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2009年4月29日 (水)

顔のない悪魔

Img_0001 「顔のない悪魔」をDVD化により初めて見ることが出来ました。題名からするとホラー映画のようですが、純粋なSF映画です。これまで、脳に尻尾が生えたような怪物に襲われている写真のみで有名でしたが、やっと映画自体を鑑賞することが出来ました。しかも、1500円という安さです。何度も言いますが、本当に便利な時代が来たものです。

さて、その内容は、原子力を使って秘密実験を行っている軍の基地周辺で謎の連続殺人が起こったのです。その犯人こそが、ある科学者が生み出した恐るべき怪物だったというオチです。50年代のSF映画らしく、映画はモノクロで、それが効果を上げます。また、立派な軍人が主人公であり、その場には美人のヒロインが登場し、しかも、何の意味もなく、シャワーシーンなどのサービスシーンが挿入され、(この辺は、黄金期の東宝怪獣映画でも、しっかりありました。)、最後は怪物は滅びて、二人が結ばれ、めでたしめでたしのハッピーエンドで幕がおります。

Img_0002 この怪物は、最初、透明で姿が見えないので、確かに防ぎようがないのですが、何故か、途中から姿が見えはじめるという設定になっています。そうなると、でかい頭をもち芋虫のようにぎごちなく這い、バッタのように飛び掛る様は、それほどの迫力はありません。コマ撮り技術の稚拙さからか、なんらの恐怖も感じられません。しかも、ヒロインは、叫び声を上げるだけで、何の役にも立ちません。この辺は、やはり時代を感じます。(2枚目の写真はDVDの裏表紙です。)

ともあれ、最後まで、倍速をつかうことなく、しっかり見終えました。当時の特撮技術のレベルには笑いますが、全体としては、けっこう面白かった・・・といえるのではないでしょうか。(あくまで、時代を考えてということですが)2枚目の写真が問題のモンスターです。)お暇なときに、ご覧ください。

2009年4月26日 (日)

501映画監督

Img_0001 「501映画監督」という本を買いました。写真の表紙に書かれてあるように、世界の映画監督を501人紹介した本です。生年月日順でしょうか、サイレント時代から、現代までの監督が並んでいます。当然、主にハリウッド映画が中心ですが、ヨーロッパ、日本、中国、アジアなどの監督も顔が見えます。それぞれの監督の顔写真が付いて、作品歴と評価が掲載されています。これも一種の図鑑でしょうか、こうした本も大好きです(笑)。まず、面白いと思ったのが、監督たちの顔です。有名な監督も、ヒッチコックやキューブリックなどの有名な例外を除いて、余り顔まで知りません。いや、知っていたつもりが、鮮明な写真でみると全然イメージが違うのです。また、若い頃に知った監督たちの顔がふけていることです。紅顔の若者だったのが、まゆの濃い「じいさん」になっています。・・・いやあ、顔を眺めてだけで楽しいものです。

次に、論評の内容です。作品の評価などもありますが、それらを通じて、監督としての活動全体を評価しているのです。短い文章ですが、大変厳しく、辛らつです。死んだ監督なら、いざしらず、存命の方、スランプ状態の方にとっては、はなはだ辛いものがあります。もっとも、欧米の批評家は、日本の甘い評価ではなく、全体にこのような辛らつなものかも知れません。ただ、こうした一人一人の監督の評価の中で、全体として、歴史的な評価にまでなっているような気がするのは、私だけでしょうか。

ちなみに、私の若いときは、「ウイリアム・ワイラー」などは名監督中の名監督と称されていましたが、この本では、バッサリと斬られています。ホークス、ワイルダーなどもそうです。オードリーヘップバーンの作品は、向こうではあまりヒットしていないの?(半信半疑)などなど、いままでの固定観念が覆るようなコメントが随所にあります。もちろん、この評価や情報がすべて正しいというわけではありませんが、その人の生活ぶりまで含めた、新しい見方や歴史的(?)評価は新鮮でした。

さて、日本の監督は、やはり、往年の映画界を代表する監督たちと、最近の北野武、宮崎駿そして、やっぱり、苦手な三池崇が入っています。他にも、優秀な若い監督がいるぞ、といっても、やはり、作品数やはったりが勝負というところがあるのでしょう。私としては、往年の大映時代劇を支えた故三隅研次を評価してほしいのですが、まず、日本より始めよ、ということなのでしょう。

是非、一度ご覧ください。また、501人の俳優版もあるようですが、これには、まだ、興味がわきません。いずれまたの機会という感じです。

2009年4月25日 (土)

深海魚

ついに発売されました。深海魚専門の、一般向け本格的図鑑の発売です。アマゾンで、この本の表紙を見たときは感動しました。先日、このブログで「深海」という深海生物の写真集を取り上げました。その本は、深海で生物が生きている様を精密な写真で切り取った見事なものでした。Img

一方、今回の本は、深海に棲む魚類を一堂に集めた、まさしく正真正銘の「図鑑」なのです。しかも、イラストではなく実際の標本の写真図鑑です。まずは表紙をご覧ください。これまで紹介されていない未知の生物です。(単に、和名がついていないだけですが。笑)

図鑑マニアとしては、さっそく通販で注文し、到着した本を手にとり、実際にページの中身を開きました。・・・・・

少し期待が大きすぎました。まず、本のサイズが小さい。そのせいか、折角の魚の写真が小さくなった。逆に大きい写真は見開きをまたがっており、よく全体の姿がわからない。解説がくどく、その分、掲載魚種が減っている。人気のアンコウ類は、もっとスペースをとるべきだ。・・・など、など、いくつか興ざめな面がありました。しかし、それでも、この図鑑の登場は大きな第一歩です。

Img_0004 かつて、「ウミウシ」だけを集めた小図鑑が登場した時も驚きました。誰が買うのかしらん、(私は買いました。)と思っていましたら、第二弾は出るは、さらには、タコイカの頭足類など別の分野にも波及し、大いに喜んだものでした。今回も、この本をきっかけに是非そうなって欲しいものです。(タコイカの小図鑑は秀逸です。)Img_0003

それにしても、例えば、あの有名な東海大学編の「魚類図鑑」に掲載されている、見慣れた魚達の写真と比べると、深海魚は採取する条件が悪いせいか、なにしろ深海から引き上げるだけで魚体が傷付くのでしょう、相当痛々しい写真が並んでいます。やはり、こうした類は、細密画が良いかもしれないと改めて思います。

最後に、この本の副題が「暗黒街のモンスター」とありますが、この辺や配置・デザイン(構成)など、どうも編集側のセンスに問題があるような気がします。著者は、深海魚研究の学者さんらしいので、次作は、さらなる本の大型化と、頭足類も含めて、網羅的な掲載を期待します。単なる写真の拡大でもOKです。ナンじゃカンじゃ言いましても、この図鑑を大変うれしく思っていますので、逆に辛口になったことをお許しください。

2009年4月12日 (日)

レッドクリフ パート2

Img_2 ジョン・ウーの「レッドクリフ パート2」を見てきました。三国志を映画化した「レッドクリフ」の続編であり、完結編です。封切初日の土曜日夜の最終回でしたので、結構観客が居ました。(最近は、ナイター観戦が多くなりました。)

今回は、「赤壁の戦い」の戦闘シーンにターゲットを絞ったせいか、180分という長い時間にもかかわらず、アクション中心に大いに楽しめました。

集団の合戦シーンは、なかなか迫力があります。CG製とは思いますが、無数の艦船に突っ込む場面や要塞に押し寄せる軍勢などは、まるで西洋史劇並みの合戦の様です。火薬(?)のように威力のある魚油製の爆発物や投石機の活躍などは、手に汗を握りました。そして、無数の盾で亀のように囲った、古代ローマ帝国軍のような戦術なども入り混じった合戦です。気球爆弾のような奇策もあります。史実がどうかなどはこの際考えないことにいたしましょう。そういえば、サッカーのような競技も登場します。

という大混乱の合戦の中で、「関羽」や「張飛」達の豪傑が、依然として、香港映画伝統の吊り技による曲芸じみた殺陣をしつこくやっているのは、立派といっていいのでしょう・・・か。まあ、時間を忘れて見ていましたので、良いことにしましょう。

しかし、前回、「絶世の美女」に似合わないと断じた「小喬」役の女優さんですが、今回は頑張りました。たった一人で敵中に赴き、おじさんを迷わせた魅力は、それなりにありました。手の仕草の魅力でしょう。もっとも、「曹操」は、たった一人の女のために、戦争を始め、たった1杯のお茶のために勝機を失いました。いやあ、女は恐ろしい。(笑)

ところで、この映画の欠点は、天才軍師の諸葛孔明らの策が当たりすぎるということです。すこしは、途中で邪魔とかアクシデントがないと面白くありません。やはり、話が面白くなるのは、予定通りではなく、何らかの筋書き変更があって、さらに意外な展開があって、というのがストーリーの醍醐味です。

まあ、その意味では、ラストの敵方3人の扱いには仰天です。史実がどうあろうとも、筋書きとして、あんなシチュエーションを設定すれば、あそこで殺さずに見逃すという選択肢は絶対出てきません。大陸風の考え方でしょうか、シナリオの帰着として、善良な観客として納得いきませんなあ。

ICHI(その2)

Img 女座頭市の「ICHI」のDVDが発売されました。メイキング映像の付録にひかれて、通常版より高額な豪華版を買ってしまいました。それにしても、こうしたタイプの豪華版は、ケースの仕様が懲りすぎです。ひどい場合には、ケース自体が折りたたみ式の観音開き型です。どうしてこのような使い勝手の悪いケースにするのか、その意図が良くわかりません。紙製なので、普通のプラスティックのケースに比べて、痛みやすいような気がして耐久性の点から問題があります。第一、鑑賞中は、広げて置こうか、スペースがないから閉じようか、などと要らぬ心配をして、どうも落ち着きません。(紙製が原価が安いのでしょうか。) この作品の場合は、透明の切り抜きペースがある箱付きですが、包装フィルムを全部剥いでしまうと、帯兼用の説明書が外れるというなんとも始末の悪いタイプで、結局、DVDを出入れする部分だけを切り取って、あとはフィルムを付けたままです。こんな器の外見に凝るより、オマケの中身のメイキングの企画や映像に凝って欲しいものです。

Img_0001  さて、本題に入る前が長くなりました。映画の内容については、前回に書いていますので、今回は触れません。このDVDのメイキングの感想について、ご紹介します。

 DVDのメイキングによると、映画館で見たより、CGによる様々な映像表現を行っていたことがわかりました。まず、殺陣ですが、市が斬った場合、着物の布がスパッと切れたようなCG映像をはめ込んだり、刃の流れの線に沿って、血がきれいに飛んでいくような絵を作り上げていました。また、後ろから体に刺した刀の刃先が律儀に前の胸から突き出るようなシーンも作っています。このように、丁寧なCG処理が時代劇に積極的に活用されることを提唱している私としては、大変うれしいことです。なお、少し苦言を呈すれば、その映像の美しさは一定評価するのですが、惜しむらくは、画面の下や端で目立たずに処理されるシーンが多いために、全体に印象がすこし控えめになってしまったことです。もっと大胆かつ派手に処理して欲しいものです。

それにしても、殺陣の現場のメイキングを見ると、竹光の刀での斬り合いであり、さほどスピードも迫力も無いのですが、映像にするとなかなかのものです。(主演女優の腰が据わって殺陣の形がきれいなことが良いのかも知れません。なお、主演男優の殺陣はまったく買いません。)あの映像の魔術師リドリー・スコットの「グラディエーター」ばりの彩度を落とした中で、スローモーションやコマ落としの変幻自在な映像表現は、「日本映画もどうして、やるではないか」と改めて妙に感心しました。

Img_0002 感心しついでに、本家「グラディエーター」をDVDで再見してしまいました。このDVDも豪華版を購入していました。(笑)こちらのメイキング映像では、殺陣の小道具が木製で無く、もっと硬そうな感じの物で出来ているような気がしたのは錯覚でしょうか。(どうでもいいけど意外。)

それにしても、やはり、この映画は娯楽映画の傑作です。その当時、低迷の極みにあった史劇物を復活させたエポックメーキング的な存在です。機会があったら、是非ご覧ください。それにしても娯楽時代劇の全面復活はいつ来るのでしょうか。「ゴエモン」に期待しても駄目でしょうね。

それにしても、最近の邦画のタイトルはどうして横文字なのでしょう。外国に売っていくためなのでしょうか。若者に受けるためでしょうか? おじさんには意味不明です。ましてや音楽までもすっかり外国語です。(音楽は、西洋楽器の演奏はやむ得ないものとしても、歌う言葉までとは、わけがわかりません。)最後まで文句になってしまいましたが、やっぱりICHIはomosiroi。

2009年4月 5日 (日)

ウォッチメン

新年度の忙しい中、時間を見つけて「ウォッチメン」を観に行きました。アメコミを映画化したものにしては、175分という非常に長い映画でした。例のごとく、何の前調べもせず、自然に見聞きする宣伝情報などを元に、ともかくも、映像に凝った「300」の監督が創ったと聞いて出かけました。もちろん、原作のアメコミも全く知りません。

感想?「なんなんだ、この映画は。」というのが正直な気持ちで、どうもよくわかりません。どういう内容の映画なのか。誰のために作った映画なのでしょう。ストーリーは、少し前の現代アメリカのパラレルワールドの物語です。その世界では、スーパーマン似やバットマン似の超能力を持ったスーパーヒーローが複数存在し、チームを組んで悪人を懲らしめていたのですが、ニクソン似の大統領が登場し、ヒーロー禁止令を発布し、ヒ-ローたちが普通の暮らしに戻っているという設定です。そうした中で、冒頭、一人の最もワルのヒーローが殺されます。誰が犯人か、目的はなにか、という謎を追うものでした。

時代は、第二次世界大戦前からベトナム戦争を経て、80年代頃まででしょうか、アメリカの現代史を背景に様々なエピソードが綴られます。例えば、ケネディ大統領を暗殺した真相やベトナム戦争に勝った(?)経緯などです。一見、アメコミ版の「フォレスト・ガンプ」のようですが、ここに登場するヒーロー達がとんでもありません。

いずれも、かなり異常で問題を抱えているヒーロー達なのです。いや、ヒーローという資格はありません。人殺し、売春婦、子殺し、ともかく、ダーティ・ワールドなのです。しかも、その親の代からなのです。さらに、神様といっても良い存在になるものさえ出ます。つまり、人間性を失っていくのです。なかなか哲学的な思想を問いかけているのかも知れませんが、やたら、セックスシーンや残虐な場面が出るので、何も心を打ちません。しいて言えば、ヒーローの存在理由、社会、権力の心理、神とは何かなど、やたら皮肉や警鐘を込めて、難しいことを言っている気がするのですが、作者がアンチ・アメコミの立場としても、こんな持って回った筋書を作られると、見せられる立場の善良な観客は迷惑千万です。ラストは、本当にしょうもない。竜頭蛇尾の結果でした。

ということで、この映画は、時間に余裕があり、ヒーロー物が嫌いで、理屈が好きな方にお勧めです。

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