インセプション
いま話題の超大作SF映画「インセプション」を見ました。ストーリーが難解とかいう意見もあるようですが、なにせ、コミック映画の格を一段あげた「ダークナイト」の監督、クリストファー・ノーランの作品ということに加え、予告編での都市全体が折り曲げられる映像の凄さに魅せられ、劇場に足を運びました。
ストーリーは、夢の中に誘い、その潜在意識から秘密を盗み出していく産業スパイたちが暗躍する近未来のお話です。
タイトルの由来は、夢の中には進入できても、人の潜在意識にアイディアを作為的に植え付け(インセプション)ることは、できないとされており、その不可能な作戦を実行しようとするプロたちの物語から付けられています。
潜在意識を解明するために、何層もの深層心理の世界に潜っていく、そのための仕掛けやトリックをあらかじめ施すのです。この辺が、数人のプロフェッショナルが集まる雰囲気は、「スパイ大作戦」に酷似しています。ただ、デカプリオ扮するリーダーは、ある心理的な秘密を抱えており、それが、夢の中の作戦遂行中に、様々な妨害行為として現れます。それがスリルとサスペンスにもなるのです。
しかも、相手も、潜在意識への防護を心理的に訓練しているという設定であり、夢の中ですので、それこそ荒唐無稽なレベルで、しかしリアルな戦闘が繰り広げられます。(異物に対する白血球の免疫効果のようなものです。)ホテルの廊下がくるくる360度回転し、その空間で格闘するシーンは、往年のフレッド・アスティアの名場面の最終進化形というものでしょうか。
ただ、時間が160分と長すぎます。鑑賞途中ですっかり劇場という夢空間から現実に引き戻される場面も何回かありました。・・・映画を見た人ならわかる楽屋落ちですが、バンの落下スピードも遅いし、同じような場面の繰り返しも多いし、何回か、すっかり夢から覚めました。
そしてラストは、やはり予想通りというか、駒は回り続きます。
もっとも、話自体は、宣伝でいうほど難解でもなく、いわば電子頭脳が作り上げた仮想世界「マトリックス」と同じような仕組みです。それが、人が設計した夢の世界になり代わったような単純なものです。同じ監督の作品「メメント」の方が難解で、かつてDVDで見たとき、あまりのくどさというか、何回さ、から途中で視聴を断念した記憶があります。これを機会に、もう一度、じっくり見てみましょうカ。
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