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2012年12月16日 (日)

人生の特等席

Photo  ハリウッドの野球映画は面白い、ということを再確認させてくれる映画です。クリント・イーストウッドが、もう俳優はしないという節を曲げて出演しただけのことはあります。ともかく、快作です。スペクタクルだけでない映画の本当の醍醐味を味あわせてくれる作品です。娯楽作品の何たるかを再発見しました。おかげで、前日に見た「ホビット」の印象が消えてしまいましたゾ(笑)。

 この映画の巧さは、なんともならない結末が近づき、おい、おい、どうなるんだと観客を惑わせたあげく、ベースボール映画お馴染みの手法で、鮮やかな逆転満塁ホームランをかっ飛ばすのです。その爽快感はどうです。そのシンプルで圧倒的な心地よさに酔うのです。厳しい現実に向き合う観客に、アメリカンドリームもあるんだという夢を見せてもくれます。上司にも一矢報えます(笑)。劇場から出ると、ホルスターから銃を抜くポーズをしたくなります。おもわず、「映画って、本当に面白いですね」と言いたくなりました。

 それにしても、イーストウッドの出演映画は、ラストが鮮やかなイメージがあります。出世作の「荒野の用心棒」の鉄板のトリックから、「グラン・トリノ」のガンプレイなど、推理小説と同じで、あっと驚く幕切れが命です。そういう意味から言えば、原題の「カーブに難あり」とはなんと言うおしゃれなタイトルでしょう、しかも野球映画の真髄をついています。感心します。もっとも、邦題となると、いまの題名で立派と思います。これが、「トラブル・ウィズ・ザ・カーブ」なんていう題では涙が出ます。

 クリント・イーストウッドの素晴らしい演技に加え、、「魔法にかけられて」以来、ご贔屓のエイミー・アダムスが娘役で頑張っています。少し、できすぎの娘ですし、過去のエピソードなんぞは、とってつけた感がしますが、そんなことは、わずかな瑕疵です。この後味のよさには、変えようもありません。ただ一点、死んだ妻(の写真)は、スペース・カウボーイの奥さん役のほうがよいぞ。(すみません、あの夫婦に昔憧れた古きよき時代を感じてしまうのです。)

 最後に、このベースボールを題材にした作品は、「マネーボール」に対する、野球ファンであるクリント・イーストウッドのお答えのような気がします。かつて、リアリズムと称して悪漢におびえる保安官を描き、アカデミー賞を獲得した「真昼の決闘」に対して、敢然と敵を向かい撃つ保安官らの姿を描く活劇「リオ・ブラボー」を製作したハワード・ホークス監督のように。野球というのは、コンピュータじゃない、やってみるものだ、というアンチテーゼなのでしょう。

 まだまだ、この作品の後味の良さに酔っています。もう、そろそろ劇場公開も終わるようですが、今流行のアメコミの映画よりも、もっと多くの人に見てもらいたい映画です。一方で、早くDVDが発売されないかな、と思う私がここにいます(笑)。

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