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2015年2月 1日 (日)

エクソダス

 リドリー・スコット監督の最新作「エクソダス 神と王」は、さすがに圧倒的なビジュアルで古代エジプトの世界を造り上げています。冒頭の俯瞰シーンから、そのスケールの大きさと精密なリアルさに感動します。しかも、CGで作り上げた巨大な古代エジプトの都の場面よりも、ロケ撮影したと思われる荒涼とした大地の風景が、人間が生きるにはあまりにも厳しすぎる自然の姿を浮き彫りにし、人が神を求める原風景としてしっかり映像化されているセンスには感心します。
 ちなみに、ロケ地は、スペインのシエラ・マドレ山脈の裏のアルハミラの砂漠地帯だそうです。また、アフリカ沖のカナリー諸島のフエルテヴィントゥラ島で、紅海を渡る海岸や奴隷の町を撮影したそうです。正直、どこにあるか、地理はさっぱりわかりませんが、世界には様々な見たこともない奇景が存在しています。こういうところが、巨大資本のハリウッドの底力でしょうねえ。昔は、007で世界の有名リゾート地を紹介し、いまや、SF・ファンタジーやら史劇で未知の地を紹介してくれます。映画の醍醐味の一つでしょうねえ。 

Img_new さて、映画の内容は、エクソダスという題名のとおり、旧約聖書にある、ヘブライ人(古代イスラエル人)の出エジプトのお話です。簡単に言えば、「十戒」の再映画化といっていいでしょう。
 1956年製作のチャートン・ヘストン主演、セシル・B・デミル監督の「十戒」は、堂々たる通俗版聖書物語であり、ヘストン扮する救世主モーゼの姿は、まさに旧約聖書そのものの完璧なイメージです。
 当然、監督がデミルですから、エジプト姫との恋のさや当てや莫大な資金を投じたスペクタクルシーンが盛りだくさんです。しかも、当時は、CG技術も全くないのですから、セットも壮大で合成も大胆です。とりわけ、神が見せる奇跡の数々、特に、紅海が真っ二つに割れるシーンでは、その杖を持つ白髪のモーゼの姿、背景の空や海の合成は、ルネッサンスの名匠の絵画のようにも見えます。その迫力には、特殊撮影技術の拙さなど微塵も関係ありません。
 この史劇の記念碑的な映画に挑戦するのですから、リドリー・スコットも大したものです。 

 この新「十戒」では、最新のCG技術を活用したスペクタクルや豪華なセットが大きな見所ですが、今回は、モーゼを普通の人間のように描いており、神の山で転倒し、頭を打ったせいで、神の姿を見、声を聞き、神と対話しているように描かれてます。
 一見、幻覚とも受け取れるようなショットもあります。
 また、神の起こす奇跡については、デミル作品ではカットされた、蛙、虻、蝗などの疫災もしっかり描きます。ただ、いずれも、見方によっては自然現象のように感じられるようになっています。その分、いくら虫の大群などをリアルに描いても、デミルの奇跡のハッタリには及ばない感がします。デミル版の疫病の死の霧はいまでも恐ろしい(笑)。 

 結論としては、長い上映時間をものともせず、一気に観客に見せ切った作品です。リアルで面白いリドリー版聖書物語でした。
 ただ、やっぱりというか、日本人なので、欧米の宗教観、キリスト教観には、どうしても違和感を覚えるのです。あちらの神は本当に厳しいと思うのです。
 もっとも、モーゼが神との対話の中で、何故400年も奴隷のまま放置したのか、神の怒りのあまりの無慈悲さに抗議するなどは、きっと今風なのでしょうね。特に、モーゼが神と話しながら、自分の守れる条項だけを石に十戒の文句を刻んでいくシーンに思わず笑ったと言うのは不敬なのでしょうかな(笑)。
 もっとも、同じ旧約聖書のお話でも「ノア」よりは、ずっと楽しめました。皆さん、気楽にご覧になってください。

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