座頭市 THE LAST
何故、いまさら、こんな「座頭市」が製作されたのでしょうか。カツシンの座頭市ファンとしては、許されない思いです。本当に怒っています。
カツシン亡き後、たけしの「座頭市」や女座頭市が映画化されましたが、いずれも、カツシンとは違うアプローチではあるものの、居合いの凄腕であり、世の中のアウトローという座頭市という存在の基本はきちんと押さえて、なかなか好感の持てる作り方をしておりました。
しかし、今回のカトリ版の座頭市は何でしょうか。居合いの名人でもなく、(普通のやくざ・三下にあちこち斬られるような腕では名人とは言えません。)ましてや、女房を持つなどというスタンスでは、基本がまったく違います。そのうえ、すぐに新妻が斬られるというストーリーが酷い。多分、この脚本家は、「座頭市」に何の思い入れも無く、興味も無かったのでしょう。いや、それどころか、時代劇も渡世の掟も知らないのでしょう。
そして、余りにめちゃくちゃな殺陣シーンは、どうみても体力任せの「紋次郎」の殺陣です。美しさも鋭さもスピードも無い、最近では珍しいほどの最低・最悪の殺陣です。これほど工夫の無い殺陣はそうないでしょう。CGでも使えば、その意欲が買えるのに・・・。雪の中で寒かったから凄いでしょう?的な、プロダクトアウト的な殺陣です。見ている観客には何も伝わりません。マンネリ化した立ち回りのうっとおしさだけですな。
最後に、この映画の監督は、何を考えているのでしょう。延々と冗長的に、思い入れたっぷりな無意味な映像を積み重ねて、あげく・・・THE LAST。出演者すべでがミスキャストです。よく、一流の皆さんが、あんな役で出演しましたと思いました。もっとも、こんな座頭市映画を見せられる時代劇ファンも酷いものです。ともかく、上映中に、おもわず「面白くない」と独り言を言ってしまいました。こんなの初めてです。 普通、面白くなかった映画の場合は、パンフレットを買わないのですが、今回は買いました。こんな座頭市を作った製作陣の暴挙を長く記憶しておくためです。写真は、そのパンフレットの裏表紙です。・・・おりしも、DVDで三隅研次監督の「座頭市暴れ火祭り」が発売されています。仲代達矢も出演しております。口直しにDVDを見ましょうか。
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