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2013年11月10日 (日)

清須会議

Img  映画「清須会議」を観て来ました。個人的な事情を言えば、この映画は、TOHOシネママイレージカードのマイルを交換して得た1ケ月フリーパスポートを利用した、最初の記念すべき1作です。現金なもので、おかげで純粋に気楽に楽しめました(笑)。まさに、無料で試写会に招待されて喜ぶ三流映画評論家(?)の心境です。

 冗談はさておき、まず、織田信長が倒れた後の天下人を決めたという歴史上、大変有名な評定を映画化しようとしたこと自体、監督の三谷幸喜の慧眼です。もっとも、映画製作の前に原作小説を書いていたそうですから、「のぼうの城」にも似て、時代劇へのなみなみならぬ思いを感じます。
 出来上がった映画は、なにより、大泉洋が扮した羽柴秀吉の造型が抜群です。禿げかかった髪を束ねた極細の髷、秀吉らしい派手な豪華な衣装、したたかで飄々とした演技などは、過去、名優達が演じたどの秀吉像よりも素晴らしい。
 総じて、この製作陣は、というより三谷監督が、ということでしょうが、登場人物の髷や衣装、そして特殊メイクを駆使した顔づくりに力を入れています。伝統的な歌舞伎を安易に模した誇張した髷や羽二重を廃し、それぞれの人物像に合わせたメイクを行っています。  

 かつて、黒澤明が「七人の侍」など時代劇を撮るとき、古い映画界の悪しき風習を嫌って、史実に即した髷や衣装を作り出していました。こうした黒澤時代劇の製作裏話を、当然、三谷監督は承知していたでしょうから、その巨匠の思いを見事に引き継ぎ、再現しています。どの武将も見事に広い額を出しており、明智光秀にいたっては、特殊メイクで金柑頭を再現しています。もっとも、織田信長の子らも、いずれも高い鼻梁をつけているのです。あの旧来のカツラと継ぎ目のある額などはありません。しっかりしたメイクを行っています。
 また、衣装も人物設定に沿ってそれぞれ色分けをして、丁寧な造りになっています。もっとも、黒澤明の娘、和子さんの仕事ですから納得です。
 さらに、セットも実に丁寧に作られています。どっしりとした柱や床の美しさなどまことに立派です。こうした製作態度を見るだけでも一見の価値があります。

 さて、筋書きは、いつもの三谷喜劇(現代劇)とは少し雰囲気が異なり、時代劇らしく、風格のある喜劇になっています。小刻みのギャグの連打より、三谷流に味付けした人物がもつ行動や所作の面白さに焦点を当てています。
 役所広司が扮した柴田勝家の天真爛漫ぶり、ほとんど武勇だけで、権力よりお市様大事の行動、自分勝手な思い込みのラッキョウやサザエのエピソードは、誠にほほえましく、大いに笑えます。
 とりわけ妻夫木聡の馬鹿殿ぶりも傑作です。旗取り競争もそうですが、それより、何気ない現代調の台詞が大いに笑わせます。さらに、佐藤浩市の優柔不断な武将の言動は、いつもながら、うまいの一言です、という風に、それぞれの登場人物が、いずれも現在社会に通じる人間の面白さ、おかしさをうまく演じています。より知的なお笑いを提供してくれます。

 最後に、三谷幸喜の映画作品としては、前作に続いて、ますます快調な出来となっています。(それ以前の作品は、どうも映画的な喜びが乏しい気がします。)
 元来、三谷監督の作風は温故知新であり、ハリウッド喜劇のオマージュが多いようですが、時代劇の製作に当たっては、多分、殺陣はないものの、黒澤明への畏敬を踏まえたものと思え、そして、今回、新しい三谷喜劇が誕生したのです。・・褒めすぎかな?しかし、きちんとした日本映画は、捨てたものじゃない・・と思います。
 ともかく、 未見の方は是非ご覧ください。お勧めです。

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