザイン、年寄りの動体視力の限界を超える宇宙船のカー・チェイスなど、もうあっけにとられるCG世界の出来事でした。
ストーリーは、結局、マトリックスの宇宙版であり、王家の兄弟争いや親殺し、身分違いの恋など、やけに古臭い、手垢のついたギリシャ悲劇のようでもあるし、それ以上に、設定の架空の世界の社会構造の説明が不十分で、王家や宇宙連邦の関係がわかりません。
なにより、家畜である地球人に生まれ変わった宇宙の女王役を演じる、ウクライナ出身の主演の女優さんが、まったく好みではないのが、もう致命的でした。シンデレラのような、掃除婦役と女王役の変身ギャップが、少しも感じられません。そのため、全く共感できないのです。
そして、その女王と道ならぬ恋におちる傭兵役のヒーローも、「ホワイトハウス・ダウン」のチャニング・テイタムが頑張りますが、かなり詰め込んだアクションを単純に繰り返すだけで、全然、話が盛り上がりません。第一、どうして恋に落ちるのかが、よくわかりません。まあ、恋は突然炎のごとく、といえばそれまでですが・・。
唯一、敵役のエディ・レッドメインの演技に新鮮さを感じていたら、実は、「博士と彼女のセオリー」でスティーブン・ホーキング博士を演じ、アカデミー賞を獲った俳優さんとのこと。やはり、旬の人はオーラがあります。
さて、結局、この映画の評価は、話も映像も詰め込みすぎたせいか、まだこの後も話が続くのかと鑑賞中に感じたこともあって、正直、採点に困っています。
根が好きなSF・ファンタジー映画の分野ですので、ここはひとつ、再度DVDを観たうえで、じっくり結論を出すことにしましょう(笑)。
最近のコメント