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2013年10月19日 (土)

クロニクル

 「クロニクル」という映画が、宣伝もなく、ひっそりと公開されています。只今現在、月に20本超の映画を劇場で見ている友人の映画愛好家が「面白い」とお墨付きをくれたので、早速観に行ってきました。

 手持ちのビデオカメラで、ドキュメンタリーのように撮る、いま流行のいわゆるモキュメンタリー方式のSF映画でした。
 ストーリーは、3人の高校生が、得体の知れない物体に触ったため、超能力を得て、最初は些細ないたずらから、徐々にその能力に溺れていくというものです。
 突然備わった超能力は、サイコキネシス、つまり念動力であり、この映画は、その威力を映像で見事に描いています。
 思えば、これまでも超能力をテーマにした映画は数々あって、古くは「フューリー」の念動力などが、血管の描写を通して当時としては比較的良く出来ていました。ホラー映画の代表のような「キャリー」も一種の超能力少女のお話です。今回、その有名なラストシーンへのオマージュシーンがありました。思わず笑いました(笑)。
 最近は、CGの進歩で、Xメンシリーズをはじめ、テレポーテーションを描いた「ジャンパー」や異星人の逃亡者である「アイ・アム・ナンバー4」など、絵空事をいかにもリアルに見せることができるようになり、こうした類の映画がやたら増えてきました。
 そうした中でも、今回の映画の超能力のシーンは、初監督さんらしいですが、抜群のセンスの良さを発揮して、低予算という印象を与えません。
 念動力を得たばかりの頃は、ユウ・チューブの投稿映像のような雰囲気で演出し、空中浮揚ではその楽しさを描いています。とりわけ、大空でラグビーに興じるシーンは、宮崎駿やスーパーマンなど様々な飛行シーンを見てきたのですが、そうした映像とはまた一味違う空や雲を描き出し、その才能に目を見張ります。この空のシーンが一番のお勧めです。
それに、屋上で主人公達がたむろするシーンも、足下に広がる街の佇まいの映し方がなんとも味があって素晴らしい。映画の良否は、予算ではなく、センスだということを改めて思い知らされます。全編通してなんとも惚れ惚れするセンスです。

 さて、この物語は、家庭内では、母が病床、飲んだくれの父からは日常的にDVを受けて、外ではいじめられっ子の主人公の一人が、ビデオカメラを一日中回し続けるようになってから、始まるのですが、何故、不自然にもどこでも持ちまわるのかという心理的な分析(DV?)は、友人に任せるとして、モキュメンタリー映像として、カメラをサイコキネシスで動かして自分たちを撮るという発想には感心しました。モキュメンタリーの怪獣映画「クローバー・フィールド」の消去忘れの前映像の活用にも似た発想です。ただ、カメラの画質が断然良くなっており、見やすさは倍増です。
 ともあれ、この主人公が、おのれの能力に酔いしれていくシーンは、私のお気に入りの平井和正のSF小説「幻魔大戦」に登場するサイコキネシスの巨人である東丈を思い起こします。もう、たまりません。しかも、 最後の警察やもう一人の主人公との戦いは、なんとも見事としか言い様がありません。パトカーが一斉に吹き飛んだり、銅像の矢が突き刺さるなど、その発想と映像が素晴らしい。街中で空中に浮かぶ姿も妙に心に残ります。

 最後に、この映画は、結局、裏スーパーマンだったのですね。謎の物体の正体は、どっかで見たことがあると思っていたら、クリストファー・リーブ主演の映画「スーパーマン」に登場するクリプトン星から乗ってきた星型の宇宙船にそっくりです。しかも、最後は、どうみても、善き人スーパーマンその人が誕生したのではありませんか。

 それにしても、こんな面白い映画のパンフレットが発売されていないのは何故かな?。どなたか、知っている方は教えてください。

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