ハンガーゲーム
「ハンガーゲーム」とは、近未来、ある独裁国家が12地区の支配維持体制のため、各地区の男女若者2名を選抜し、総勢24名の殺し合いを全国に放映するという大イベントのことです。人殺しを見世物とするなんぞは、なんとも悪趣味ですが、3部作の原作がアメリカでは大ヒットになっていると言うことですので、早速観てきました。まあ、古代ローマの史劇のSF映画化というぐらいの軽いノリです。
始まって、まず驚いたのが、くじに当たった妹に代わってゲームに志願する主人公の、主演女優の容貌が地味なことです。過去の作品の演技力を買われての起用のようですが、どうも、お顔が老け顔で・・・(失礼!)。妹の方が可愛い分、母親の態度もあったので、鑑賞中に、何か裏事情・裏設定があるのではないかといろいろ邪推しました。(全く、何も無かった・・(笑))
その上、この主人公は、女だてらに森で狩猟し、母子家庭の家計を賄う、しっかり者であるものの、その分可愛げがないという設定ですから、どうも感情移入に相当の努力を要しました。
もちろん、製作側としては、そんな女性が豪華な環境の中で、短い訓練期間を通じて、精神や戦闘力を磨かれ、そして極限状態の中で、勇気ある行動を示すことのよって、人々の共感を広げていく、・・・という、いわば一人の人間の成長譚とともに、一人の行動が大きなうねりとなって悪しき社会体制の崩壊と変革につながっていく、ということを描こうという意図なのでしょう。少なくても、冒頭の粗野なイメージの演出意図は見事に当たっています。
さて、選抜された24名は、首都に集められ、豪華な施設で訓練された後に、本番になるのですが、主人公が属する第12地区の二人の選手を支える、訓練スタッフを人間味もあるスペシャリストに描いており、面白い。なんといっても黒人のスタイリストがもうけ役です。
一方、私のご贔屓のハゲ頭の俳優、スタンリー・トゥッチが青い鬘をつけて軽薄な司会役を嬉々として演じています。ドナルド・サザーランドは相変わらずの存在感です。しかし、主人公をめぐる、いきなりの三角関係などは、次への展開なのでしょうか、正直違和感があります。もっとも、主人公もそういう疑念を持っていますので、続編ではどうなることやら。
まあ、当初の戸惑いが過ぎれば、なかなか面白く作られています。擬似自然でのサバイバルゲームの面白さをきちんと作っていますし、ややご都合的とはいえ、見せ場もいくつか用意し、殺し合いも最も嫌な組み合わせはさらりと別の処理をして、後味は悪くありません。その毒がない分、評価が分かれると思いますが、私は好きです。ラストのあっけない処理も、続編がある前提なら、しかたありません。次回に期待しましょう。
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