ビブリア古書堂の事件手帖
三上延の「ビブリア古書堂の事件手帖」の小説は、なかなか面白い読み物です。本にまつわるさまざまなエピソードを巧く謎ときの事件に仕立てています。主人公の若い女店主の人物像が素晴らしい。本に関しては、シャーロック・ホームズ張りの推理力を発するが、人との会話など、内気すぎてままならない。まさに、ホームズ、ポアロ、ガリレオという、偏った天才名探偵の正当な系譜であります。現在、シリーズ第4巻が発刊されています。作者のあとがきでは、もうそろそろ終わりが近いようです。なにしろ、本のネタが大変らしく、毎回、こんな話をよく探してくると感心しておりましたから、少し安心しました(笑)。ちなみに、「ビブリア」とはギリシャ語で「本」、ラテン語で「本を愛する人」という意味だそうです。あの、ホームズの兄のような、主人公の母が世界中をかけて探している「とんでもない本」の正体が明かされることを期待しています。・・まさか、映画「ナインスゲート」の本ではないでしょう(笑)が、想像が果てしなく膨らみます。
さて、今回、この本を取り上げたのは、2013年の冬、フジテレビが全11話のシリーズで、この原作をテレビドラマ化をいたしました。放送枠は、毎週月曜日午後9時、いわゆる「月9」という看板枠だそうです。主演は、CMでよく見かける剛力彩芽、共演はAKIRA等です。
結果は、最終回の視聴率8.1%という、月9始まって以来のワースト記録を更新したようです。平均視聴率も11.33%という低迷振りです。どうも、最近のフジテレビは小説「女信長」のスペシャルドラマでも大惨敗を喫したように、なんか会社の姿勢がおかしいような気がしています。新「ガリレオ」も柴咲コウを降板させていますし、一体どこを向いてドラマを作っているのか(喝)!!
ドラマ自体は、北鎌倉の古書店のセット、店構え、ストーリーなどは、原作の雰囲気を良く出しているような気もしますし、お話も、本好きには、そこそこ納得の行く作りになっています。劇中に出てくる、長らく絶版だったSF文庫「たんぽぽ娘」も今回復刻されるようです(私、注文しました(笑))し、結構楽しみました。原作に登場するワケあり本が実際の映像で紹介されるのが、気に入って、毎回見ていたのです。
結局、今回の低視聴率の原因は、主演の剛力彩芽への好き嫌い、なのでしょう。現在、CMの女王らしいですが、低視聴率女優といわれているように、あんまり人気はないようです。それなのに、どうしてCM出演が多いのか?よくわかりませんが、不思議ですネ。ただ、うちの女房殿と下の娘がこの女優さんをあんまり良く言いません。どうやら、顔の造りに好みが出るのでしょう。結局、彼女らは、一度もこのドラマを見ませんでしたナ。
確かに、原作の栞子のイメージとは違いますが、着ている衣装などは頑張っていましたよ。ただ、スモークが炊かれた店内で、共演のAKIRAの長い棒読みセリフが辛かったことと、主人公の妹を弟に変えたこと、高橋克美演じるホームレスが家に同居していること、近所の喫茶店の小うるさい変なマスターを登場させたことなど、原作との違いがやけに気になりました。この辺もマイナスです。
儲けものは、主人公の母親役の安田成美です。なんか実生活のワケあり感とともに、雰囲気が良くお気に入りになりました。
ともあれ、視聴率のこんな悲惨な結果は、本当に残念です。このドラマの不振が、今後の文庫の発売に影響を与えないことを祈っています。まあ、愛読家は、普通テレビ見ませんから、だいじょうふ(笑)。でも、前述の復刻本の発売日が延期されたようのは、単に、偶然の一致ですよね。
それにしても、最大の責任者であるはずの主演の剛力彩芽が、最近、「原作のせい」とコメントしたという報道には、全くあきれました。報道が事実なら、己の実力を反省すべきでしょう。庇っていたつもりの私も、すっかり愛想つきました。
それにしても、新しく始まった「ガリレオ」でも、うざい吉高(呼び捨てでごめんなさい!)に閉口しています。話も全く面白くない。・・・大手の芸能事務所にこびつらい(芸能ネタによるもの)、企画優先のきちんとした製作の出来ないフジテレビには、もうあまり過去の栄光を期待しないようにするしかありませんねえ。栄枯盛衰世の習いですか、驕れるものは久しからず・・(合掌)。
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