フランケンウイニー
「フランケンウイニー」をレンタルDVDでやっと見ました。こんなに遅くなったのは、「ダーク・シャドウ」など、最近のティム・バートン監督の作品のできから、どうも気乗りがしなかったためです。しかし、杞憂でした。さすがに、監督自身による処女作の再映画化です。久々に見ごたえのある出来となりました。
デフォルメしたキャラクター達は、あいかわらずキモい造型ですが、彼らの住む世界は、かつて日本人が憧れたアメリカの象徴のような、広い芝生や大きな屋根裏部屋のある住宅、幾何学的な町並みなど、美しいモノクロ映像で描かれています。その映像はストップモーション映画にもかかわらず、まるで実写のような照明が美しい。それに犬の動きや縫い目のリアルなこと、こんな小技も凄い。
題名の意味は、フランケンおたくというような意味だそうで、監督のモンスター好きの趣味が目一杯反映されています。もともとのお話が、死んだ飼い犬を縫い合わせて生き返らせるという「フランケンシュタイン」のパロディ映画なのですが、それ以外にも、クラシックモンスター達がわんさか出てきます。主人公のこどもがフランケンシュタインの博士なら、その友達には、せむし男で助手のイゴールも居るし、怪物そのままのデザインの友達も居ます。そして、理科の先生は、どうみても怪奇俳優として有名なビンセント・プライスのカリカチュアであり、あろうことかアニメのテレビの画面では、本物のクリストファー・リー主演の「吸血鬼ドラキュラ」が実写で放送されています。
また、ペットの犬を生き返らせる装置は、当然「フランケンシュタイン」の有名な装置を模して作られており、手術台は雷を受けるために、しっかり天井に吊り上げられますし、秘密を知った悪童たちが、さまざまな死んだペットを甦らせます。
雷のショックで、蝙蝠を加えた猫が空飛ぶ吸血鬼に変身し、死んだ鼠が狼男のように凶暴になります。また、巨大なイモムシは、まるでミイラ男のように包帯で巻かれ、魚は透明化します。さらに、ミジンコのようなシー・モンスターは、無数の半魚人となり、大騒ぎを引き起こします。また、フランケン犬の友達の雌犬は、電気ショックで、「フランケンシュタインの花嫁」の稲妻型のファッションになります。この辺は、芸が細かいです。
そして、何より一番驚いたのが、死んだ亀がなんと大怪獣ガメラに変身し、町を破壊するのです。もうなんでもありで、なんとも素晴らしい。これまでのスランプをすっかり克服したと、思います(笑)。
また、最後の最後は、やっぱり、監督です。神の摂理では決して終わりません。これも立派です。
それにしても、オランダ人の町というのは、「フランケンシュタン」の映画で、有名な風車小屋が燃え落ちるラストシーンのオマージュのためだけの設定かしら?それとも、彷徨えるオランダ人・・・なんて伝説があるのかなあ? どんな裏話があるのか、知っている方、どなたか、お教えください。
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