黄色いロールスロイス
「黄色いロールスロイス」のDVDを購入しました。この映画の名前は、若い頃、故淀川氏が、スクリーンという雑誌の評論で、小粋な喜劇という風に紹介(褒めて)していた記事を見て以来、気にかかっていました。丁度、主演のレックス・ハリソンがロールスロイスを眺めている小さな写真が載っていたことを覚えています。最近のことはますます覚えが悪くなっていますが、そんな大昔のことは良く覚えています。当時は、ビデオなどもなく、本日まで結局数十年間一度も見ることなく、忘れていましたが、今回、やっと見ることが出来ました。
題名にあるとおり、一台の黄色いロールスロイスをめぐる、男と女の人生悲喜劇模様を小粋に描いた三つの物語です。このまったく違う場所で起こる話をつなぐ狂言回しが黄色いロールスロイスなのです。英国の名車ロールスロイスは、壊れない優秀な車という絶大な自信と古きよき時代への憧れがこの映画を作らせたような気がします。第一、主演の俳優達が凄い豪華メンバーです。1話目が英国貴族のレックス・ハリソンとジャンヌ・モローの夫婦の話。2話目がイタリア旅行中の大物ギャングが、ジョージ・C・スコット、その女がシャーリー・マクレーン、さらに女に言い寄る色男がアラン・ドロンという豪華さ。3話目が、イングリッド・バーグマン扮する有名未亡人と地元の男オマー・シャリフの出会いの物語です。
いずれも、コミカルに豪華に描いています。上質の舞台劇を見るような気になりました。いまでは「こんな映画は二度とつくれない」という宣伝コピーは、そのとおりでしょう。もはやクラッシク映画の中でしか存在し得ない、古き良き上流階級の世界と、なんとものんびりしたほのぼのした空気が満ち溢れています。あの優雅な雰囲気はCGでも作れません。未見の方は、是非、ご覧ください。
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