仲代達矢
俳優仲代達矢の聞き書きの新書が発売されました。実は、なにを隠そう、私、若い頃から仲代達矢の大ファンなのです。早速、購入し、読ませていただきました。「用心棒」で三船敏郎を倒しそうな敵役「卯之助」の、着流しにマフラー、短銃をぶっ放す粋な姿にぞっこんです。とりわけ、東京の池袋、文芸座地下の劇場で行われた仲代達矢特集のオールナイトで、偶然、お会いし、しかも座席が一列違いで、握手をしてもらったことがあります。今更ながら、神様に感謝します。ご本人は、映画の中では、大男のように思えますが、顔や指などは華奢で細く、マネキンのようにスタイルが良かったと記憶しております。
この本の中身は、黒澤明との有名な出会いである「七人の侍」のエピソード、そのせいで、「用心棒」の卯之助の役を断り続けたこと、そして、「椿三十郎」「」天国と地獄」の撮影秘話、また、スターへの出世作となった小林正樹監督の「人間の條件」の過酷な現場、名作となった「切腹」「上意討ち」、さらに、五社英雄監督の「御用金」そして「人斬り」、岡本喜八の「殺人狂時代」など、裏話が満載です。とりわけ、三船敏郎、勝新太郎、中村錦之助などとの交流、人間関係も、率直に語っていて、黄金時代の日本映画界のパワー、そして、狭い役者の世界も垣間見れます。大変面白く、お勧めです。
ただ、こういう聞き書き形式にも、著者が別にいることに感心している中で、前述の内容について、どこかで聞いたことがあるような話と思っていたら、実は、随分前に、別の出版社から別の著者が書いた本がありました。しかも、私、蔵書していました。すっかり失念していたのですが、実際に比較してみると、今回は、奥さんや無名塾のお話は少なく、出演された映画のお話が中心となっており、しかも関係者がほとんどお亡くなりになった分、様々なエピソードが、とりわけ人間関係が、具体的に、率直に語られています。その点がなかなか興味深く、歴史の証言になりますし、日本の映画史にもなっています。その分、新作をお勧めします。皆さん、是非、お買い上げください。
ところで、本を読んで、一番見てみたくなったのが、若い頃に演じた舞台「四谷怪談」です。DVD化されていない「沈丁花」で共演した杉村春子が「すごくキレイだった」と評したという極め付けの色悪の姿を見てみたいものです。NHKの舞台中継がアーカイブズに残っているのが発見されるとか、奇跡は起こらないでしょうか。
最後に、まだDVD化されていない映画の発売をリクエストします。まずは、鮮明な画像で見たい「いのちぼうにふろう(放送あり)」、「股旅三人やくざ(VHSあり)」、「御用金(放送あり)」、「人斬り(VHSあり)」。そして、もう一度みたい「沈丁花」と「蝦夷館の決闘」。最後は、多分未見と思われる「蟻地獄大作戦」をお願いします。東宝さん、もっとDVD化を進めましょう。
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