ソルト
アンジョリーナ・ジョリー主演のアクション映画「ソルト」には期待していました。前評判でも、かつての能天気な冒険映画ではなく、新たな境地などと噂されていましたし、劇場の予告編でもなかなか肉体を酷使するようなハードなシーンは迫力がありました。
冒頭、北朝鮮での拷問シーンから、うーん、なんか違うなあ、という違和感が生まれ、ロシアの大物スパイの告発から二重スパイという疑いを持たれるのですが、その過程があまりに大雑把で、どうも付いていけません。第一、あまりにアメリカ当局の捜査官が敵を信用しすぎるのです。なんの裏付けも推理も働かせません。最後になっても、あれだけの物的証拠がありながら、大物の証言も得られるはずなのに、ソルトの立場は全然変わらないのです。そのまま逃亡者かよ、と言いたくなります。
一方、主人公「ソルト」の行動も、なんかよくわかりません。まあ、世界的なクモ学者の夫を助けたいという一心だったとはわかりますが、結果として何の手助けにもなりません。夫役は個人的にはあんまり好感の持てる俳優でもないのですが、それでもあの扱いはひどい。見ていて気分が悪くなります。
しかも、どんでん返しのラストは、やっぱりという黒幕ですし、それ以上に、いまどき、ロシア大統領の暗殺や核兵器の使用などを、本気で実施しようとするようなストーリー設定にはほとほと呆れます。ましてや、かつて、ソ連にあった、幼い子供達に徹底した訓練を行い、特殊工作員を養成する機関が、何十年もたった現在、行動に移ったというお話です。どうも、リアリティがぜんぜん感じられません。
ソルトが、血だらけで、いかにも痛そうなアクションを演じているので、それはそれで評価したいのですが、総合的に、後味の悪さも含め、結論として、この映画の評価は、「微妙」ということになりました。
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