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2009年11月29日 (日)

高山良策造型(その1)

このブログでも、何度も取り上げていますが、高山良策という造型家がいました。この方は、ウルトラQやウルトラマンの創世期の怪獣の着ぐるみを作り続けました。デザインは、別の人間なのですが、高山氏のつくる怪獣たちには、命が吹き込まれています。当時は、まだ優れた新しい材料もなく、昔からある素朴な素材で作っていたようですが、彼の手になってこそ、生物感あふれる、歴史に残る怪獣たちが生まれました。その証拠に、後年、同じデザインで作られた怪獣たちが、なんと無様で、不恰好な着ぐるみとなったことか、皆さん、誰でも思うことではありませんか。

特に、ビリケン社から発売されていましたウルトラ怪獣達の模型キットを制作してみると、そのオリジナルの凄さが良くわかります。ビリケン社のソフビのキット自体が大変良く作られていることもあって、本来の高山造型の凄さ・見事さを痛感するのです。

Dscn91721 以前にご紹介しましたように、ビリケン・キット「ベムラー」を作りましたが、それ以来、ビリケン・キット作りの面白さと高山造形美の世界に病み付きです。

Dscn92341 今回は、「レッドキング」です。ビリケンキットで、その体型のボリュームの大きさに圧倒されます。腕も太い、首も太い、そして、ゴムチューブを体中にまきつけたような生物にあるまじき肌をしてます。そして、全体的には爬虫類系のキングコングか、あるいは怪獣プロレスラーというイメージです。しかも、頭は小さく、よく見るとサルのような顔です。意外なことに、初代のレッドキングは、つぶらな黒目なのです。(白目がありません。)また、見方によっては、頭に昔の乳母の帽子のようなデゼインです。いやあ、この生物らしからぬデザインは、デザイナーの勝利ですが、そのデザインをリアルなものに創り上げたのは高山氏の功績でしょう。Dscn92361 Dscn92291 Dscn92311 それにしても、このキットは塗装に苦労しました。初代の体表は、青色系なのです。白くさえ感じます。しかも、金色も混じります。(名前とのギャップが大きいゾ。)手順としては、ブルー系とイエロー系で吹き分けながら、クリアーのイエローを筆塗りしました。まあ、こんなものでしょう。

さて、次なる高山造型への挑戦は、「アントラー」です。実は、こいつは、デザインは全く気に入りませんが、角や甲冑の生々しさの魅力に惹かれての選択です。すでに、キットの組み立て(素組み)まで終わりました。では、高山良策氏に見習い、製作過程の紹介です。Dscn92431 Dscn9221 (おまけにレッドキングもどうぞ。)

その2の続編をご期待ください。

2009年11月22日 (日)

2012

ローランド・エメリッヒ監督の「2012」を観てきました。劇場はなかなか混んでいましたので、多分この映画はヒットするでしょう。

Photo 映画は、予想していたとおりのCGを駆使した、大災害映画です。それ以上でもそれ以下でもありません。ともかく、「インデペンデンス・ディ」、「(ゴ)ジラ」、「ディ・アフター・トゥモロー」と、度派手なスペクタクル映画が持ち味のこの監督らしい内容です。宇宙人、怪獣、氷河期に続く、「大異変」です。その原因は、マヤ文明の予言にある、惑星直列による太陽の大活性化が、地球に降り注ぐニュートリノを変化させ、それが地核を溶解させるというもので、地球をレンジに入れたような状態になる、というものです。その結果、地殻(大陸)が移動し、大噴火や大津波が起こり、地球が滅亡するという、手の込んだ滅亡理由になっています。が、それは、単なるお話の前提であり、ともかく、破壊のシーンが畳み掛けてきます。最初の予兆である、道路などの地割れのシーンもドキッとしますが、とこかく、逃げる主人公たちを襲う、地面の陥没、ビルの破壊、火山弾の襲来が物凄い迫力です。何も知らない(政府から知らされていない)一般市民の主人公たちが、逃げるわ、逃げる、主人のリムジン車、飛行機を使ったアクションは、もうほとんど漫画の世界です。まあ、肩の力を抜いてごらんください。高熱の火砕流の中からも平然と逃げ延びます。それに、世界の名所が派手に破壊されます。残念ながら、日本は、あっというまに沈没です。それも単にモニター紹介です。

以下、映画の未見の方は、読まないでください。映画のオチも触れています。

 ただ面白いと思ったのは、一般人の主人公グループと、米国大統領の側近の主人公の両面から、描かれていることです。スピルバーグの「宇宙戦争」のように、まったく全体のストーリーがわからないのはいけません。やはり、映画観客には、世界全体の状況をきちんと説明すべきです。

 それにしても、最後には、一般人の主人公たちが偶然と執念で、「ノアの箱舟」に密航してしまうという、エメリッヒ監督ならでは、の荒芸には、驚きを超えて感心します。しかも、その密航のために乗員全員が死の危険に晒されるのに、最後は感動ものにすり替えてしまうのですから、やはり豪腕の演出です。

ところで、この脚本の設定には、現在の人種問題や世界情勢の中での国の立場などをよく書き分けているなどと、パンフレット(写真:700円)に「深読み」がまことしやかに書かれていますが、本当でしょうか?エメリッヒ監督は、そんなことはどうでもよさそうですよね。興味のある方はお考えください。そのキーワードは、黒人、WASP、インド、中国、チベット、日本の扱いなどだそうです。

しかし、それにしても、伝統(?)の隕石襲来映画のアルマドゲンという「地球最後の日」のイメージがあって、避難するのは宇宙船とばかり思っていました。あの「ノアの箱舟」だったら、あれだけ世界国家が一致協力しているのなら、もう少し別の「施設」の建設のアイディアがあったのではないかと思いますナ。なんか、やっぱり、最後が竜頭蛇尾、まさに大山鳴動して、鼠一匹、いや3隻か(笑)。

2009年11月 8日 (日)

カマキラスⅡ

「カマキラス」の再塗装が完成しました。ついに、目玉の複眼模様は断念です。結局、大きな目は、シルバー塗装にそのままクリアのイエローとオレンジ処理です。いまいち、迫力が出ません。また、手足(?)の付け根に生えている「毛」処理も断念です。この「毛」処理が無ければ、あの映画映像のような生物感というか、リアリティが生まれないことは承知していますが、植毛を施す時間と工夫が思いつきません。今後の課題にしたいと思います。ということで、とりあえず、暫定的な完成です。Dscn9194_2 Dscn92191 Dscn92111 Dscn9210                  

ちなみに、最初の写真は、このキットの箱です。日本語が書いてありますが、いかにも、アメリカの個人メーカー製という雰囲気が漂っています。説明書も英語でさっぱり読めませんでした。

火星人

かつては、宇宙人といえば、火星人でした。なにしろ、SF小説の生みの親である、H.G.ウエルズの「宇宙戦争」以来の伝統です。もっとも、最近は、宇宙科学の進展に伴い、火星に高度な生命体が存在することにリアリティがなくなったため、ほとんどの宇宙人は、銀河系以外のはるかかなたから襲来するようになっています。 

しかし、オールドSFファンにとっては、やはり「火星」に特別な思いがあります。「マーズ・アタック」を製作した某監督の思いにも似た感情でしょうか。なお、最初に「宇宙戦争」を映画化した1950年代の作品に登場する「マシン」は、その秀逸なデザインから、いまだに人気が高いことは、以前にこのブログでもご紹介しましたが、またもや、新しい模型商品が発売されています。つい、買いました。(困ったものです。)Dscn9023 Dscn9024

さて、「惑星アドベンチャー スペースモンスター襲来!」という50年代に製作された、B級SF映画があります。原題は、「INVADERS FROM MARS」となっており、火星からの訪問者というものです。まさしく、火星人の襲来モノです。この映画、わが国では、VHS時代に一部レンタル版がありましたものの、長年幻の映画となっていましたが、最近、やっとDVDが発売されました。内容は、本当に、B級映画の典型であり、登場するモンスターは、ハロインの仮装のようなお粗末なものです。しかし、当時は冷戦の中でもあり、悪夢のような赤狩りの時代雰囲気が色濃く反映されており、例えば、知人が別人に変わる恐ろしさ、そして、不気味な「丘」の風景などは、偶然の演出結果にしろ、特筆すべきです。さらに、もうひとつ、火星人のデザインが秀逸なのです。大きな頭の人間の顔を持った饅頭に触手がついているような異形の体が、透明な球体に包まれているのです。映画雑誌の掲載写真で見たときは、そのユニークさになんとも感心しました。当時は、映像を見るすべもなく、透明球体が空中を浮遊する場面を想像したものでした。しかし、実際の映像では、召使のモンスター二人がそのカプセルを手で運ぶのです。(唖然としました。)しかし、この火星人のデザインのユニークさをいささかも損なうものではありません。スピルバーグ(製作のみ)が再映画化した際の失敗の原因の第一は、この火星人のデザインを変更したためでしょう。・・・出来自体、悲惨なものでした。

ところで、このオリジナルの宇宙人をキット化したつわものがいます。メーカーは不明ですが、多分、アメリカの個人的なガレキ・メーカーだと思います。ヤフー・オークションで、思わず衝動買いをしてしまいました。透明カプセルがチャッチイですが、キット化した熱意に脱帽します。ではご覧ください。なお、高さは、土台を含め、10cmぐらいです。Dscn9193 Dscn92011 Dscn92071

いやあ、透明カプセルが照明の光を反射して、なかなか良い写真が取れません。・・・しかも横から見るとさらにチープに写ります。(まあ、こんなものですか・・)

塗装は、シルバーをベースに、クリアイエローを吹き、次にクリアオレンジで陰影をつけています。最後に、クリアブルーで、映画映像のように、緑系の照明を真似てみました。いかがでしょうか。

2009年11月 3日 (火)

濡れ髪牡丹

最近、市川雷蔵の作品、それも、「濡れ髪」シリーズがDVD化され、発売されました。このシリーズは、確か5作ぐらいありまして、一話、一話それぞれ違うお話で、共通するのは、「濡れ髪」というタイトルと、雷蔵が主演の、喜劇的な、勧善懲悪の娯楽時代劇ということです。悲劇的な話や虚無的な佇まいが似合う雷蔵にはめずらしく、非常に喜劇的な要素の強い物語です。

Img 「濡れ髪牡丹」は、このシリーズ屈指の傑作で、私が唯一DVDを購入した作品です。ストーリーは単純で、京まち子扮する、独り身で美人で腕も立つ女親分が、花婿さんを募集し、その試験にチャレンジするのが、腕八丁口八丁の旅人、市川雷蔵扮する主人公なのです。この旅人は、剣道などの武道をはじめ茶道、算術、忍術などあらゆる分野の免許皆伝というスーパーマンという設定で、花婿試験の段階から笑わせてくれますが、そのうち、男嫌いの女親分も、心憎からず想うようになり、という典型的なお話で、雷蔵と京の二人のかけあい漫才を楽しめばよろしい、という趣向です。さらに、「流れ三ツ星」という凶悪3牢人が登場しますが、この悪役の創造は、名前も含めて、なかなか捨て難い味があります。3人が登場する際に必ず流れる音楽も耳について離れません。未見の方は、是非ご覧ください。日本にも、こんな面白い喜劇があったのかと感心すること間違いありません。

Img_0001 それにしても、雷蔵の魅力は、あの朗々とした節回しの「声」ですなあ。雷蔵映画を見直すたびに確信します。こんな魅力のある声を持つ俳優は、いまどき居りますか?ただ、その一方で、二枚目といわれていましたものの、顔はあまり美形というわけではないのです。当時、化粧に数時間をかけていたといいますから、映画ごとに「ふさわしい顔」を作り上げていたのでしょう。素の顔で街を歩いても誰も気がつかなかったというお話を聞いたことがあります。まあ、結論としては、雷蔵の二枚目ぶりとは、顔だけでなく、全体で見せる二枚目なのでしょうね。

ところで、この際、「濡れ髪牡丹」以外の雷蔵作品を見直してみようと、所蔵の「忍びの者」シリーズ(DVD)を引っ張り出したのですが、どうも、途中で中断してしまいます。今時分の忍者ものより、よほどリアルな映像で、迫力もあるのですが、あまりに暗い悲しい内容のため、途中でリモコンの「ストップ」を操ってしまいます。自宅鑑賞の悪い面です。どうも、作品の選択ミスです。次回は、「眠狂四郎」にいたしましょう。アクロバティックな殺陣と気障な台詞を楽しみましょう。ほかにも、股旅物では「ひとり狼」もあります。なお、劇中で雷蔵が死にませんので、安心してご覧ください。

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