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2013年3月 9日 (土)

30デイズ・ナイト

Img 本当に、欧米には吸血鬼を題材にした映画がたくさんあります。しかも、A級、B級という作品より、C級、D級が圧倒的に多く、場合によってはZ級というとんでもない映画もあります。もっとも、ゾンビ映画に比べれば大したことはないかもしれません。日本映画アカデミー賞の作品賞をとった「桐島、部活やめたってよ」の中でも、高校生の映画部がゾンビ映画を作っていますし、ハリウッドのスピルバーグ印の「スーパー8」でも、ゾンビ映画を撮っていました。ゾンビは、アマチュアでも作りやすいのでしょうし、これが三流映画やDVDとなると雨後のたけのこのように作られています。私の知人の話によると、知り合いのゾンビ映画マニアは、ともかく無数のろくでもないゾンビ映画を見ており、その中で、少しまともな作品に出会えると、その感動や評価はうなぎ上りに高くなると感じるそうです。・・・地獄で仏?的効果とも言うのでしょうか、わかる気がします。いや、この意見に大いに賛同します。

 この映画がまさにそうかもしれません。お話は、アメリカのアラスカ、人が住める北限の地の小さな町での出来事です。冬は、30日間、太陽が上りません。つまり30日間夜が続くのです。まさに、吸血鬼には理想の世界です。そのシーズンが始まる最後の日没の前に、幽霊船のような客船に乗って、吸血鬼たちが静かにやって来るのです。イヌが殺され、通信や電気が切られます。 薄気味の悪い浮浪者も現れます。あの「悪魔のいけにえ」へのオマージュでしょうか? 考えすぎでしょうが、なかなか導入部分は好感が持てます。

 こうした秀逸な設定に加え、襲ってくる吸血鬼の一団がユニークです。ボスは、太ったオジさん風ですが、貫禄がありますし、その妻や側近は、なんか東欧系の姿です。見方によっては、わし鼻のからす天狗にも感じられ、わけのわからない言葉(ルーマニア語?かトランシルバニア語?)や天に向いて咆哮する動作など、新たな吸血鬼というイメージを提示しています。用心棒的な巨漢の吸血鬼は、もう猛獣といってもよいほどの迫力があります。
 こうした吸血鬼の群れが、町の人々を次々と襲います。圧倒的なスピードと力技です。人との違いをこれほど映像化したものも少ないのではないでしょうか。あるようでなかったと思います。しかも、ボスは部下たちに宣言します、「喰ったら、首を刎ねよ。」と。つまり、吸血鬼の数はこれ以上増やさないというのです。その理由は「長い年月を掛けて、やっと『吸血鬼は幻だ』と人間に信じ込ませた。」とノタマワリます。・・いやあ、脚本が面白い。

 主人公はこの町の若い保安官とその別居中の妻で、その周りの人たちを引き連れての脱出逃亡劇となります。ドラマ的には、うまい選択です。・・もう前半は傑作です。

 しかし、残念ながら30日間は長かった。小さな町に隠れ住むには、主人公たちの疲労感や消耗度合いがイマイチ表現できていません。お話としては、幾多の試練と仲間の死を乗り越えて、29日間をなんとか生き抜くのですが、その間の時間の途方もない長さや、生き延びるためのギリギリの労苦が描かれていません。単に、「何日経過・・」と言う字幕が出るだけなのです。観客が気になる、食事は?トイレは?睡眠は?というサバイバルな生活方法がまったく感じられないのです。29日経っても数時間の経過後のようなさっぱりした容姿なのです。・・・本当に惜しい。

 ただ、万事窮すとなったラストで、主人公が取った意外な解決方法は、本当に意表を付いた方法ですが、少し悲しい結末でしたナ。

 さて、この映画の評価については、単なる針小棒大?的効果の映画か、またまた本当にプチ傑作映画なのか、もう少し時間をおいて反芻することとしましょう。もっとも、世間の評価とは別に、私は、あの悪鬼のようなボスの妻の顔が猛禽類のようで本当に怖いところが気に入っています(笑)。・・・淀川長治氏は、「どんな映画でも1箇所は好きなところがあるから映画が好き」とのことだそうです。素晴らしい言葉です。

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