ディズニー映画「魔法にかけられて」は、ディズニー長編アニメーションのセルフパロディですが、プリンセス・ストーリーの集大成と言えるほどのロマンティック・コメディの傑作となっています。久々の心温まる作品です。ストーリーは、単純で、おとぎの国に住む娘が、王子様と出会い、結婚する寸前、継母の女王に現代の悪の国ニューヨークに突き落とされるというファンタジー物語です。当然、御伽噺の世界は、ディズニーのアニメの世界であり、現代のニューヨークの世界は実写です。アニメのプリンセスのデザインも長い歴史の中で、「白雪姫」、「シンデレラ」、「眠れる森の美女」などの整った容姿の絶世の美女タイプから、「リトル・マーメイド」、「美女と野獣」のような愛嬌のある現代的な容姿に変化してきてます。今回のヒロインも、当然ながらこの流れを受けて、現代的なタイプです。私などは、やはり、シンデレラ姫とか、オーロラ姫のクラシック・ビューティが好みですが、この辺はいたし方ありません。そして、このヒロインが現代の世界で実写化されると、やはり非常に現代的であり、女優もロマコメ(ロマンテック・コメディ)の女王といわれたメグ・ライアンを髣髴させるタイプでした。いわゆる昔風の姫君という感じではなく、ディズニーランドのお姫様という感じです。そう言えば、メグ・ライアンもおとぎの国ならぬ、古き良き過去の世界から現代に紛れ込んだ貴族と恋に落ちるという荒唐無稽のロマンティック映画「ニューヨークの恋人」がありました。案外、この映画の着想もこの辺がネタ元かも知れません。もっとも、欧米には昔から、幽霊や野獣との恋など異世界の者との物語も多いので、その歴史のなせる業かも知れません。
さて、この映画では、この姫(正確には、まだなっていませんが)を追って、王子様が、次に小心者の悪臣が、最後には、悪の女王本人のご登場です。そしてラストは、お約束のドラゴンに変身しての大暴れを披露します。この女王をスーザン・サランドンが演じています。驚きですが、また、ナレーションも、ジュリー・アンドリュースが担当ということですから、やはりディズニーの力でしょうか。それにしても、最近、大女優が次々と魔女を演じているのが面白い・・。話を元に戻して、姫の跡を追うアニメの王子の姿は、過去の作品も同じなのですが、ハッピーエンドの後日談は悲惨なことになるのではないかと心配するぐらい単純な面白味の無い男に描かれています。当然、実写の王子様も、能天気なヒョウキン男です。これでは現実世界では上手くいくはずはなく、・・・あとは見ての楽しみに。納得です。それにしても、おとぎ話をうまく捻って今風の物語に作り変えているのは、「うまい、座布団三枚あげて」といいたくなります。
なお、この映画には、過去のディズニー映画などから名場面をかなり模しています。写真のパンフレット(600円)によると、プリンセスの衣装や髪型のデザイン、毒りんごの手渡しカットなどは、オリジナルからの引用とのことです。お定まりのミュージカル・シーンでも、しっかり「サウンド・オブ・ミュージック」が登場します。他にもたくさんあるそうです。是非探してください。
ところで、この映画、ゴキブリが嫌いな女房は多分絶対見ないでしょう。なかなかお茶目な場面なのですが、ぎょっとするのは確かです。これもお楽しみに。ともかく、女子供映画と馬鹿にせずに、是非、男性も、頭の固い大人もご覧ください。きっと夢と希望が甦りますゾ。ホントに楽しい映画でした。
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