夏の怪談
昔は、夏になると、納涼のための怪談映画がよく上映されていました。思えば、最近は、テレビ映画でもあまり見かけませんな。
どうやら、都市部を中心にお盆の習慣が廃れてきたせいでしょうか、それとも、もう怪談などというソフトな物語では、昨今のハードな現実事には太刀打ちできないのでしょうか。あるいは、納涼という季節感のある生活様式自体がエアコンに追放されたせいかもしれません。寂しい気もしますなあ。
というような感慨に至ったのも、先日、大映から懐かしい納涼映画が2本、DVDで発売されたからです。
一つは、古典的な怪談話をリアルに映画化した山本薩夫監督の「牡丹灯籠」。そして、もう一つが雪女伝説を美しくまとめた藤村志保主演の「雪女郎」です。いずれも、何故か、これまでDVD化がされていなかった作品です。
まだ、香港映画で有名になった吊りの技術も知られていない時代に、空に浮かぶ赤座美代子の動きの見事さ、コンタクトレンズも一般的でない時代の雪女の金色の目、衝撃でした。大映の技術力の高さを証明しております。未見の方は、是非、一度ご覧ください。
これに、最も有名な四谷怪談を要領よくあっさりと描いた佐藤慶主演の「お岩の亡霊」を加えたのが、私のお気に入りの大映時代劇の三大怪談です。もう、大映美術の耽美的な妖しさが見ものです。逆にいうと、怪談映画としては、あんまりグロテスクでもなく、怖くもありませんので、安心してご覧ください(笑)。
このあたりの作品が私の限界かもしれません。巷で名作といわれる天知茂主演の「東海道四谷怪談」も嫌悪感が先に立って駄目ですし、最近はやりの現代劇のホラー映画などは、全く生理的に受け付けません。DVDを保有するのもとんでもない話です。幼い頃の映画「地獄」の看板のトラウマが、いまだに尾を引いているのかもしれません。
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