パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々 魔の海
「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々 魔の海」は、ギリシャ神話をモチーフに、現代のアメリカで、ポセイドンと人間の混血(ハーフ)が活躍するというファンタジーです。この作品は、シリーズ物の第2作目に当たります。
続編が出来たと言うことは、第1作がそこそこヒットしたのでしょう。私も、1作目に登場するユマ・サーマンが扮した現代のメドューサがお気に入りでした。石屋を経営しているという設定も笑えますが、それより、最新のモードを着こなしながら、無数の蛇を蠢かす姿は、一見の価値があります。白い顔が頭の蛇に良く映えていました。この女優さんは、「バロン」のビーナスを初め、様々な異形のものを演じていますが、このメドューサはその中でも一、二を争う素晴らしいメイクでした。
さて、翻って、この2作目は、なんとも平凡な出来で、退屈はしなかったものの、何の感動もありませんでした。しかも、ストーリーを別にしても、この手の映画では重要な要素になる、コルキスの牛、海馬、サイクロプスなどのモンスター・デザインも極めて平凡であり、さらに機械仕掛けのコルキスの牛にいたっては、そのCG映像のチャチさに驚きました。
唯一、面白いと思ったのは、死者を甦らして作った神の兵隊を「ゾンビ」と呼んで、その兵士たちが気を悪くするというエピソードです。なるほど、西洋文明の祖とも言えるギリシャ神話から死者の甦りはあったわけで、それを、最近流行の南方のまじない師の奴隷の名で呼ばれるのは、沽券に関わると言うのでしょう。これは思わず笑いました。
一方、ホワイトハウスをオリンポスと呼んでいるシーンは、アメリカ人以外は、例え毒のあるオチがあっても気分が悪いものですよネ。
ともかく、この映画の最大の欠点は、センス・オブ・ワンダーが全般に感じられないことです。予想したとおりのストーリーが何の破綻もなく、淡々と終わってしまいました。
次作がもし作られることがあれば、それに期待しましょう。
蛇足ですが、この映画の字幕やパンフには、一つ目巨人を「キュクロプス」とカタカナで表記しています。なぜ、わが国で長らく使用している「サイクロプス」を使用しないのでしょう。訳者の勝手な思いでしょうか、なぜか、気に入りません。その理由をきちんと説明して欲しいものです。
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