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2013年7月31日 (水)

大映グラフ 1963年 盛夏特別号

Img  大映グラフは、これまで何度か紹介しましたように、月刊ですが、大映の映画パンフレットです。今回、ヤフオクで、やっと、1963年盛夏特別号をゲットできました。私にとって、この号は、特別の思い出の映画の記事が載っています。

 当時、テレビ映画の影響なのか、何故か、忍者の映画を観たくて、親父に無理矢理頼んで、劇場に行ったのが、山本薩夫監督の「続忍びの者」だったのです。
 このリアルな大人向けの映画は、東映の忍者映画を期待していたこどもには、ハード過ぎました。暗いモノクロの世界で、若山富三郎扮する織田信長の獰猛さをはじめ、市川雷蔵の石川五右衛門が本能寺で信長の腕や足を斬りおとすシーンなどは、絶句です。あれほど怖かったものはなかったような気がします。

 実は、併映が「座頭市兇状旅」でした。しかし、そのときは、盲目の居合いの達人のやくざ者のお話など知りませんでしたし、「続忍びの者」を見て、すっかり怖気づいた中では、もう見るのを止めて帰りたかったのですが、親父の手前、そうもいけません。
 本当に、いやいや観た記憶があります。しかし、これが思いのほか、面白かったのです。一転して、明るいカラーの画面も心地よく、ユーモア溢れるカツシンの演技や見たこともない殺陣に、すっかり座頭市の魅力に嵌まりました。この映画が、私の座頭市映画の初めてなのです。・・・忘れられません。

 ということで、良くも悪くも記念すべき二つの映画が掲載されている大映グラフの号を探していましたのです。
 もっとも、その記載内容は、それぞれ、わずか見開き2頁の記事ですが、当時の記憶を再現させる、一種のきっかけですから、良いんです、これで。
 それにしても、やっぱり、映画は、それぞれの人による思い出で再創造されていることが良くわかります。

2013年7月27日 (土)

追悼 レイ・ハリーハウゼン

 この2013年5月7日に、私の尊敬する伝説のモデル・アニメーションの巨匠レイ・ハリーハウゼン氏が92歳でお亡くなりになったそうです。どうして、こんな大ニュースを一般のテレビ、新聞などのマスコミは、大々的に報道しないのでしょう。うかつにも今月になるまで気が付きませんでした、困ったものです。

 さて、まずは、ハリーハウゼン氏の功績を称えたいと思います。ここで逐一、改めて紹介する必要もないのですが、私にとっては、「アルゴ探検隊の大冒険」を製作し、タロスなどの人形モデルに魂を吹き込んだ神様です。子供の時にTV放送で観て以来、もうその魅力のとりこです。
 現役当時は、ファンタジー映画が子供だましと思われていたせいか、なかなか評価を得られませんでしたが、晩年になって、その作品群の偉大さをやっと再確認され、アカデミー賞の特別賞をもらっています。穿った見方をすれば、私のように、子供のときからのファンが大人になって、映画界に集まったおかげのような気がします(笑)。事実、ルーカスやスピルバーグ監督などの賛辞の声は以前から強く、CG全盛期の現在になってさえ、若手の映像クリエーターらの神様であり続けています。そのせいか、次々とリメイクやオマージュが捧げられた映画が作られています。

 また、個人的にありがたいことは、それぞれの製作した映画会社が異なるにもかかわらず、全作品を網羅したDVDーBOXが発売されるという快挙を成し遂げております。
 さらに、彼が創造したクリーチャーのデザインは、素晴らしく、いまだにフィギュアの発売が後を絶ちません。私も随分購入しております。実は、レジンキットの草創期の傑作も、彼の映画からのものでした。以前、このブログでも掲載しておりますが、改めて彼のデザインを基にした模型の傑作キットをいくつかご紹介しましょう。Dscn57421

この「アルゴ探検隊の大冒険」に登場するタロスの模型は、高さ23cmのサイズながら、レジンキットの草創期に、マーメイドというメーカーから発売された、伝説の造型師大石透氏の手になるものです。タロス像では、このレジンモデルが最高傑作です。

Dscn91561  胴体が蛇になっているというデザインが秀逸なメデューサです。晩年の作品「タイタンの戦い」に登場します。アメリカのメーカーからの発売です。サイズは28cmぐらいのソフビのキットです。どうみても、引き絞った弓に対して、矢の長さが変ですが、いまのところ、このモデルが、一番格好がよろしいです。
 リメイクに登場する同じタイプのCGのメデューサと比べても、ハリーハウゼンの凄さがわかります。

2005819_026 「シンドバット黄金の航海」に登場するカーリー神です。このモデルは、エクスプラス社から完成品として発売されたものです。高さは32cmぐらいあります。レジン製なので、ずっしりと重く、スタチューとしては、なかなかの迫力があります。

H2453_0031 最後に、「シンドバット七回目の航海」に登場するサイクロプスです。このクリーチャーも人気が高く、ビリケン商会やエクスプラスなどのメーカーから数多くキットが発売されていますが、いまのところ、このキットが、腕や指の太ささなどの点で、最も映画の雰囲気を伝えてています。

 ちなみに、サイクロプスといえば、私が独学で模型を作りはじめて、塗装などのできばえになんとか納得したのが、次のバストモデルでした。おまけで紹介します。20055282_012

それでは、改めて、レイ・ハリーハウゼン先生のご冥福をお祈りします。

 

2013年7月23日 (火)

風立ちぬ

Img はじめて、実話を元に作品を作ったという、宮崎駿監督の最新作を観てきました。O戦を設計した堀越二郎を題材に、自由な脚色で、主人公の夢を描くという手法を駆使して、やっぱり宮崎ワールドを作り上げています。
 冒頭、少年の夢ではじまり、最後は、国破れて、夢ありきで締めくくります。イタリア人の飛行機の設計家との交流など、いかにも宮崎らしい世界が広がります。

 一方、現実の世界では、関東大震災のビジュアルが圧倒的です。山や町が波打つ場面、火災による天をも覆う黒煙の映像は、物凄いインパクトがあります。
 そして、二郎と菜穂子の出会い、再会、このへんまでは、なかなか快調でしたが、その後の菜穂子の結核、そして結婚というドラマは、私の長らく使われていない涙腺の栓をゆるめようとします。(だから、病気モノは嫌なんです。)
 なかなかの140分間でした。

 しかし、この居心地の悪さはどうでしょう。鑑賞後の胸に広がる不安感は何故でしょう。しかも、製作者の思いは何処にあるのでしょう。こんな気持ちが整理できません。感じたことをいくつか並べてみました。
1 まず、「風立ちぬ」の題名は、飛行機も恋も、風がきっかけですから、まず、この言葉から題名が決まったのだろうという気がします。つまり、堀辰雄の小説は後付けです、きっと。
2 冒頭の主人公の家の絵一枚で、大地主と小作人の当時の社会を暗示させます。お屋敷の娘であるヒロインの設定なども、戦前の身分社会を髣髴させます。選ばれた少数の者の社会なのです。一般大衆は、その他大勢、震災で逃げ惑う豆粒のような絵がそれを表し、ただ、そうした社会に対して、憧憬とも、郷愁さえも感じさせるのは、いかがなものでしょうか。
3 主人公は、美くしい飛行機の設計という己の夢のみを追い続け、それ以外の社会の動きなどには、全く無関心です。この考え方もなんか変です。劇中には「悪魔」とか「国を滅ぼした」という言葉もありますが、なんか、アリバイ的な匂いがするというのは言い過ぎでしょうか。
4 今回、宮崎監督にしては、めずらしく男女の関係に突っ込んでいますが、二人の出会いのエピソードと、結婚への展開が、なにか水と油です。菜穂子さんがわかりません。このへんは、堀辰雄ですか?
5 素朴な疑問として、震災後、どうして主人公の住所や氏名がわかったのか、何故、きちんとした御礼に来なかったのか、わかりません。
6 忠告ですが、鑑賞前にテレビの特番を見るべきではありません。口真似で作ったというエンジン音などが、耳について困りました。それに、声優に、知り合いを使うのはやめて欲しいナ。

以上です。 

  

2013年7月14日 (日)

日曜大工はつらいよ

 いまは、日曜大工というより、DIYというのでしょうか、一念発起して、模型用塗装ブースの換気扇の換気ホース口をサッシ窓に取り付けようと思い立ちました。
 これまでは、ベニヤ板に穴を開けて、サッシ窓に差し込んでいたのですが、長年の風雨に晒されて朽ち果てましたので、今回は、サッシ窓と同じアルミ板で換気の枠を作ってみようと思ったのです。
 なにしろ、換気扇が使えないので、以前紹介したハリーハウゼン物を含め、下準備したまま放置している模型がいくつか転がっている事情もありました。
 

 まず、ホームセンターで、サッシ用のアルミ板(1780円)を購入し、窓のサイズに合わせて、切断してもらいました。実際に窓にはめ込むと、サイズもぴったり。ここまでは、誠に快調でした。
 が、いざ、板に取り付け用の四角の穴を開けようとして四苦八苦です。金切ハサミ(1146円)を新調したのですが、役に立ちません。アルミは、軽くてもやはり金属です、木材とは硬度が全くちがいます。
 そこで、金属に開けるためのドリルの先(980円)を購入し、従前から使っている模型用のルーターで穴を穿ちます。なんとか要所要所に穴を開けたものの、そこから全く前進しません。ホームセンターの店員によると、金鋸で切ることが出来るというものの、とても手動では歯がたちません。
 そこで、電動のこのジグソーを安売り価格で購入(3083円)しました。ところが、この電動ノコを使うための台座がありません。やむなく、ミニワークベンチ(2705円)まで購入する始末です。H250714_005

 やっと、作業の準備が整い、炎天下、屋外で電動ノコを使いました。ところが、思うようにはいきません。作業の騒音や金属の粉もそうですが、なによりノコを直進させることがいかに難しいか、まったく、恐れ入りました。切断のラインは、波状にのたうち、しかも、短い方の一辺は、アルミ板の凹凸のために、鋸状に牙をむいている状況です。惨憺たる有様です。
 ただ、出来はともかく、まがりなりにも、アルミ板に四角い穴が開いたので、ほっとしたのもつかぬ間、わずかに穴のサイズが小さく、結局、換気パイプの口がはまりません。もう、ショックです。

H250714_004  どうしようか、迷っていましたが、世の中には、いろいろな機械があるものです。ハンドニブラーという、金属に穴をあけていく器具を発見しました。早速、アマゾンで購入(2800円)し、挑戦です。この器具は、穴をあけるといっても、少しずつ、金属板をサクサクとかじっていくようなものですが、今回の総仕上げには、打ってつけでした。逆に、今度は、調子にのって、穴を広げすぎて、はめ込んだ換気ホースがゆるむのです。もう、最後は、パテで穴の周りを固めてしまいました(笑)。
 
H250714_001  では、恥ずかしながら、完成した窓をご紹介します。なお、今回、新たに購入した器具の総額は、1万円を軽く超えてしまいました。Do It Yourselfは、金もかかるし、難しい。しばらく、日曜大工はお休みです。

 

2013年7月 7日 (日)

ダイオウイカ

Img_0002  最近、深海生物の図鑑などが頻繁に出版され、何故か、一種のブームにもなっているような気がします。どうも、これは、2013年1月にNHKスペシャルで放送された「世界初撮影、深海の超巨大イカ」の影響かもしれないと思い当たりはじめました。
 ちなみに、今回、学研から「ダイオウイカと深海の生物」という特集雑誌が発売され、さらに、DVD発売にとどまらず、どうやらそのNHKスペシャル番組を劇場で公開するというような動きまでがあるらしい。どんな映画になるのでしょう、不安が一杯です。

 また、各地の博物館では、深海生物をテーマにした特別展示を催すようです。今年の夏休みは、例年の恐竜ではなく、深海生物の年になりそうです。
 当然、敏に聡い出版社では、例えば別冊宝島からは、このブームを見越した「深海生物大図鑑」という雑誌が出版されました。この本は、半分は、カラー刷りの精密な生態写真なのですが、価格を抑えるためか、後半は、すべてモノクロ写真なのです。誠に残念です。しかも、濃淡のない薄っぺらな印刷であり、いまどきこんな粗末な印刷を平気でおこなう神経がわかりません。いや、結局、本当のところ、編集部は、それほど生物学や図鑑には興味がないのでしょう。Img

 ところで、この巨大イカの撮影は、くだんの学研の雑誌の記事によると、海外では大変な騒ぎになっているようです。もともと、西洋では、昔から船を襲う巨大な怪物クラーケンなどの伝説があり、その正体ではないかとかも、言われていました。「海底二万哩」でも、ノーチラス号を巨大なイカが襲うのです。そういえば、最近、この有名なジュール・ベルヌの小説の新訳版が文庫で発刊されましたし、ディズニー映画のリメイクも計画されているとのことです。・・本当いえば、できたら名作は、そっとしておいて欲しいのですが、CGなどで見て見たい気がします。
 「パイレーツ・オブ・カリビアン」の第2作では、伝説のクラーケンが見事に描かれていました。本物の大きさの帆船を実際に、緑色で覆った機械式のクレーンで破壊して撮影された、怪物の襲撃シーンは、CG処理とあいまってまことに鳥肌ものでした。残念ながら、第3作目では、もう用済みとばかり、既に殺されており、死体だけの登場になったことは、今思っても残念でなりません。

 以上、深海生物に関する世の中の動きについての現状報告でした。次は、いよいよ太平洋から次々と巨大深海怪獣が現れる映画「パシフィック・リム」の公開です。いやおうなく、期待が高まります。

ワイルドスピード ユーロ・ミッション

Photo  「ワイルドスピード」は、途中で突然大化けしたシリーズです。前作の「ワイルドスピード メガマックス」は、南米を舞台に、巨大なチタン製の金庫を2台の車で引きずり回し、町のいたるところを破壊しながら、無数のパトカーをポンコツの山にしたという、稀に見る馬鹿馬鹿しい爽快さを提供し、気持ちの良い幕切れを描き出しました。世界中で大ヒットしたことも良くわかります。私も遅まきながら、それまでの作品を見たところでした。が、やっぱり、ヴィン・ディーゼルの出演作が見る価値があります。
 さて、今回は、その前作の勢いを駆っての作品ですが、今回もなかなか見せてくれました。ターミネーターと同じで、強力な敵の登場に、正義派に転向したことはやむ得ないですが、見せ場はしっかり構えてくれます。

 戦車が、軍用輸送車から飛び出し、高速道路を走る一般車両を次々にひき潰していくシーンは、金庫を引きずる名シーンに匹敵する痛快さがあります。この際、車の運転手のことは考えないこと(笑)。まあ、車から車に飛び移る、超人的なアクションが続きますので、あまり現実感はありませんから、ご心配なく。
 また、ラスト、逃走用の大型輸送機の離陸シーンでの活劇は、まさに、ハッタリの極みですが、飛行機が馬鹿でかいだけになかなか迫力があります。

 こうした、これでもかという物量に物を言わせた見せ場が続きますし、意外な伏線もあって、十分楽しめました。ノリで言うと、昔のハリウッドのドイツ軍との戦争娯楽映画の感じです。しかも、続編に向けて、敵役に予想外の大スターの登場が予告され、早くも、次回に期待しています。このへんは、巧いなあ。

 ただ、唯一残念なのは、妹役のジョーダナ・ブリュースターという女優さんが、かなり老けましたね(笑)。それと、あえて言えば、ミシェル・ロドリゲスさんは、奇跡の復活するだけの人気があったのでしょうか?たしか、前々作では葬式も挙げたのですから、かつてのドラキュラシリーズより無理があるかな?あ、そういえば、この女優さんは、「バイオハザード」でもクローン役で復活しましたわ。

2013年7月 6日 (土)

宮崎駿ワールド

 近く、宮崎駿の新作アニメ「風立ちぬ」が公開されます。すでに、何度となく劇場で予告編を目にしています。懐かしの荒井由実の曲に乗って、飛行機と風、若き日の飛行機設計士と姿の良い女性、そして、大きな地震の波が映し出されます。また、トトロでも懐かしい想いがした白ペンキ※を塗った洋風の柱、破風など、その朽ちかけた匂いまでも感じられます。(※予告編を見直したら、色は白ではありませんでした(謝)。)
 さらに、驚いたのが、題名の由来の小説の原作者、堀 辰雄と、零戦の設計者堀 越 二郎がまるで兄弟だったのか、と思えるほどの題字の並べ方です。実際の名字は、掘と堀越ですから、宮崎のいたずら心のような気がします。
 映画愛好家の友人も、この予告編については、流れ、リズムなど素晴らしいと手放しです。いやがおうにも、本編に期待が盛り上がります。

Img_0003  そして、当然ながら、映画とコラボしている宮崎駿の特集雑誌も発売されています。その内容は、過去の宮崎アニメをさまざまな角度から評価しており、なかなか興味深いものがあります。
 しかし、例えば、宮崎の自然に対する思想が作品によって変わってきたという評論は、意味がわかりません。当たり前のことではないでしょうか。
 また、宮崎アニメは、女性が描かれていない。登場する少女はステレオタイプと切って捨てたような論には、いささか反対です。この評論家は、どうも、アニメにセックス描写を求めているような気さえします。
 ナウシカも、シータも、あと名前が忘れたが、その他の健気で勝気な主人公の美少女の存在は、アニメの夢だから良いぢゃないか。現実には、いないなんだから(笑)。ちなみに、私は、「天空の城ラピュタ」と「風の谷のナウシカ」が好きです。
 あの宮崎ワールド独特の奇想天外な架空の武器や飛行船の魅力が絶品です。宮崎駿の兵器マニアぶりがたまりません。(注:兵器マニア=戦争賛美者ではありませんゾ。むしろ逆と思います。)

 ところで、ジブリ作品では、いつしか、吹き替えには、声優を使わず、それぞれ俳優を起用しだしたという解説には、強く共感します。いまや、吹き替えの声だけで、その声優を追っかけるような時代です。なんか、おかしいですよね。宮崎流の批判かもしれません。

 ともかく、今回のキャッチフレーズが、天才・宮崎駿から人間・宮崎駿とのことですから、空想のファンタジー映画からどんな世界が広がるのか、期待と不安を抱いて公開を待っています。Photo Photo_2                                 

ちなみに、ジブリ作品は、DVDを結構集めていました。

先の2作品以外にも、「紅の豚」、「となりのトトロ」、「もののけ姫」、「千と千尋の神隠し」、「ハウルの動く城」など。・・・あれ?「崖の上のポニョ」まであるのに、「魔女の宅急便」がなかった。・・何とかせねば(笑)。

2013年7月 4日 (木)

パシフィック・リム(予告)

 この夏に公開される「パシフィック・リム」は、ハリウッドが製作した本格的怪獣映画だそうです。監督は、「ヘルボーイ」や「パンズ・ラビリンス」などで世評に高い、ギレルモ・デル・トロです。予告編やインターネットなどでの情報では、太平洋から次々と出現した怪獣、本当に「kaiju」という名称らしいですが、その怪獣に対抗するために、環太平洋(タイトルの由来)の各国が人間が搭乗する巨大ロボットを作って、人類の存亡をかけて戦いを挑むというストーリーです。
 怪獣映画少年(いま居るかどうか知りませんが・・。)が夢にまで見るような映画です。往年のファンとしては大いに期待するものです。
 現在は、まだまだその情報は制限されており、肝心な怪獣の姿など、角などのわずかな部分しか公開されていません。ただ、思わぬところから、その一部が流出しております。アメリカのトイ・メーカーから発売される予定のフィギュアです。そのフィギュアの商品写真がインターネットで既に宣伝されているのです。
 その商品をみると、「ナイフヘッド・カイジュウ」という奴なのですが、どうも格好がよくありません。ノコギリサメの頭に、ずんぐりした大雑把な造りの着ぐるみのような胴体が付いています。監督は、日本の怪獣やアニメに精通しているマニアらしいので、どうやら、日本映画の悪い所を真似するのではないかと、心配になります。それでなくても、これまでの「ヘルボーイ」などの彼の映画に登場するモンスターのデザインは、あんまり好みではありません。それだけに、期待の大きさとともに、不安と嫌な予感が高まります。

2013610  そうした中、この映画の前宣伝のためか、あやかり商法というか、人のフンドシ商法というのか、コバンザメ的に、別冊映画秘宝として「世界怪獣映画入門!」という特集雑誌が発売されました。 当然、「パシフィック・リム」の情報が満載されているものと思い込んだのですが、表紙も、映画とは全く関係ない、ある挿絵画家のオリジナルの怪獣という、もう、詐欺まがいのインチキです。しかも、肝心な記事は、わずか、見開き2ページのインターネットの予告編映像と同じものです。サイの角を持つ怪獣が一部分写っているものです。さらに、怪獣のデザイナーのインタビュー記事もありましたが、すべての質問に「ノーコメント」という答を列挙したものです。・・・本当の話です。羊頭狗肉というしかありません。怒るより、あきれ返っています。

 ただ、期待した新作情報は全く無かったのですが、意外にまともな構成になっており、レイ・ハリーハウゼンの特集記事や、フォーレスト・アッカーマンやボブ・バーンズのコレクターの記事はあなどれません。しかも、恐竜映画の歴史や私のお気に入りの恐竜復元画家ズデニェック・ブリアンを取り上げているのは、感心しました。
 最後に、日本の怪獣映画の現状に言及した記事の中で、怪獣映画、いや日本SF映画の傑作ともいうべき、平成ガメラシリーズ3部作の興行成績は、結局5.2億円、7億円、6億円と、大ヒット基準の10億円には届かなかったそうです。一方、あの幼稚な、平成ゴジラシリーズは、17億円から始まり、全作が10億円以上をクリアしたそうです。どうやら、怪獣映画は、その作品の質ではなく、キャラクター重視の幼児が見るレベルに陥ったようです。悲しいものです。かつての東宝特撮映画には、美人女優の入浴シーン等が必ず盛り込まれていたものですのに・・(笑)。

2013年7月 1日 (月)

アフター・アース

 SF映画「アフター・アース」では、主演のウイル・スミスと実の息子が共演しています。実際にはどうなのか知りませんが、なんとなく大スターの親馬鹿丸出し、好き勝手やり放題という印象から、どうも感心できないと、勝手な反発心を抱いていた上に、監督が「シックス・センス」の大どんでん返しで味をしめてしまった、あのシャラマンと聞いたので、まったく劇場に足を運ぶ気はありませんでした。ところが、たまさか週末の夜に体が空き、時間つぶしについ見てしまいました。

 そして、結果は、予想通り、なんとつまらぬ映画だったのでしょう。
 言いたいことは数々ありますが、まず、軽さが持ち味のウイル・スミスの硬派の英雄振りがなんとも板についていない一方、その息子も、臆病なくせに、強情で生意気な性格という設定がよくわかりません。
 また、未来の生活デザインが、インド風と言うか、テント風というか、なんとも、粗末で安っぽいセットなのです。これだけでも情けないのに、人類を滅ぼすために進化したという未来の地球の自然が、ほぼ今の地球の動植物と変化ないのです。これはもう手抜きですな。群れで襲い掛かるヒヒ、木登りするライオンなど、想像力の欠如は悲しい限りです。加えて、恩(?)を返す大鷲の登場は、どう考えても意味不明です。
 さらに言えば、人間狩りのために異星人から送り込まれたモンスターに対して、何故、光線銃とはいいませんが、飛び道具を使わないのでしょう。まるで銃器が存在しないかのように、槍や刀に変化する武器を使って、原始人のように立ち向かうのです。勝ち目はあるはずがありません。 しかも、宇宙船のコンピュータも、墜落した機体の残骸にも必要な薬が備え付けであることぐらいは念頭にして作戦を立案して欲しいものです。
 こうしたSFに不可欠なメカなどの道具立てには、ほとんど関心がなく、ただただ、心頭滅すれば、ゴースト(恐怖心を克服した人のこと)になることができるという、シャマラン監督らしい、説教じみた設定です。

 本当に、時間を無駄に費やしてしまったノダ。

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