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2014年7月29日 (火)

夏の怪談

 昔は、夏になると、納涼のための怪談映画がよく上映されていました。思えば、最近は、テレビ映画でもあまり見かけませんな。
 どうやら、都市部を中心にお盆の習慣が廃れてきたせいでしょうか、それとも、もう怪談などというソフトな物語では、昨今のハードな現実事には太刀打ちできないのでしょうか。あるいは、納涼という季節感のある生活様式自体がエアコンに追放されたせいかもしれません。寂しい気もしますなあ。

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 というような感慨に至ったのも、先日、大映から懐かしい納涼映画が2本、DVDで発売されたからです。
 一つは、古典的な怪談話をリアルに映画化した山本薩夫監督の「牡丹灯籠」。そして、もう一つが雪女伝説を美しくまとめた藤村志保主演の「雪女郎」です。いずれも、何故か、これまでDVD化がされていなかった作品です。
 まだ、香港映画で有名になった吊りの技術も知られていない時代に、空に浮かぶ赤座美代子の動きの見事さ、コンタクトレンズも一般的でない時代の雪女の金色の目、衝撃でした。大映の技術力の高さを証明しております。未見の方は、是非、一度ご覧ください。

2 これに、最も有名な四谷怪談を要領よくあっさりと描いた佐藤慶主演の「お岩の亡霊」を加えたのが、私のお気に入りの大映時代劇の三大怪談です。もう、大映美術の耽美的な妖しさが見ものです。逆にいうと、怪談映画としては、あんまりグロテスクでもなく、怖くもありませんので、安心してご覧ください(笑)。 
 このあたりの作品が私の限界かもしれません。巷で名作といわれる天知茂主演の「東海道四谷怪談」も嫌悪感が先に立って駄目ですし、最近はやりの現代劇のホラー映画などは、全く生理的に受け付けません。DVDを保有するのもとんでもない話です。幼い頃の映画「地獄」の看板のトラウマが、いまだに尾を引いているのかもしれません。

2014年7月26日 (土)

GODZILLA

 世界から2ケ月遅れで公開された映画「GODZILLA」を封切り初日、字幕版初回上映で観て来ました。平日の金曜日9時20分からですから、当然、午前中の仕事を休んで劇場に足を運びました。正直、映画を見てから、仕事に行ったのは初めてです。本当に、誰の影響なのでしょう、困ったものです。(笑)。

2014 さて、映画の出来ですが、冒頭の中世の怪物の絵から始めるのもうまいし、水爆の実験もなかなか感心します。文句はありません。

 コンセプトは、多分、東宝さんに遠慮して誰も言わないでしょうが、大映の平成ガメラの第一作を元ネタにしています、絶対。ガメラとギャオスの設定など、そのままではないですか。古代文明と自然の摂理という違いはありますが、なにより、ムートー(MUTO)がギャオスにそっくりです。ちなみに、ムートーとは、Massive Unidentified Terrestrial Organism (未確認巨大陸生生命体)の略だそうです。別に、ギャレス監督が日本のプロレスラーの武藤のファンだった、ということではないようです(笑)。
 また、この怪獣のデザインと設定が素晴らしい。8本足ということはクモ類なのかもしれませんが、メスとオスが存在して、オスは飛ぶことができるのはアリのようですし、ゴジラも含めて放射能が主食という理由が、放射線の強い古代ペルム紀時代の生物だからというのも、微笑ましいじゃないですか。電磁パルスを発してあらゆる電子機器を狂わすという能力もいいじゃないですか。目くじらを立てることはありません。

 映像は、もう素晴らしいの連続です。まさに、21世紀の怪獣映画です。フルCGの見事な映像です。ゴジラの背中やしっぽなど、その巨大感はどうですか。そして、次々とジェット戦闘機がコマのように海面に落下するシーンなどは、何度見ても鳥肌が立ちます。これが特撮映画です。もう二度と、日本では作れないでしょう。ゴジラは、いわば大リーガーになってしまいました。日本で再びプレーすることはないでしょう。ゴジラは、60周年を機に世界のステージに立ったのです。日本の映画界の象徴のようで少し悲しいですねえ。 

 ストーリーも、ある親子の二世代にわたる目線で描かれており、よくぞ、ここまでうまく怪獣とつないだと褒めたくなります。いわば、戦争物なのに、一兵士の話と戦線全体の流れをうまくまとめています。戦争映画の手本のような筋書きです。
 しかも、落盤事故、原発事故、津波(原因不明)など、災害シーンのてんこ盛りです。

 一つだけ残念だったのは、ゴジラの足です。あれは象の足です。体がメタボ的でも、顔がクマかシェパードに似ているのは、東宝来の伝統ですので、気にはなりませんが、一寸、あの象足だけに違和感があります。二足歩行には向きません。
 ついでに言えば、ここ一番で放射能を吐くのは、劇的で良いじゃないですか。最後のアレも私は断然支持します。

 思えば、この映画が東宝怪獣映画の進化版であり、「パシフィック・リム」は、テレビ映画「ウルトラマン」の進化形だったのですねえ。なんとなく自分なりに納得しました。

2014年7月20日 (日)

ダイバージェント

 「博学」や「高潔」などの5つの派閥に完全管理化された近未来の社会を描くSF映画で、女主人公がいずれの派閥にも属さない異端者(ダイバージェント)と診断されたため、敢然と支配層に立ち向かう、異端者にふさわしい超人的なレジスタンスのストーリーと勝手に思っていました。

Photo_2 ところが、予想は、やや外れ、このお話は、どうやらシリーズ開始のための序奏だったようです。何も取りえのなさそうな、政権を担当する「無欲」エリアの娘が、生涯一度の選択の儀式において、全く正反対の軍事・警察を担う「勇敢」という派閥を選んだことから、映画は、延々と過酷で陰湿な軍事訓練を描きます。

 近未来とは思えない、昔ながらの軍隊の訓練です。意地悪な教官、足を引っ張る仲間などにいじめられる中、気になる上官がしっかり助けてくれるという、まさにワンパターンの新兵物語と言ってもよい内容です。
 SF的だったのは、恐怖への耐性を調べる心理テストでの映像でしょうか。
 予想と全く違い、話がなんか変だなあと思いつつ、延々と観ていましたら、やっと終盤、ほとんど映画が終わったと感じるころ、主人公の異端者という正体が暴露され、何もせぬまま捕まって、あわや銃殺か、と思わせて、そこから反撃。あっという間に逆転です。
 以下、ネタバレ若干あります。

 しかし、結果としては、大事な人たちは殺され、一方、チャンスがあったにもかかわらず、支配者は殺さず、その自分自身は荒野の果てに逃亡です。全編150分もあったのに、期待の攻防はラストのわずか何分か、でしょうか。もう付け足しと言っていい尺でした。
 つまり、この映画は、今後のシリーズ化のために、ダサくひ弱な娘が訓練を乗り越え、一人前の兵士に成長するための過程を描いた映画だったのです。いわば、誕生編ですか?

 しかしながら、そんなにうまく続編が製作されるのでしょうか?興行の世界に次はないといいます。全体的に、ハンガーゲームの二番煎じというイメージですし、主人公の女優さんに今一つキレが感じられません。ボテッとした体型の田舎のお姉さんという印象(失礼!多分に役柄の設定のせいなのでしょう。)です。それより、何倍も印象に残ったのが、母親役のアシュレイ・ジャッドです。その真の姿を明かした時のかっこよさ、・・・無念。 

 余談ながら、購入した上記のパンフレットに掲載されている写真の画質がべらぼうに良いのです。印刷ではなく、もう生写真を載せているようです。ひょっとしたら、印刷技術の革新によって、パンフレットの世界が変わるのでしょうか。これは近い将来というより一刻も早い普及を期待したいものです。

2014年7月19日 (土)

マレフィセント

 ディズニー映画「マレフィセント」は、お伽噺の名作アニメ「眠れる森の美女」の実写版、しかも、恐ろしい魔女マレフィセントの視点から描いた、裏読み物語です。主演のアンジェリーナ・ジョリーのアニメさながらの衣装をまとい、頬骨を強調した姿に当てられて、少し敬遠しておりました(笑)。

Photo_2 内容は、やはり想定内の物語ですが、それでも、アンジェリーナ・ジョリーの迫力には圧倒されます。
 感心したのは、アニメと違って善玉の3人の妖精の育児放棄ぶりはなんか納得しますし、またも「真実の愛」の口づけは、「アナと雪の女王」に続いての新解釈です。どうやら、最近は、男女の愛は全く信用されていないようです(笑)。
 しかし、何より、魔女とオーロラ姫との関係がうまい。この設定を思いついたから、このストーリーが成り立ったのですねえ。アイディアの勝利です。
 加えて、カラスの「ディアヴァル」は、アニメと異なり、なかなか儲け役ですねえ。でも、あちらの悪役の名前は本当に覚えにくいし、言いにくいなあ(笑)。

 一方、ビジュアル的には、妖精の国の美術があいかわらずのマンネリ・ディズー製です。興行的に失敗した映画の枠を抜け出せておりません。
 多数登場する妖精たちもリアル感がありません。アニメ映画「白雪姫」の7人の小人たちをCG化しても仕方ないことですし、全景には遠近法を使ってほしいものです。
 この映画、ひとえに、ジョリーの眼力、力技、迫力で見せた映画でした。
 ついでに言えば、子供時代の妖精の扮装は、野性味と粗野な感じが意外に好きでした。

 そしてもうひとつ、クライマックスに登場するドラゴンの造形が素晴らしい。あの「ドラゴンスレイヤー」に登場するドラゴン「ヴァーミスラックス」がフルCGで登場です。同じディズニー映画ですから版権は問題ないでしょうし、なんともドラゴンファンにはうれしいサービスです。「ホビット」も見習ってほしかったなあ。

 でも、やっぱり、私としては、アニメ映画のオーロラ姫が好きです。幼い頃からの大ファンなのです。できたら、実写化に際しては、魔女と同じく、姫の方も、アニメと似た雰囲気のある女優さんにしてほしかった。それは現実的に無理かな?

2014年7月16日 (水)

スマウグ

Photo_3 「ホビット 竜に奪われた王国」のDVDが発売されました。早速、購入して、この物語の諸悪の根源であるドラゴン「スマウグ」の姿を再確認しました。劇場の大きなスクリーンでの初見では、そのドラゴンのデザインには感心しなかったので、その記憶が間違いないか、念のために、じっくり眺めてみようと思ったのです。
 ところが、家庭の小さな画面(32インチ)でみると、ドラゴンの登場のはるか手前、もう幕開け時点から、ホビット世界の映像が、いかにもCGっぽく、やたら安っぽく見えるのです。劇場で観た時に受けた精緻な印象とのギャップが随分感じられます。
 これは、DVDを愛する者としては、かなりショックです。大スクリーンでは、どうしても観客の視線がその一部分しか見ていないせいかもしれませんが、小さな画面では、逆に、全体が見渡せ、人工的な作り物のような粗が見えるのです。これは、単に家庭用の映像装置のせいではないと思いますし、結局は、映画はやっぱり劇場で観るべし、ということかもしれません。(ちなみに、上の写真は、日本版の特殊撮影技術の解説映画雑誌です。) 

 さて、本題のドラゴン「スマウグ」は、やっぱり不細工なデザインでした。顔が必要以上にでかいのです。いや、エラの棘でそう見えるのです。その上、長過ぎる首が蛇のように動き回りすぎです。首長竜や雷竜などの首は曲がりませんし、鶴のような首の長い鳥類も、もっと優雅な動きです。
 いくら、想像上のドラゴンとはいえ、ろくろ首のような不自然な曲がり方のうえ、への字に曲がった受け口で人語をしゃべるのは、どうもいただけません。
 そういえば、映画「キングコング」の肉食恐竜のデザインもやっぱり恰好がよくありませんでした。どうやら、ピーター・ジャクソン監督の描く人間型以外の脊椎動物とは相性が悪いようです。

Photo ちなみに、このドラゴン制作中のデザインを集めた洋書が発売されています。本の題名も、ずばり、竜の名前である「スマウグ」です。中身を見ると、当初は、どうやら四本足に、背中から羽が生えている西洋のドラゴンという姿だったようですが、ホビットと話をするシーンのために、現在のような手が羽になっている翼竜タイプになったようです。
 この本を見ると、決定稿までには、様々なデッサンが多数描かれていることがわかって、なんとも愉しい気分になるのですが、アメリカでは、こういう映画の制作の過程、それも、登場するクリーチャーに限定した本が出版されることが羨ましくも妬ましいことです。本当に、アメリカ人の映画好き、モンスター好きには頭が下がります(笑)。

2014年7月 6日 (日)

ゴジラ1954

 7月25日のハリウッド映画「GODZILLAゴジラ」の公開に向けて、ゴジラ宣伝攻勢が強まってきているようです。
 TOHO劇場では、初代の「ゴジラ」を60周年記念デジタルマスター版と冠して劇場公開するし、場内の売場で初代ゴジラのグッズを販売しています。ちなみに、大スクリーンでの映画は、当時の特撮技術の粗が拡大され、夢が壊れることを恐れて、結局観ずに終わりましたが、グッズはしっかり買いました。というのも、当時のパンブレットが復元されていたのです。パンフ・コレクターとしては買うほかはありません。
 以前に、「ゴジラ1954」という初代ゴジラ映画だけにこだわり、様々な宣伝材料などを網羅した大型本が発売された時も、このパンフに関しては、表紙の写真の掲載だけで復刻版は付録についていなかったと記憶していますから、多分、パンフレット復刻は今回が初めてではないでしょうか。(間違っていたら御免なさい。) 

Photo左が、今回見つけたゴジラ関連グッズです。チラシやら、なにやら数種類復刻しています。定価1620
円でした。
Photo_2
右が、記念すべき初代ゴジラの復刻パンフレットです。驚くのは、ゴジラが手に持つ女性です。
 どう見ても、縮尺があいませんし、こんなシーンは、劇中何処にもありません。

これは、多分に、初代「キングコング」を観客にイメージさせるようにした苦肉の策ではないでしょうか。

 当時は、ゲテモノ映画扱いで、製作陣も当たるか、どうか不安だったんでしょう。60年たって、アメリカで、堂々たる続編(?)が作られ大ヒットを飛ばすとは信じられないことでしょうね、きっと。

Photo_3 ところで、ゴジラ便乗商法も盛んです。別冊宝島なんかは、日本のゴジラシリーズの解説版を発売していますが、新作ゴジラのことはギャレス監督のインタビューだけというお粗末さですし、公式オフィシャルブックと銘打った本は、映画に登場する新怪獣のことを「ムートー」という名だけを書いただけで、一枚の写真もない誠にフザケた内容でした。許されないことだと思いますが、まあ、日本読みが分かっただけが救いでしょうか。

 さらに、わかっていたことですが、以前、このブログで書いたゴジラの洋書が翻訳されることが決定したようです。なんか、悲しいなあ(笑)。

 それにしても、こうした便乗商法や劇場でゴジラが吠える同じ予告編を何度も見ていると、逆にすっかり飽きてしまい、冷めたような気がしてきたのも事実です。海外のゴジラブームも終息しつつあるなかで、世界の潮流を無視して、自分の国だけのこれまでの慣習に基づくガラパゴス的発想では、ヒットは見込めないのではないか、そんな気がします。昔とは、時間の感覚も違いますし、世界はすっかり狭くなっているのです。
 これが、単に杞憂に終わればよろしいのですが、・・・。

2014年7月 5日 (土)

ラストミッション

 久しぶりの主演となったケビン・コスナーの「ラストミッション」を観ました。この映画は、レビューの評価や興行成績もあんまり良くはないのですが、なんとなく私の好みに合いそうな予感がありました。

Photo そして、その勘は当たりました。やっぱり面白いぢゃないか。なんか、ほのぼのした雰囲気とコミカルな味付けによるホームドラマ活劇です。私、こういうような安心して眺めることができる活劇が大好きなのです。
 今回は、脚本のリック・ベッソン特有の残酷趣味も薄味ですし、敵も間抜けですし、本当に、今時、珍しいほんわかムードの映画です。逆に、このあたりが、若い人たちには、物足りないかもしれません。 

 ストーリーは、難病による死期を宣告された凄腕のCIAのエージェント、イーサンが、長年別れていた妻や娘に救いを求め、人生最後の時期を静かに暮らそうとする中、CIAから特効薬の試薬を餌に、国際武器業者の暗殺を依頼されため、わがまま勝手な娘に翻弄されながら、そのデートの隙間を縫って使命を果たしていくというフザケたものですが、その筋書きと関係ない随所に散りばめられたエピソードがなんとも笑わせてくれます。
 例えば、自宅のアパートに帰ってみると、黒人の大家族が不法占拠しているとか、娘の電話の大音量の呼び出し音とか、ボスの居場所を白状させるために捕えた手下とのバカバカしいやりとり、主人公の背広の調達方法などがもう絶品です。ともかく、肩の力を抜いて、安心して笑いましょう。 

 そして、もうひとつの見所が、ヴィヴィという名のCIA長官直属でイーサンの女上司です。役柄である凄腕のエージェントには全然見えないし、イーサンを誘惑、翻弄する行動も今一つ理解不能ですが、久々に登場した美形という名に恥じない女優さんです。いまや、アンジェリーナ・ジョリーなどが美人女優ナンバーワンといわれる個性派の時代です。なんとも、今時に似つかわしくない、西洋彫刻風の整った美形です。こういうタイプの人が私は好きなのです。女優さんの名前は、アンバー・ハードという名ですので、しっかり覚えて、これからも応援をしましょう。
 結局は、私の映画の評価は、女優さんの好みにかなり左右されているのかもしれません(笑)。  
 

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