ドラキュラ 1979年版
1979年に製作された「ドラキュラ」が、この度、ブルーレイで発売されました。これまで、ビデオは発売されていました(絶版)が、DVD化はまだでした。それが、いきなり、ブルーレイ化です。何故でしょう?、事情を知っている方は是非お教えください。
この映画の主演は、当時、ブロードウェイの舞台「ドラキュラ」で大人気となった、フランク・ランジェラです。多分、舞台人気を当て込んで、映画化をしたのでしょう。日本ではこの俳優さんを知らない人が多かったのではないかと思います。
しかし、ライバルのヘルシング教授には、なんとイギリスの名優で大物のローレンス・オリビエが扮し、ヒロインのルーシーに、新進女優のケイト・ネリガンの起用です。当時、彼女は、サスペンス映画「針の眼」で、車椅子の夫がありながら、謎めいた訪問者と浮気をしてしまうという人妻役を演じており、私、結構、贔屓にしていました。さらに、曲者役者のドナルド・プレゼンスも精神病院の院長の役で助演しています。出演者はA級クラスであり、 後年のフランシス・コッポラ監督の「ドラキュラ」の豪華出演陣の魁ともいえます。
また、映像も、ゴシック調で重厚です。嵐の中で帆船が遭難し、精神病院が建つ断崖に打ち寄せられるシーンなど、セットも含め、もうハマー・フィルムとは雲泥のお金を掛けた大作でした。
しかし、金をかければよいかというと、そうではない証明のような映画でした。凝りまくったセットや映像などの雰囲気はなんとも凄く、出演者も豪華だが、肝心の主演のフランク・ランジェラが、舞台向きだったかもしれませんが、映画の主役としては荷が勝ちすぎました。とても、スクリーン上でのドラキュラの凄みはありませんし、吸血鬼との愛というテーマにも、色気が足りません。
しいて言えば、城壁を逆さに這い回るシーンや一瞬で動物に変身するシーンは、一定の評価をしますが、どうも、ブラム・ストーカーの定番の話だけに、今回のアレンジが全く面白くないのです。
ドラキュラとの愛の話なら、喜劇「ドラキュラ都に行く」が数倍面白い。そういえば、この映画もまだDVD化されておりません。余談ですが、これは是非、DVD化をお願いしたいものです。
ともかく、封切時の感想としては、一言で言うと、大作のくせに、ぱっとしなかった映画、と記憶しています。
さて、今回、再見したのは、ブルーレイの画面なら、ひょっとしたら、映像面から面白く見ることが出来るかもしれない(笑)という一縷の望みを持ってのことでしたが、やっぱりイケません。それどころか、画面が見えすぎて、吸血鬼のメークアップなどに粗がでます。これは考えものです。(もっとも、ブルーレイの割には画質は低レベルでした。)
結論として、面白くない映画は、いくら画像が良くなっても、やっぱり面白くないという、当たり前の真実を再確認いたしました(笑)。
« アビス 完全版 | トップページ | ブロントザウルス ダウン »
コメント