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2012年6月24日 (日)

スノーホワイト

Img_new  映画「スノーホワイト」が今話題となっています。題名のとおり、白雪姫のおとぎ話を映画化した作品なのですが、悪の女王役のシャーリーズ・セロンの演技が素晴らしいとの評判で、私の周りの映画好きの友人も結構高く評価しています。

 個人的な事情でいうと、毎度劇場で流される予告編を見過ぎて食傷気味だったのですが、ファンタジー映画とシャーリーズ・セロンのファン(マイティ・ジョーがひいき)としては、やはり銀幕で観るしかないという義務感から、遅まきながら劇場に足を運んできました。

 主演の白雪姫はクリステン・スチュワートが演じます。ご存じない方が多いかと思いますが、恋愛怪奇映画とも言うべき「トワイライト」シリーズで、吸血鬼に恋するヒロインを演じて人気が出た若手の女優です。
 そのほか、アメコミの映画化「マイティ・ソー」で主演し、一躍有名になったクリス・ヘムズワースが共演します。役柄は平民の猟師なのですが、実質上は真実のキスをする王子役なのですから、この辺りは現代風かもしれません。ディズニーの「魔法に魅せられて」と同じような趣向です。
 なお、古典的にいうなら本来、王子役であるべき幼馴染みの貴族も配役されていますが、いまいち影が薄いというしかありません。
 いや、それどころか主演の白雪姫自体も、その位置づけ、性格付けがよくわかりません。魔法の鏡が予言する、セロン女王を凌駕する美貌でもありません(失礼)し、長年の牢獄暮らしの中でも、何故か貴族の衣服や武芸も身に付けているうえに、巨大な獣のトロルや妖精、シシガミ(もののけ姫のパクリ)から当然のように祝福を受けるのですから、理屈にあいません。まあ、白雪姫はおとぎ話の設定がしっかりベースになっているのでしょう。

 それに比べて、悪の女王セロンは、まさにこの映画の真の主演者として、何故、この女王は悪の道に入ったのか、何故、人々を殺戮するのか、など、その過去の生い立ちが説明され、女王の心の葛藤を、演技派を目指すセロンが、美しい肢体、あるいは醜い老けメイク、カラスの羽のコールタール漬け(笑)の衣装などを駆使し、心の中の恐れや悲哀を熱演します。このあたりが世間の評価が高い所以です。

 ただ、映画が描き出し、セロンが演じる過去に関しては、虐げられた無数の庶民の無念さ、悲惨さと比較して、後々彼女が行う殺戮の動機とするには、あまり説得力を持ちません。それよりも、自らの美貌ゆえ、次々と征服王の愛人にされたという不幸を徹底的に描き出し、それゆえに魔術を学び、男どもに復讐する怨念をストレートに表現すべきだったと思います。そうであればこそ、美に執着し、自らの寿命延命のための殺戮を繰り返していく行動が理解できると思います。ファンタジーには、中途半端な恐れや後悔は不要です。悪はあくまで悪らしく、怪しくも美しい強烈な魅力を存分に振りまいて欲しいものです。

 また、お話も、アメコミのヒーロー「マイティ・ソー」としか見えない猟師と一緒に森の中をさまよい、やはりというか、ディズニーアニメそのままに七人の小人たちが登場します。ただ、この配役が凄い、有名(?)な脇役たちがSFXで小人に扮しています。もっとも、その俳優達の名は全く知りません(笑)が、「パイレーツ・オブ・カリビアン」などのA級映画で、それぞれ主要な脇を固めており、確かに顔に見覚えがある面々です。余談ですが、600円のパンフレットには、きちんとこの七人の経歴などを紹介して欲しいものです。名前の文字の記載だけでは物足りません。

 こうした白雪姫とご一行様の大冒険も、何故か時間が長く感じられます。退屈ではないのですが、イマイチ興がのりません。手に汗を握り、血沸き返る感動はありません。
 最後は、白雪姫を先頭にジャンヌ・ダルクのように、悪の女王の根城に攻め込む、悪を滅ぼすのですが、そんな予定調和の結末よりも、白雪姫と王子と猟師の三角関係がやけに気になりました。大団円の戴冠式では猟師の存在を暗示的に示しながら幕が下りるだけでした。あの長い、長いエンドロールの中で、その後の二人のエピソードの登場を期待しましたが、全く無駄でした。誠に残念です。 それに加えて、あの魔法の鏡が壊れなかったのも、お話としては、画竜点睛を欠くというものではないでしょうか。

 やたら長くなりましたが、映画としても、やはり上映時間140分は少々長いですネ。

2012年6月11日 (月)

最新T-レックス考

 恐竜の復元図は、最近、随分変化しました。なにしろ、ティラノサウルスを例に出しても、最新の復元された容姿は、ゴジラ型の垂直形から水平型になりましたし、レックスという帝王の名を冠する、獰猛な暴君竜という顔つきも、骨に皮を貼り付けただけの幽鬼のような姿に変貌しています。最大の肉食獣が、その威厳を失い、死肉食らいにおとしめられているせいかも知れません。どことなく顔が貧素なのです。しかも、羽毛まで生えていたという説もあるようです。恐竜へのロマンが失われつつあります。誠に、科学の進歩は残酷なものです。その最新科学に基づくTーレックスのモデルをご紹介します。

H246101_001 H246101_004  

 ・・・あんまり、格好良いとはいえませんし、この姿は、美しくもありませんので、多分、この復元図は間違いなのでしょう、と思います。創造の神は、美しいものを生み出すはずです。今後の更なる科学の進歩による復元を期待したいと思います。

2012年6月10日 (日)

小山 春夫

Img_0002_new_2 漫画に関する話題の続きとして、小山春夫という漫画家のお話をしましょう。
この方は、一般的にはあまり知られていないようですが、知る人ぞ知る、忍者漫画の草分けの一人であり、個人的にも大ファンなのです。とはいっても、実は、その作品のほとんどを知りません。昭和30年代後半に、少年キングに連載されていた「真田十勇士 猿飛サスケ」に登場する忍者たち、手足が自由に伸びるクラゲ、手足の無いみの虫、空を飛ぶカラスなど、異形の忍者に心惹かれたのがきっかけです。

 この作品は、数年前に復刻されましたので、懐かしさと質の高さに感激したところです。
 実は、この方は、それ以前に、山田風太郎の名作「甲賀忍法帖」を貸本で漫画化していたのです。そのときの風太郎忍法の影響がこの漫画にも色濃く出ていたようです。(もともとは、後年、山田風太郎の忍者小説に驚愕したために、この漫画を再発見したのかもしれません。) 

Img_new 数年前の同じ頃、お宝漫画ブームの火付け役の「まんだらけ」で、忍者漫画の特集号が出され、その中で、小山春夫さんが取り上げられておりました。おかげで、その作品群の全体像をやっと知ることが出来ました。

小山春夫作品の年表によると、昭和38年に「甲賀忍法帖」、同じ年に「真田十勇士 猿飛サスケ」を連載し、翌39年に、少年画報に「かくれ忍者伊賀丸」、そして少年キングに「虹の剣士」が始まっています。同時期に、少年マガジンで白土三平の「ワタリ」が連載されています。
 少年画報は確か月刊であり、首を切られた忍者がカラカラと笑っているシーンがあったことや、「虹の剣士」は、主人公がインドで修行した剣士であり、手裏剣などは跳ね返すような肉体の持ち主だった、ような記憶があります。
 結局、要はこんな記憶の断片がある、懐かしい漫画を再度観てみたい、という強い内からの欲求があるのです。・・・どんどん子供に帰ってきております(笑)。

 この漫画については、「復刻ドットコム」のシステムにも復刻を提案しているのですが、なかなか賛同が得られません。この方、時代とともに作風をかなり変えてきた人であり、私が観たいこれらの作品は、8マンの桑田次郎のアシスト時代の影響が見受けられますが、その後、白土三平氏のアシストに入り、「ワタリ」などを経て、すっかり劇画風に変貌しております。とても、同じ人の作品とはおもえません。こんなところも、作家としての印象が薄くなっているのかもしれません。

H24610_019  ところで、今回、山田風太郎原作の「甲賀忍法帖」全3巻のうち、やっと、第1巻と第2巻をオークションで入手しました。数年かかりました。もともとは貸本の中古本であり、状態はあまり良くないのですが、内容がほぼ原作どおりなのです。この原作小説は、映画や漫画で何度ともなく、取りあげられておりますが、もっとも早く漫画化した、この作品こそが真の傑作といえるような気がします。もっとも、まだ、クライマックスの第3巻を見ていないので、なんともいえませんが、そんな気がするのです(笑)。ともかく、復刻でも何でもよいから、早く観たいものです。皆さん、ぜひ、小山春夫先生の作品、甲賀忍法帖に加え、「かくれ忍者伊賀丸」、「虹の剣士」の復刻の応援をよろしくお願いします。

2012年6月 9日 (土)

GANTZ(原作漫画)

H2462_021_2 映画GANTZの原作である漫画を読みました。この作品は、なかなか長編で、単行本が34巻ぐらいまであるようですが、とりあえず、コミックレンタルを利用して、25巻まで読破しました。前半は、映画と同じような展開で、ねぎ星人やら、田中星人、仏像星人、そして、黒服星人が登場します。ただ、映画で黒服星人とされていますのは、原作漫画では吸血鬼なのです。この段階までで映画の方は完結しますが、漫画では、その後、恐竜星人が登場し、さらに舞台が大阪に移り、なんと妖怪星人が襲い掛かってきます。このあたりから、現実世界の人の眼にも映るようになってきて、人類とエイリアンの大戦争の様相を呈してきはじめます。25巻で、妖怪星人を全滅させるのですが、次なる大変動を予告しています。私にとっては、次の舞台は今後のお楽しみに、ということになります。

この漫画は、どうやら、主人公たちがゲームのように、様々な星人と戦っていくという設定なのですが、著者のSF映画好きの好みが色濃く反映されています。多分、吸血鬼映画がお気に入りなのでしょう、吸血鬼の弱点を利用した戦闘や吸血鬼に日本刀など、最近の吸血鬼が登場する映画の世界そのものです。さらに、その次が、ジュラシック・パークです。恐竜と人間の戦い、まさにハリウッド映画の真骨頂です。そして、大阪編では、大阪ヤンキーのメンバーと、百鬼夜行の世界です。妖怪のボスといえば、ご存知、ぬらりひょん。こいつを筆頭に、狐の妖怪、大天狗の3匹が、絵草紙の姿そのままの妖怪達の大軍を率いて、人間との妖怪大戦争となります。主人公と大ボスのぬらりひょんとの一騎打ちは、「ドラゴンボール」のフリーザとの戦いのリアル版、アダルト版となっています。

ただ、背景がCG作画というのでしょうか、写真のような細密画であり、どうも私のような目の衰えた者には見難いのですが、さすがに、青年漫画だけに、エロチックな描写や血しぶき、スプラッタの迫力はかなりなものです。
作者としては、著書で書いているように、ハリウッド映画化に向けた、映画並みのリアルさを持つ漫画を書いているようです。今、大人気の「ワンピース」と同じなのでしょうが、次なる戦いの場、設定がどうなっているのか、またの機会に楽しむことといたしましょう。

H2462_022 それにしても、コミックレンタルとは便利なものです。未体験の方にそのシステムをご紹介します。インタネットで申し込むと、写真のようなバックで宅配されます。読み終われば、そのまま返送です。ほんとに便利になりました。もっとも、気に入ったコミックは、どうしても自分で購入することも多いのですから、置き場に困っています。

メン・イン・ブラック3

Img_new 遅まきながら、「メン・イン・ブラック3」を観てきました。人気のシリーズの第3作目との触れ込みですが、第1作はともかく、第2作目の駄作ぶりを見ていただけに、劇場鑑賞を躊躇しておりました。もっとも、公開初日からこの時期までずれ込んだのには、もう一つ理由があるのですが、それはまた別の話です。

さて、このMIB3は、結論として、なかなか面白く作られています。シリーズの中では、最高傑作かもしれません。なにより、おなじみのリック・ベイカー流のエイリアンの造型が楽しめます。昨今のCG製のリアルな宇宙人ではなく、どこか懐かしい、いかにも、というオモチャ感覚の宇宙人の姿が、この映画の世界観を見事に表わしています。

そして、今回は、エージェントKを演じる年老いた?トミー・リージョーンズの出番を減らし、1969年の過去にタイムジャンプして、若き日のKと、相棒であるウイル・スミス扮するJが地球を救うというお話になっています。(KやJとは、エージェントの呼び名です、念のため。Oという女性の上司もいます。,)

最近、この60年代頃にタイムスリップするというお話が多い(?)のは何故でしょう? あれ、多くないかな? ともかく、この1969年という時代は、人類が初めて月に到着する歴史的な年であり、アメリカが最も輝いていた時代でもあります。映画も、当時の服装や生活模様などを見事に描いています。まさに、当時、アチラの雑誌の挿絵や写真などで見た、憧れのアメリカの中流家庭の情景です。今のアメリカ社会にとりましても、とりわけ白人の中流家庭から見れば、古き良き黄金時代だったのでしょう。
 しかし、一方で、黒人差別が堂々と行われていた社会の負の面もありました。そのことも、主演のウイル・スミスの登場シーンで、エレベーターの中で黒人に乗り合わせた白人(やけに色の白い俳優を使っています。)の差別意識をさらりと批判の眼を持って描いています。その点だけでも、単にお馬鹿映画と切り捨てたものでもないような気もします。

 今回のストーリーは、タイムスリップのお話を、やや因果関係がご都合ではあるものの、KとJの出会いをうまくまとめており、筋はきちんと通っています。まあ、使用する武器の今昔の落差や有名人のギャグは、それほど笑えませんが・・・。ともかくも、予想以上に、良く出来ており、劇場に行ったことを悔やむこともないし、俗世を離れて、夢の中の楽しい2時間でした。少し、褒めすぎかもしれません。

 ところで、最後に、この映画の題名は、「MIB 3乗」が正式名称なのでしょうか?。最近のパンフは、値段が高い割りに、日本名もはっきり書いてない。もうすこし、日本で公開する洋画の題名を宣伝の方には文化として大事にして欲しいものです。・・・「ぼくは日本一の洋画宣伝マン」とかいう方の本も出版されているようですが、自慢話よりも題名の付け方も含めて洋画文化を大事にして欲しいものです。

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