あしたのジョー
「あしたのジョー」を封切日に見てきました。私は、原作の漫画が少年マガジンに連載されている時代を生きてきた世代ですので、正直、何故、この名作漫画を映画化する必要があるのか、はなはだ合点がいきませんでした。一緒に観に行った女房殿は、アニメ化したTVがひいきですので、それほど実写化には抵抗ないようです。さらに、娘に至っては、力石徹役の伊勢谷友介の大ファンですので、今回の映画出演に当たって鍛え抜いたことにいたく感心している模様です。
さて、映画自体は、予想以上に、よくできています。まず、驚いたのが、いわゆるドヤ街のセットです。泪橋から土手、木造の崩れかかったような宿屋の通りなど、見事にリアルに仕上がっており、色彩を抑えた撮影手法とあいまって、なかなか感動します。冒頭、「あしたのジョー」のタイトルがあのアニメの主題歌に乗って、画面に出た瞬間に引き込まれました。
ストーリー自体は、有名で膨大な内容ですので、2時間に押し込めるには止む得ない仕儀とは思えますが、細かなエピソードを徹底的にそぎ落とし、見せ場をつないでいったという印象です。
この映画の見所は、矢吹丈と力石徹の二人の関係に絞り込んだつくりになっていることもあり、主演の二人の役者の競い合いです。この若い主演の二人は、日本映画の俳優とは思えないほど、ハリウッド映画並みに役柄に取り組んでいます。その証拠が徹底して絞り込んだ体です。ハリウッド映画と違うのは、出演料の代わりに、出演への意気込みが原動力なのでしょうか、見事な仕事に向かう姿勢です。天晴れです。
とりわけ、娘の期待通り、伊勢谷友介は本当に力石役にぴったりです。体も本当によく作っています。あの減量した体がCG無しとは驚きです。ジョー役の山下智久も体を張って頑張っています。意外に適役だったと言っても良いでしょう。しかし、声は、アニメのあおい輝彦の方がいい。(これは妻の意見です。)それに、丹下段平役の香川照之が良い。あの漫画そのままの扮装で頑張ります。この人、ホントにカメレオン俳優です。
そのほか、白木葉子役以外の俳優さんたちは、脇を固める俳優や子役、対戦相手を演じた元ボクサーなども素晴らしい出来です。ともかく、この映画は、出演者たちの努力の成果であり、丁寧に作り込んだ演出の賜物です。こんな映画が日本でも製作出来るようになったことに改めて感心しました。是非、ヒットして欲しいものです。今夜は、久しぶりに、原作漫画でも見ようかな。
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