ミレニアム
昨年の海外ミステリー小説の中でも、ダントツに面白かったのが、「ミレニアム」でした。既に映画化もなされているようですので、今後楽しみです。この小説は、北欧が舞台で、新しいヒロインを生み出しました。一見、知的障害があるようにも見え、全身にタトゥー(刺青)をした、やせっぽっちの女、実は、ハッキングの天才で、凄腕の情報屋という設定です。それに、ミレニアムという出版社の記者が絡んでいきます。
しかも、この小説は、現在6巻出版されており、3部構成となっております。第1部は、上下2巻に分かれており、ある大企業の一族に起こった事件を過去に遡って調べていくというストーリーです。雰囲気は、まるで、北欧の横溝正史の世界です。隔絶されたような地域で、少女が消えた状況を調べていくうちに、一族のどろどろの葛藤をはじめ、密室の条件、古い写真の謎など、本格的探偵小説の様相を見せます。獄門島や女王蜂の世界です。すっかりうれしくなって読んでいると、さすがに西洋の猟奇性はケタが違います。驚いてください。
この第1部で、主人公のヒロインが登場します。そして、第2部以降は、このヒロインをめぐって、様々な過去との出会いやアクション冒険小説風に変貌します。西洋版西村寿行という雰囲気でしょうか。ともかく、このヒロインが強いのです。そして、悪役も強烈な個性を見せます。本当に、映画に打ってつけの素材です。
私も夕方から読み始めて、余りの面白さに、ついに止めることができず、朝午前5時ごろまで読みふけった記憶があります。もっとも、それでも終わらず、いったん睡眠をとった後、ついに最後まで通しで読み続けました。本当に、「かっぱえびせん※」小説でした。(※注:おいしさのあまり、途中で止められないというスナック菓子のCMのコピー)ぜひ、読んでお楽しみください。映画の公開より前に、原作小説のお話でした。
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