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2012年5月27日 (日)

GANTZなSF映画論

Img_0002_new 映画「GANTZ」を観て、原作の漫画を知りました。作者は、奥 浩哉さんといいます。正直なところ、この方の漫画は観たことが無いのですが、映画の何倍も面白いという声もあると、娘から聞きました。

さて、この漫画家が「GANTZなSF映画論」という新書を書いています。漫画家の映画評論とは珍しい、と読んでみました。

いやあ、驚きました。この先生(呼び方も変えますゾ(笑)。)の書いていることは、なんとも共感することが多く、大ファンとなりました。なにしろ、最近の映画評論の風潮は、エロでグロテスクな、悪趣味な三流映画をことさらに持ち上げて褒め称えるオタク的な評論家が幅を利かせており、まともな評論に行き着きません。もう少し、まっとうな映画評論が読みたいと思っていたところへのこの本です。ありがとうございました。

ということで、本の中で共感した点をいくつかご紹介します。

 まず、スターウォーズを評価していない、ということをはっきり明記している点が素晴らしい。スターウォーズ(後期)については、皆さん、何故か、遠慮しています。正直いって映画的にはまったく面白くありません。
 また、なにより、映画への「感情移入」ということを大事にされている姿勢も共感します。さらに、「キングコング」や「グエムル」などの作品名をあげての多くのご意見は、僭越ながら、ブログで書いていた私の思いを世界に向けて代弁してくれたような気持ちにまでなります。ただし、「ゾンビ」に関しては、人が人を食べる話がトラウマとなっている私とは、異なる立場ですが、これは仕方ありません。

SFと書いて、サイエンス・ファンタジーと読ませるという意見にも、目から鱗です。もっとも、「少し・不思議」と訳する藤子F先生もさすがです。

 なお、小生が未見の映画の紹介もありましたので、是非、近々観てみたいと思いますし、漫画「GANTZ」も是非、拝見したいと思います。
 ほんとに、本書は、最近になく楽しい映画評論でした。未読の方は是非お読みください。

SPEC 劇場版 

Img 「SPEC」というテレビドラマが放送されていたのは知っていました。最初から連続して観ていなかったせいか、主演の二人の掛け合いに違和感もあり、また、場面の意味自体がよくわかりませんでした。なにしろ、超能力者のドラマとは思っていませんでしたから・・・。
 しかし、終盤、時間を止める超能力者「一 十一」の氏名を「ふたまえ じゅういち」と読ませ、しかも縦書きで超能力の「王」とかけたのが、なんとも気に入ったところへ、その時間を止める能力者へ対抗するために、毒の雪を使った作戦、さらには、スペシャル番組として放送した「解決編」で、すっかり嵌ってしまいました。

一旦はまると、もう天地がひっくりかえります。主演の二人の暴力的な掛け合いも、汚い言葉も、くだらない台詞も、餃子の馬鹿食いも、逆に新鮮で麻薬のように私の心を蝕みます。この主演の女優さんは、まったく好みのタイプではないのですが、劇中の天才的な頭脳にもかかわず、服も着替えない、餃子の口臭をふりまく不潔な雰囲気という設定が、腐った果実のごとく魅力的に思えるようになったのですから、本当に不思議です。
 また、様々な超能力者が登場するのですが、そのくだらない所作、不真面目な台詞、そして漫画チックな奇想天外な能力、この赤塚不二夫並みのギャグセンスが見所です。未来を占うレモンかじり、瞬間移動の「クェ」の所作など馬鹿馬鹿しい限りです。極め付けは、主演の女刑事のスペックです。死んだ人間を床から召還し、その超能力を遣う、最強の超能力です。よくぞ、こんな馬鹿げた能力を考え出しました。立派です。さすがにあの、「トリック」シリーズの監督です。

 さて、本題の劇場版「天」は、TVのスペシャル版「翔」の続きですので、起承転結の承の次の展開の転にあたるということです。そして、まさに、映画では、新たに「ファティマの預言」などという、人類の最後の審判ともなる試練を、TV版とは異なる壮大?な大風呂敷を広げております。しかも、ラストでは、崩れた国会議事堂などの風景を映し出し、新たなキリストの出現などを暗示しながら、次回作の結=解決編へつなげております。まるで、マトリックス2のごとく、なんとも中途半端な、あざとい作品といわざるを得ません。マトリックス3のような竜頭蛇尾に終わらないことを祈っています。

ということで、この劇場版は、最終編に向けた新たな設定の紹介という内容です。セットのつくりや映像のレベルも、劇場ではなく、DVDで見たほうが良かったような気がします。この堤監督の「20世紀少年」を期待してはいけません。トリック劇場版と同じように、SPECは、小さなテレビの画面の方がよりその魅力を際立たせるかもしれません。
 また、次回作は、結ではなく「欠」とのことで、製作しない旨のコメントもありますが、結局は宣伝なのでしょう。正直、次回の最終作の腕前拝見という気持ちでいっぱいです。

 それにしても、この写真のパンフレットは、内容から言って、800円は高すぎます。せめてTV版の超能力者を紹介するのなら、写真も載せてくれ(笑)。

2012年5月26日 (土)

ステキな金縛り

Img_new 公開当時、劇場で観ることができなかった「ステキな金縛り」のDVDが発売されました。三谷幸喜氏が脚本と監督した映画です。最近、映画化した作品が、私の中では今ひとつ納得できないものでしたので、この映画にも、期待を裏切られるのではないかとという不安と恐れがありました。が、杞憂でした。快作です。
 冒頭のハリウッドのコメディ映画を彷彿させる、こじゃれた横文字のタイトルロール。これは、最後のエンドマークで笑いになります。アリバイの証人が落ち武者の幽霊という奇想天外な設定の上に、十八番の法廷喜劇ということですから、面白くないわけがないではないですか。もっとも、低調だった直近の映画は、ギャング、ホテルといったハリウッド映画そのままの舞台だったことが、なんか笑いのリアリティに欠けていたように思います。というのも、この作品でも、殺人現場の洋館のシーンは、やっぱり、微妙に外れて、山本耕史と竹内結子の大げさ演技にもかかわらず笑えないことと同根かもしれません。しかし、日本的な山奥のしかばね荘の描写になると、ひなびたバス停の場面から可笑しいのですから、土着的なリアルさが笑いを呼び起こしているような感がします。

 ともかく、話は、幽霊の証言をめぐる笑い、そして、切れ者検事、法廷画家などに加え、犯人側に雇われた祈祷師、ハリウッド映画の定石である死後の世界の官吏、そして最後はやっぱり殺された被害者の幽霊の登場など、三谷喜劇らしい、なかなか凝った筋書きです。

 それに加えて、登場人物の豪華なこと。三谷喜劇の大物常連がワンショットぐらいでオールスター出演しています。さすが、三谷幸喜の看板は大きいものです。今回は、三谷調とあわない感じがする役者さんが出ていませんでしたので、劇の流れはスムーズでした。

Img_0001_new_0001  思えば、「笑の大学」の劇は、映画の数倍面白いのですから、適役というは、確実にありますなあ。嘘と思うなら、写真のパルコ劇版のDVDをご覧ください。本当に、同じ本(ホン)かと思うほど違います。

 最後に、三谷監督からのオマージュとも言える、キャプラ監督の映画を再見したくなりました。(ほんとうに、小日向文世の官吏は似合っている。)

 ともかくも、三谷喜劇の復活です。私が言うことではないですが、三谷ファンとして安心しました。 

2012年5月19日 (土)

ダーク・シャドウ

 お気に入りの映画監督ティム・バートンの新作ということで期待していました。「ダーク・シャドウ」は、なんでもアメリカのゴシック系の昼ドラ(こんなジャンルがあるとは知りませんでした。)が本ネタのようですが、予告編などを見る限り、毒のある気の利いた台詞やとんちんかんなギャップの設定を生かしたバートン流の怪奇趣味に溢れたブラック・コメディと思っていました。

 しかし、私の期待と予想はまったく外れてしまいました。鑑賞中ずっと、このお話は何?なんで?どうして?と悩み続け、結局、一度も笑えずに幕が下りました。

 バートン監督の最近の作品、例えば、猿の惑星、狂気の床屋など、どうも納得できません。今回も共感できません。かつての奇想天外な才気と悪趣味とぎりぎりの線を隔した趣味の良さなどを喪失したようです。そのせいか、予告編での台詞のおかしなニュアンスは、本編ではまるで感じられませんし、折角の吸血鬼、魔女、狼男、幽霊というファンタスティックな設定も生かせず、救いようの無い展開でした。

 結局、この作品に関しては、パンフレットも買うことはありませんでした。ジ・エンドです。

2012年5月 4日 (金)

テルマエ・ロマエ

Img_0001_new 右の写真をご覧ください。600円で購入した「テルマエ・ロマエ」のパンフレットを写したものです。説明しないと皆目内容がわからないシロモノです。宣伝よりも、いかにも古代ローマの時代考証にこだわっているという気概が伺えます。
 ご存知のように、原作は、最近、大人気となっている漫画です。原作者自身が言っているように欧州在住だった売れない漫画家の生活が一変した大ヒット作品です。
 内容は、古代ローマの浴場の設計者が現代日本にタイムスリップして、その経験を生かして新趣向の浴場を作るという突拍子も無いお話なのですが、お風呂文化の違いを通して日本と西洋の文明批評にもなっていると高い評価を得ています。私も、単行本を何冊か読みましたが、毎回完結のお話であることから、ややパターン化しているような気もしておりましたので、実は映画館に足を運ぶかどうか、悩んでいました。ましてや、日本人の阿部寛が古代ローマ人役?、新劇の赤毛モノじゃあるまいし、という気分も相当にありました。

 とはいっても、この連休、ほかに観たい映画も少なく、本日、そう大した期待もなく、観てきました。その感想はというと、お面一本、参りました。これほど笑ったのは久しぶりです。漫画のエピソードを巧みに生かしながら、うまく映画化をしております。なにより、感動したのが、セットの見事さと画面のリアリティです。くだんのパンフレットによると、イタリアのチネチッタ撮影所を借りて、広場の雑踏のシーンなどの撮影をしたとか、まったく手抜きがありません。見方によると、こんな馬鹿げた設定のドラマに、本気でリアリティを追求した絵作りです。監督と美術担当の方に最大級の敬意を捧げたいと思います。
 その冒頭のシーンで、阿部ちゃんが登場します。金髪でもなく、赤毛でもなく、ほぼ普通のメイクなのですが、周囲の外国人と混じっても、全く違和感がありません。阿部ちゃんの存在とそれを見抜いてキャスティングした監督さんに脱帽です。聞けば映画「のだめカンタービレ」の監督もされたということですが、あのときの某俳優の付け鼻、金髪鬘の反省があったのではないか、と思います。ともかく違和感がないのが驚きでした。なんか、映像の色まで濃いですゾ。逆に日本のシーンは、色まで平たい感じ(笑)です。

 さらに、ローマの大浴場のシーン、多分、腰に巻いた布以外は、建物の巨大さや湯煙など、本当に古代ローマの雰囲気が良く出ています。どこでロケしたのかと思っていたら、なんと、川崎の体育館に巨大なセットを組んだとのこと。美術担当の方を尊敬します。素晴らしい。
 もうこの冒頭の辺で、私はすっかりこの映画の大風呂敷の魅力に惹きこまれました。あとは、その心地よい湯船に身をまかせるだけでした。阿部ちゃんの独白もユーモラスであり、様々なエピソードもその大真面目な演技が笑いを誘います。お花畑の演出なども好感をもって笑えます。
 そして、なにより抱腹絶叫で、これだけは是非特筆しておきたいのが、タイムスリップのシーンです。オペラを使ったあんな見事なタイムスリップはかつてありません。この演出だけでも見る価値があります。しかも、使用した歌は、世界三大テノールの一人、ブラシド・ドミンゴ(全然知りませんが、世界的な方らしいですゾ。)の歌だそうです。断られるのを承知で依頼したところ、快諾されたとか。製作陣の意気込みを感じて、・・・一邦画ファンとしては感激します。

 加えて、平たい顔族の出演者の面々を、よくぞ探してきました。知っている人も居ますが、ほとんどが素人と思いました。それだけユニークな顔立ちの方々ですが、みなさん役者さんとか、なんか、かえって驚きました。これもキャスティングの妙なのかもしれません。

もう一つ、最後のオチがいい。「すべての道はローマに通ず。」・・・原作にあるのかな?タイムスリップにつなげるとはおしゃれじゃないですか。

ということで、騙されたとおもって、未見の方はご覧ください。絶対、笑えます。これはお約束できますぞ。

2012年5月 3日 (木)

サイクロプス

H2453_0031 模型塗装の再開の第3弾です。これで、下準備していたキットも終了です。
 今回は、またもや、レイ・ハリーハウゼンの「シンドバット7回目の航海」に登場する「サイクロップス」です。一本角(二本角のタイプもあります)と獣の足を持っている、一つ目の巨人です。これまで、このモンスターを何体塗ったことでしょう。塗りなおしを除いて、少なくても、5体の模型があります。半魚人とほぼ同時期(ひょっとしたら、半魚人よりも早い時期のような気もしてきました。)に塗装に挑戦したような気がします。そのときのキットは、もう随分前に塗り直しています。古い写真が残っていましたが、とてもお見せできるようなモノではありません。ペンキを付けているといったシロモノです。それと比べると、独学でしたが、少しは進歩したようにも思います。

H2453_0022  今回のキットは、メーカーはわかりませんが、米国のレジン製で、初めからドールアイの目玉がはめ込まれています。この目玉と太い腕のデザインに引かれて購入しました。また、レジン製のデッキを模したような丸い台座も付いていましたが、例によって、シンプルな木製に代えました。
 一番困ったのが、体色の一種の黄土色の塗料を作るすべを失念していたことです。そこで今回の塗装手順をメモしておきます。
 ①ラッカーのオレンジとイエローをエアで吹きます。②さらに、その2色にブラックを少々加え、シャドウを吹きます。③ブラウン+ブラックをさらに吹きます。④その上で、つや消しクリアを吹きます。⑤ここから、エナメルのクリアオレンジを筆で塗布します。⑥さらに、エナメルのクリアイエローをエアで吹きます。⑦スモークとクリア2色(オレンジ、イエロー)の混色を体表の筋に筆で流すようになぞります。⑧最後につや消しクリアを吹きます。

ここまでの手順で、はたと気がつきました。全体のオレンジ色が強すぎました。まるでおもちゃ色(?)で、リアルに見えません。そこで、起死回生の手段です。⑨エナメルのつや消しホワイトを薄めにして、遠方から、エアで吹き付けます。一箇所に集中しないように細心の注意をして・・。これを実際は、2回ほど実施して、やっと写真のような色目に落ち着きました。反省するのは、一番最初から基本色の確認と点検をきちんと計画的に行うべきでした。⑩なお、この間、歯やツメをエナメル(ホワイト+クリア2色)で、口の中もクリアレッド&オレンジで筆塗りです。・・・いやあ、この手順も、足掛け3日かかりました。

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