先日、まだ見ぬGODZILLAゴジラに敬意を表し、節を曲げて注文しましたDVD「モンスターズ 地球外生命体」が届きました。以前のブログ(2011.10.28)では、登場するモンスターのデザインが好みに合わず、「まあ、レンタル視聴で十分・・」と斬って捨てています。 今回改めて再見しましても、既に筋書きの展開を承知している中では、「まあ、こういう映画でした・・」と、さほどの感慨はありませんでした。
ところが、DVDの特典として「秘蔵映像:モンスターズの作り方」というメイキング映像がありまして、このメイキングがなんとも超傑作なのです。
映画製作に興味がある人はぜひご覧下さい。本当に面白い、それだけの見どころ、価値のあるメイキング作品になっています。本編より数倍面白い。
ともかく、結果としても総額1万5千ドルで上等のハリウッド映画が作ることができることを証明したのですから、真に驚きです。監督のギャレス・エドワーズの底知れぬ才能と何とも大らかでタフな精神に脱帽です。ともかく、最大級の賛辞をささげたいと思います。
少し内容を紹介します。というか、こんな映画の作り方があったんだという驚きなのです。
まず、2人のハリウッド製作者が登場します。彼らがギャレス・エドワードを発掘したのです。あちらには、48時間映画コンテストというのがあって、与えられたテーマで、実質2日間の製作日数で映画を作って競うという催しだそうです。むこうは面白いねえ、こんな新しい才能を見出すさまざまな機会があるのですから、羨ましい。
その出品作品の出来に魅せられたようです。特にCGを安く作る能力に感心したといいます。その最初の出会いの場で、ギャレス監督が提案した今回のアイディアが採用され、とんとん拍子に製作が開始されたのです。ギャレス本人が一番信じられなかったと述懐します。
さて、その映画の作り方の中身ですが、まず、男女二人がとんでもない体験をして歩いてうちに帰るというのがテーマだそうで、そのため、舞台はアメリカの地続きのカナダか、中南米か、ということでメキシコに決まったそうです。
さらに、男女の俳優は、私生活でもパートナーが良いという理由から、婚約中だった主演の二人に決まったそうです。この二人も、撮影に際しては、彼らの自宅で1週間ソファの泊まり込みを通じて監督の人となりを見たということですから、なかなか念が入っています。応じる監督も腹が太い。
そして、メキシコ各地を巡る6週間のロケに出発です。終始、ギャレス監督自身の解説と撮影で進みますが、なんとも監督のユーモアある話しぶりが面白い。例えば、「映画は、メイキングを作るために製作するんだ。」と笑い、コッポラの黙示録やドン・キホーテ映画を例に出します。
さらに驚くのが、撮影スタッフは俳優2名と監督を除いて、進行役の何でも屋1名、録音の1名、編集の1名、計3名なのです。しかも、カメラマンは、監督が兼務なのです。カメラも、ビデオカメラを改造した肩のせタイプです。
現場での撮影は、監督の気入ったところは、なんでも撮っておこう、そして次々と筋書きも変わります。簡単な監督の説明で、二人の主演の即興的な演技、さらに驚くのが、現地人の出演者は、すべて10分前に出会った素人さんということです。消防士も警察も本物です。現地警察の警備をそのまま撮っています。あの切符売り場の因業おやじの名演は、なんと向かいの食堂のおっさんだそうです。もう、とんでもありません。風景も、普通の立て看板などの映像を手あたり次第撮っておいて、それが、CGで、汚染区域の危険標識にスゲ変わります。誰かが言いました「即興にこそ、真実がある」と・・勝新だっけ?
このように、ストーリーと映像は、監督の頭の中だけでくるくる変化し、現地の風土と化学反応して窯変します。さらに、毎日撮った映像は、そのまま、ホテルの一室で、ありあわせの机や引き出しを利用した台の編集マシンで、ベッドを椅子代わりにした編集マンがどんどん編集します。
6週間という過酷でハードなロケです。主演の女優さんも、どんどん汚れていきます。化粧水は虫が寄って来るそうです。ご苦労様です。スタッフも疲れが見える様子ですが、そんな中でも、監督さんは元気いっぱいです。本当にタフですねえ。もっとも、こうでなければ成功は掴めないのでしょう。立派です。今後とも、この監督さんは、敬意をこめて、ひいきにしましょう。
やっぱり、メイキングは面白いなあ。これだから、特典付きのDVDの購入は止められません。
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