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2013年9月22日 (日)

エリジウム

 何も考えなくて良い、気分転換になる映画を観たい。それには、SF活劇映画が一番と、「エリジウム」を観に行きました。
 ところが、どっこい、監督が南アフリカのアパレルへイトをエイリアン映画を通じて告発した「第9地区」のニール・ブロムカンプですから、一筋縄でゆくはずもありませんでした。今回のテーマは、格差社会であり、脚本、監督、製作の三役をこなし、その才能を遺憾なく発揮しております。もう、社会派SF映画監督の称号を与えたくなりました。この監督の妙に覚えにくい、名前をしっかり頭に刻んでおきましょう。

Img  さて、お話は、「エリジウム」という宇宙コロニーに一部の富裕階級が居住し、富と寿命を独占する一方、人口増で荒れ果てた地球は、もう世界全体がスラム化しているという設定です。冒頭から、地球のスラム社会が映し出されますが、監督が南アフリカ出身のせいか、実にリアルに描いています。パンフによると、それもそのはず、メキシコの巨大なゴミ捨て場で撮影したそうです。異臭どころか、細菌感染の恐れもあったようで、俳優さんやスタッフも大変です。主人公のマット・デイモンは、そのスラム化した地球に住み、労働者の命などなんとも思わないブラック企業でロボットの組み立て作業の過酷な労働をしています。

 一方、エリジウム、この名は、ギリシャ語のエリュシオン(この世の果ての理想郷)から命名されているようで、巨大なリング状の宇宙ステーションで、自転することで重力と大気を保ち、ロボットを活用して快適な居住環境を維持しています。
 この特権的なエリジウムを守るためには手段を選ばない、ジョディ・フォスター扮する防衛長官やら、地球でブラック企業を経営する、冷酷を顔に彫り込んだようなウィリアム・フィクトナーが暗躍しています。
 宇宙コロニーのデザインは、昔ながらの宇宙ステーションという趣で、奇をてらわない形は、グッドデザイン賞をあげたいほどです。しかも、そのまま宇宙船でコロニーの大気圏内に入ることが出来るという優れものです。宇宙線による被爆や重力保持などの科学的な検証よりは、侵入しやすく、見栄えも良いという設定なのでしょう、まさに映画的でグッドな判断です。加えて、企業社長専用のシャトルのデザインが必見です。掃き溜めに赤い鶴という風情ですので、是非、ご覧ください。

 こうした中、主人公マックスが工場での照射線事故によりあと5日の命と宣告され、幼い頃からの夢と自らの命を救うために、スラムのギャングなどの仲間とともに、エクソ・スーツ(倍力装置)を肉体に埋め込み、そのブラック企業の社長を襲って、その頭の中にあるデータを奪取し、エリジウムに侵入しようとするのです。協力するのは、いずれもメキシコ映画界のスター俳優とのこと。エリジウムの白人と比較すると、監督の暗喩を感じて面白い。しかも、主人公の幼友達で初恋の人フレイもやっぱりメキシコ系です。どっかで見た女優と思ったら、「プレデターズ」の女スパイナーでした。
 そして、それを阻止しようとするのが、「第9地区」で一躍有名になった南アフリカの俳優シャールト・コプリーです。今回は、変態で野獣のような傭兵クルーガーを演じます。垂直離陸可能な戦闘機を操り、様々な銃器で襲いかかります。肉弾戦では、日本刀まで振り回します。
 この辺の戦闘シーンは、「第9地区」の映像もそうですが、SFの架空兵器の道具立てにも変わらず、なんともリアルな遠近感や機械油や使用感までが感じられ、実際の戦場さながらのドキュメンタリータッチの迫力が筆舌につくせません。逆に映像があまりに自然すぎて、その凄さをうっかり見逃してしまいます(笑)。是非、他のSF映画の見得と比較してください。

 その後のお話は、映画を観てお楽しみください。ラストは、あっと驚く・・・幕切れです。「インデペンデンス・デイ」を思い出します、こうご期待。それにしても、どうして、頭の良いジュディ・フォスターがあの役柄でこの映画に出演したのか、それは不思議です。

 とはいうものの、この映画は、やはりいろいろな余計なことを考えさせます。今のアメリカの階層社会の深刻な現状、そのアメリカに追随しようとする某国の政治や経済の動向、私も含めた無関心な国民意識。この映画は、そうした現代社会の矛盾をSFを通じて告発しているようです。

 しかし、やっぱり映画は単純明快が良いし、読み物も、松本清張より横溝正史が好みです。(古いかな!!)

 

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